VISIONARYMAGAZINE BY LEXUS

CULTURE

Licaxxxにみるメディアミックス思考 前編

2017.11.10 FRI
Licaxxxにみるメディアミックス思考 前編

ミレニアル世代と呼ばれる若者たちとの対談録。第2回目のゲストはLicaxxx(リカックス)。DJから編集者、ラジオパーソナリティまでさまざまな顔を持つマルチクリエイターとの対話、多彩な肩書きのルーツに迫る前編をお届けする。

(読了時間:約6分)

Text by Kaie Murakami
Photographs by Makoto Tanaka

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リスナーに知らない曲を届けられるかもしれない

この連載では、ミレニアルズとの対談を通じて、既存の枠にとらわれずジャンルや世代、ジェンダーをも軽快に飛び超えていく新しい価値観を浮き彫りにしていく。第2回目のゲストはLicaxxxさん。DJでありながら、編集者・ライター・ラジオパーソナリティなど多彩な肩書きを持っているマルチクリエイターだ。
Licaxxxさんは肩書きのバリエーションを武器に、音楽・ファッション・カルチャーといったさまざまな分野をまたいだ活動を行っている。自身が編集長を務めるウェブマガジン「シグマファット」を立ち上げたり、メゾンブランドのパーティーで会場を盛り上げるDJを務めたり、バラエティ番組「BAZOOKA!!!」(BSスカパー!)にレギュラー出演するなど、彼女のように複数のメディアをまたぎ、それぞれのコンテンツにおいて自らのキャラクターを浸透させていくスタンスを「メディアミックス思考」という。
Licaxxxさんはなぜ多くの肩書きを持つ人になり、多岐にわたる活動から何を実現しようとしているのか。その真意を確かめるために、彼女がラジオパーソナリティを務めるJ-WAVEを訪ねた。

──Licaxxxさんはインタビューされるだけでなく、インタビューすることも多いと思うので、今日はありきたりのことは聞かなくていいかなと。とはいうものの、まずは自己紹介がてら、生い立ちからうかがっていきたいんだけれど。

出身は東京の東村山市で、住宅街の一角に住んでいました。私には妹がいて、両親の影響を受けることはなく、なんだか私だけ家族のなかで浮いている存在でしたね。

──自分がそう感じ始めたのはいつくらいから?

小学校3、4年とかですね。自由奔放にやらせてくれる家庭でしたけど、特別な趣味があるわけでもなく。おそらく人並みにピアノと水泳はお稽古として通わせてくれていました。その時に「MUSIC STATION」とか音楽番組の影響で音楽が好きになっていって、そこからバンドかっこいいなって思うようになりました。オレンジレンジにハマったのが入口で中学から洋楽を聴き始めて、TSUTAYAで洋楽のコンピレーショアルバムを借りるようになったんです。それから音楽情報を収集するにはラジオが一番手っ取り早い手段だと気づきました。学校のとき以外、暇さえあれば朝から晩まで J-WAVE をつけていましたが、特に熱心に聴いていたのはJ-WAVEの「RENDEZ-VOUS」(ランデブー)と「TOKIO HOT 100」。聴いていて、いいなと思った曲はメモしてTSUTAYAに借りに行っていましたね。

──じゃあ、いまJ-WAVEの番組でパーソナリティができているのは念願かなったという感じなんですね。

そうなんです。ラジオのパーソナリティはリスナーに知らない曲を届けられるかもしれないし、曲のよさを言葉で説明できるのが一番楽しくて。

──幾つかのインタビューを読ませてもらって、ジャイルス・ピーターソンが好きと公言されてますね。影響を受けた存在ってたくさんいると思うんですが、なぜ特に彼の名前を挙げているんだろう?

