JOURNEY

1200年の歴史をもつ宮崎県青島に起きた奇跡の一夜── 「DINING OUT MIYAZAKI with LEXUS」

2017.06.21 WED
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1200年の歴史をもつ宮崎県青島に起きた奇跡の一夜── 「DINING OUT MIYAZAKI with LEXUS」

2017.06.21 WED
1200年の歴史をもつ宮崎県青島に起きた奇跡の一夜──「DINING OUT MIYAZAKI with LEXUS」
1200年の歴史をもつ宮崎県青島に起きた奇跡の一夜──「DINING OUT MIYAZAKI with LEXUS」

日本のどこかに、数日だけオープンするプレミアムな野外レストラン「DINING OUT with LEXUS」。10回目の舞台となったのは神話のふるさと宮崎県。多様な食文化と緑豊かな自然風土──知られざる宮崎の魅力を再発見した瞬間に立ち会った。

(読了時間:約6分)

Text by Keisuke Tajiri

神話を紡ぐ聖なる島、青島に上陸

5月下旬、天候にも恵まれた「DINING OUT MIYAZAKI with LEXUS」。記念すべき第10回目となる本イベントだが、詳細についての事前アナウンスは一切なく、知らされているのはホテルのロビーに集合するということだけ。時間になるとホテルに横付けされたLEXUSに乗るよう一組ずつ案内される。出発しほどなくして、車1台がかろうじて通れるほどの狭い海岸通へと入っていく。遠くに見えてきたのが小さな島、青島だ。

青島海岸と青島をつなぐ弥生橋に連なる、ゲストを乗せた約20台のLEXUS。突如現れた異質ともいえる光景に、観光客も驚きを隠せない様子。そのまま隊列は真っ赤な鳥居を抜け、青島神社の前へと到着した。出迎えてくれたのは「DINING OUT with LEXUS」で4度目のホストを務めるコラムニストで、VISIONARYでもおなじみの中村孝則氏だ。
続々と島へと入るLEXUSの車両
続々と島へと入るLEXUSの車両
ゲストは社殿へと案内され、宮司から島の成り立ちや歴史について解説いただく。ここ青島は、隆起した水成岩が長い年月をかけて海水によって侵食された「鬼の洗濯板」と呼ばれる奇岩に囲まれ、その上に流れ着いた貝殻の破片が堆積してできた極めて珍しい島だという。
満潮時には姿を消す、自然がつくりだした波状岩
満潮時には姿を消す、自然がつくりだした波状岩
本殿の裏手へと回ると、眼前に広がるのはビロウの樹々をはじめとした、亜熱帯性植物が生い茂る森。神聖な領域ゆえに宮司さえもほとんど足を踏み入れず、古代から続く原生林として、国の特別天然記念物に指定されている。
人の手が加わることなく、自然な状態で1200年間の歴史を刻んできた原生林
人の手が加わることなく、自然な状態で1200年間の歴史を刻んできた原生林
参拝を終え、社殿の外に視線を移すと、特設のバーカウンターがあることに気付く。日向夏で香り付けしたリモンチェッロのウェルカムドリンクがサーブされ、中村氏の乾杯の音頭で「DINING OUT MIYAZAKI with LEXUS」が幕開けとなった。宮崎県産の素材を使った3種類のアミューズでほどよく胃を刺激したところで、いよいよメイン会場となる、島の反対側へと歩みを進めていく。
ブーケに見立てたウェルカムドリンク
ブーケに見立てたウェルカムドリンク