ジャイルスは最初にDJという存在を知ったきっかけなんです。「RENDEZ-VOUS」の中にジャイルスの「The Worldwide Fifteen」っていう15分番組がコーナーとして盛り込まれていて。そこで聴いたことのないような曲を紹介しているのがDJなんだと思ったんですね。それからSUMMER SONICとか音楽フェスに行くようになって、クラブDJの存在を知っていくんです。

専門性がないからこそ、チームを作って何かを形にしたい

──今の時代はカルチャーを作りづらいというか。昔は例えばジェイミー・リードというアートディレクターがいて、ヴィヴィアン・ウエストウッドがファッションを手がけ、マルコム・マクラレンというプロデューサーがいて、ジョン・ライドン(セックスピストルズ)たちが音を鳴らすという構図があって。そんな個性やさまざまな才能が集まって面になり、パンクやヒップホップのようにカルチャーになった。でも今はコミュニティとしては集まりやすいけど、指向性は細分化されすぎていて、大きな面を作りづらい印象があります。それについてはどう思う?

私はテクノDJをやっているからテクノの人とだけ過ごすということはまずないですし、テクノ界隈の人は黒いTシャツしか着てはダメという決まりもないじゃないですか。だから別にモードの洋服を着てDJをやってもいいじゃんと思っていて。

私の場合は気づいたら趣味ごとに友達がいたというか。音楽を話す友達、一緒に洋服を見に行く友達、SFの話をする友達という具合に結構分かれていますね。一緒にいる時間が増えていくにつれて、ジャンルの異なる波長の合う人たちが集まってくる。そこからおもしろい何かに発展していくというのが楽しいんですね。無意識のうちにですが。
──出身が慶応大学のSFC(湘南藤沢キャンパス)ということだけど、どうしてSFCに進学したのだろう?

大学では建築を学びたかったけど、志望した大学には進学できなくて。結局進学した大学にも建築分野の研究室もあるんだけど、自分のやりたいこととは違う内容の研究室で、これだ! という建築の研究室に出会えず、大学2年生以降はプログラミングと音楽をやっていました。

──大学に入る前は、特にいろいろチャレンジしたい! っていう感じではなかったんですね。LicaxxxさんはDJ・編集者・ライター・ラジオパーソナリティといった多くの肩書きを持ちながら、音楽・ファッション・カルチャーといったいろいろなジャンルを行き来する活動をしているわけで、そういったメディアミックス思考はいつから培われたものなのだろう?

ルーツは中学と高校時代にあると思います。中学と高校は埼玉の女子校に通っていたんですけど、そこはいろいろなジャンルの人たちがいる環境だったんです。イケイケのダンス部に入っていて彼氏がいる女の子なのに、『週刊少年ジャンプ』を毎週購読している状態があって。オタクとかイケてるとかの境がなかったんですよ。私はUKロック大好きでバンドをやっている一方で、ジャニーズにハマっていた時期もありましたし(笑)。

──いろいろな取り組みをされていて、必然的に多くの肩書きを持つことになっているわけだけれど、プロ意識みたいなものはすべての分野に対して持っているのかな?

お金をいただいている以上はプロだと思っていますけど、プロだから音楽を掘らなきゃいけないという意識はなくて。そこに関しては趣味と変わらないテンションというか。常日頃から音楽をディグっている(DJ用語。「探している」の意)けれど、単純に興味があるからであって。服ももちろん買うし、映画も観るけど好きな作品ばっかり。なので、プロに対して気負う気持ちはそんなにないですね。

──技術思考やあるべき論よりも、優先すべきは何よりも好奇心から、っていうことかな? ちなみに好奇心を駆り立てたり、自分を突き動かしている原動力って何だと思う?

例えば、私のInstagramを見てくれている人たちの中には、まったく音楽を知らない若い女の子たちもいるんです。そういう人たちに玄人しか聴かないようなハウスを紹介するのが私の使命であり役割かなと。私がラジオから知らない音楽を知って衝撃を受けたように、私と同じような人が生まれてくるのが楽しいんです。たくさん素敵なDJがいる中で、こんな未熟な私でも、私を介して音楽の魅力が伝わるのはすごく嬉しいです。

これはコンプレックスじゃないですけど、私には専門性がないというか。プログラミングをやってもガチのプログラマーより構築は遅いですし、ピアノやギターも自分はプレイで魅了するプレイヤーにはなれないんだなって。でも、理解した上でそういう人たちとチームを作って何かおもしろいことができるかもしれない。それに気づけたおかげで、技術職への未練はなくなりましたね。私はアイデアが先に出てくるタイプなんだって。
(後編へつづく)
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