生命をいただくということ、大地を味わうということ

海外沿いに設置されたテーブルが並ぶメイン会場へと到着。水平線へと沈む、黄金色に輝く夕日を合図にするかのように、ディナータイムが始まった。今回のテーマは「時と生命の神秘の凝縮」。これに挑むのが、Asia's 50 Best Restaurantsにも選出されたフランス料理店「フロリレージュ」の川手寛康氏だ。川手シェフはこの日のために、宮崎をめぐり一つひとつ食材を見極めていったという。
原生林の森の香りと海の香りを感じながらいただく、2夜限りの特別なディナー
原生林の森の香りと海の香りを感じながらいただく、2夜限りの特別なディナー
スペシャルディナーは天然の鯉を使った「圧倒的な自然の力、湧水から生まれる料理」と題された一皿からスタート。内蔵をすり潰したクネルの上に、黒玄米酢でマリネされた鯉の身が添えられ、濃厚な沢ガニのビスクが鯉の旨味を引き立てる逸品だ。
ペアリングにはきゅうりのモヒートを。すべての料理にマリアージュを楽しむためのドリンクが提供される
ペアリングにはきゅうりのモヒートを。すべての料理にマリアージュを楽しむためのドリンクが提供される
チーズのスープを加えた、宮崎の郷土料理だご汁をアレンジした一皿
チーズのスープを加えた、宮崎の郷土料理だご汁をアレンジした一皿
宮崎農大から贈られた経産牛を使用した牛のカルパッチョ
宮崎農大から贈られた経産牛を使用した牛のカルパッチョ
通常の何倍もの時間をかけて放し飼いされた、黒岩土鶏のグリエ
通常の何倍もの時間をかけて放し飼いされた、黒岩土鶏のグリエ
猪を皮付きのまま、大根とたけのこと一緒に煮込んだ猪鍋
猪を皮付きのまま、大根とたけのこと一緒に煮込んだ猪鍋
川手シェフによって振る舞われる全9皿の料理。野趣あふれる和の食材が次々とフレンチへと昇華していく様は、ゲストからも感動の声が上がっていた。味はもとより、驚かされたのは使用している食材のほとんどが宮崎産だということ。川手シェフ本人も「これまでおいしい食材を求めて世界中を旅してきましたが、宮崎ほど力強さを感じさせる地域はなかった。食材と出会うたびに次々と料理のアイデアが浮かんできました」と語る。

川手シェフとともに食材めぐりをした中村氏。彼から語られる一皿一皿に込めたストーリーに、ゲストは深くうなずきながらじっくりと料理を味わっていく。
驚きの連続に、時折ゲスト席から拍手が起こる
驚きの連続に、時折ゲスト席から拍手が起こる
スペシャルディナーも終盤を迎え、ふとあたりを見渡すとすっかり夕日も沈み、満潮を迎えた波音が心地よく島全体を包んでいた。会場の照明が落とされると、背後に現れたのは、幻想的にライトアップされたビロウの原生林。宮崎出身のバイオリニスト・山内達哉氏が登場し、今回のために作曲した『青島』の生演奏を経て、一夜限りの晩餐は閉幕となった。

地元に根付き、そして次の時代へと引き継がれていく

何もなかった空間に突如レストランが出現し、数日後にはもうそこに跡形はない。まるで青島の神話を体感するかのようなひとときであった。2夜にわたるパフォーマンスを終えた川手シェフはこう振り返る。

「実はこの話をいただいた当初は、私でなくても、と思っていました。しかし今回担当させていただき、その考えが180度変わりました。たった2夜、それぞれ3、4時間です。そのわずかな時間でも、宮崎のためならとたくさんの方々が圧倒的な熱量をもって協力してくれました。彼らの力なしでは成し遂げられませでした。奇跡ともいえる時間で、私にとっても非常に価値のある体験でした」
ギャルソンも全員地元の人たち。「宮崎の食材がこんな料理になるなんて」と終始感動した様子
ギャルソンも全員地元の人たち。「宮崎の食材がこんな料理になるなんて」と終始感動した様子
主催者であるONESTORYの大類氏は「イベントに関わる、すべての人がほかの何ものにも変えられない素晴らしい体験をしたに違いありません。いくつもの困難を越えて、10回目にして100%のものをお届けできたと感動しております」と話す。

極上の料理を味わうということだけであれば環境の整った屋内で行うのが最良だろう。屋外では天候や気温をコントロールすることもできなければ、厨房設備にも制限が入る。その状況下でも屋外でのダイニングをサポートしてきたのは、LEXUSの掲げる「Experience Amazing」──想像を超える驚きの体験の創出に通ずるからである。

1200年続く青島の歴史で初めてクルマを乗り入れ、レストランをオープンさせるという奇跡。ライバル関係にある県内のホテルのシェフたちは、その垣根を取り払い、川手シェフのサポートとして情熱を込める。前例のない取り組みに、ONESTORYとLEXUS、そして川手シェフが見せる本気が、宮崎を愛する住人たちの心動かしたのだ。予定調和では決して生まれない感動が生まれた瞬間だった。

「DINING OUT with LEXUS」はその土地の魅力を再発見するとともに、地方創生のミッションを掲げている。「私たちができることは、外から見た宮崎の素晴らしさを伝え、彼らの心に火をつけてあげるところまでです。そこから先はみなさんにかかっています。今回託した、レシピとノウハウをもとに、より魅力的な宮崎の文化が築かれることを願っています」とLEXUS INTERNATIONALの沖野和雄氏は語る。

10回という節目でひとつの完成形を迎えた「DINING OUT with LEXUS」。回数を重ねるたびに評価が高まり、国内のみならず海外からもオファーが絶えないという。次回の舞台は北海道・ニセコ。さらなる高みを目指して、誰も想像し得ない体験となることを期待したい。

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