TAKUMI CRAFT CONNECTION - KYOTO
イベントレポート

秋の京都に、47都道府県約150の若き匠の作品が集結。
異分野のクリエイターとのコラボ作品の初披露も。

2019年11月29日(金)〜12月1日(日)、LEXUS NEW TAKUMI PROJECTを通じてサポートしてきた匠の技を集結したクラフトの祭典「TAKUMI CRAFT CONNECTION-KYOTO」が開催されました。「日本の匠の未来」をテーマに、プロジェクトを通じて生まれた作品や、クリエイターやアーティストと匠によるコラボ作品の展示やトークショーを実施。それぞれ異なる展示コンセプトを掲げた、京都新聞ビル地下一階・平安神宮 額殿・両足院(建仁寺 山内)という3つの会場には、一般のお客様をはじめ、国内外から数多くのメディア・バイヤーの皆さまにもご来場いただきました。

JAPAN connection

京都新聞ビル地下一階(印刷工場跡地)では、LEXUS NEW TAKUMI PROJECTの開始以来、LEXUSがサポートしてきた47都道府県約150名の若き匠による作品を一堂に会した展示『JAPAN connection』が開催されました。プロジェクトから生まれた作品を一般の方に向けて披露する展示の開催は初の試みでしたが、3日間に渡り大変多くのお客様にご来場いただきました。

会場の展示企画は隈研吾氏が担当。2015年に印刷工場としての役目を終えた巨大な地下空間が、日本の匠の未来に触れることができる空間に生まれ変わりました。
入り口には隈研吾氏が制作したパビリオン『AMI-AMI』を展示。47都道府県の地方新聞を編み込み、アーチ状の断面をS字に並べることで自立していたその姿は、まさに本展示のコンセプトにふさわしいものでした。

『JAPAN connection』の会場となった京都新聞ビル地下一階。印刷工場跡地というかすかにインクや油の臭いが漂う荒々しい空間に、繊細な工芸作品が整然と並ぶことで、それぞれの作品の魅力が際立ち、モノづくりの力強さを感じさせる展示となりました。ペンライトを持って1つ1つの作品を照らしながら巡ることで、作品に込められた技や表現・こだわりをお客様自身が発見する体験を演出することができ、その度に感動の表情を浮かべる姿がとても印象的でした。

展示企画 隈 研吾
展示構成 生駒 芳子、下川 一哉 、川又 俊明

CREATORS connection

平安神宮 額殿では、世界から高い評価を受けるトップクリエイターと若き匠のコラボレーション展示『CREATORS connection』が開催されました。隈研吾氏をはじめとする、5人のトップクリエイターと6人の若き匠がコラボレーションし、約半年間の制作期間を経て生み出された6つの作品が会場で初公開されました。会場の展示企画はJAPAN connectionと同様に隈研吾氏が担当し、伝統工芸の未来を切り拓く新たな舞台が生まれました。

GURU-GURU

吉野杉の曲木によるパビリオン。
長さ88mもある一つながりの吉野杉の帯を自由自在に曲げ、大きなパビリオンをつくった。見て楽しむだけの彫刻作品ではなく、吉野杉の木目の美しさ、繊細さが感じられるよう人が入れる大きさにすることにこだわった。幅110mm、厚さ6mmの曲木は触れると揺れるほどにしなやかだが、全体としてはしっかりと形を保っている。

隈研吾(建築家・東京大学教授)
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平井健太(木工作家)

GUNE-GUNE

桧の組子による椅子。伝統的な業平菱文様を使いながら、複雑な形状の椅子をつくった。組子を重ねてボリュームをつくり、それを削り出していくことで波打つような形状をつくり出している。組子は平面的という常識に対し、曲面をつくることに挑戦した。波のようにグネグネとした形状は様々な座り方に対応するとともに、3点以上で設置することで座った時の安定性も担保している。

隈研吾(建築家・東京大学教授)
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岩本大輔(組子細工職人)

KOMACHI

伝統的な履物の技法とフォルムを複合的に組み合わせ、日本の履物の特徴である開放性と歩く機能を追求し、新時代の「はきもの」をデザインした。花緒と台(重ね)など日本の履物の特徴を活かし、現代のライフスタイルに合わせて、洋装・和装いずれにも組み合わせることができる、自由度の高い新たな「はきもの」として進化した。「KOMACHI」シリーズは、コルク職人・皮革職人・革巻き職人・竹細工職人・足袋職人・花緒職人の新たな挑戦だ。

廣川玉枝(SOMARTA クリエイティブディレクター)
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伊藤実(染の創作ぞうり 四谷三栄の3代目)

grad.(グラッド)

薩摩切子と出逢った時、グラデーションの奥行きに魅了された。光がさすとカット部の濃淡が際立ち、水を入れると美しく揺らいでくれる。これは、淡く発色させた色ガラスを厚く被せるため、カットの深さや幅によって、豊かなグラデーションが自然と生まれるからだ。透明ガラスや別の色ガラスと2層、3層にしてカットすれば、世界はさらに幻想的に。そんな薩摩切子のグラデーションの魅力をシンプルな造形で引き出した。

辰野しずか(クリエイティブディレクター・プロダクトデザイナー)
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鮫島悦生(薩摩切子職人)

<JACKET>

300%倍率の木工スタッズライダースジャケットの襟

<SKIRT>

300%倍率の木工スタッズライダースジャケットの袖

洋服における不変な細部を変える。
ファスナーやスタッズに象徴される洋服の金属パーツを木工に変え、更にその大きさも300%スケールに変えた。挽物でしか表現ができない曲線美を持ったスタッズは、パンクファッションを想起させるのではなく、螺髪のような神聖さを想起させ、木工の巨大なファスナーは、洋服の開閉機能を超えて、扉や空間の開閉にも応用できる新たな機能を持つ、服のための細部は、新しい世界の扉を開けるための細部となる。

森永邦彦(ANREALAGE 代表取締役社長・デザイナー)
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百瀨聡文(挽物師)

glass

ガラス素材という作品。
形を与え、機能を与えないことで、割れない限り永遠に美しいガラスを目指した。

谷尻誠(建築家・起業家・SUPPOSE DESIGN OFFICE Co.,Ltd. 代表取締役)
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関野亮(ガラス工芸家)

神聖な空気が漂う平安神宮 額殿という空間がそれぞれの作品の魅力をより引き立て、多くの人が日本のモノづくりの精神に心を奪われていました。クリエイターの感性が匠を鼓舞し、匠の技と精神がクリエイターを触発することで生まれた6つの作品は、これからの日本の工芸の進化と、匠による新たな創造の広がりを象徴するものとなるはずです。

展示企画 隈 研吾
展示構成 生駒 芳子、下川 一哉 、川又 俊明

KYOTO connection

両足院(建仁寺 山内)では、京都の新しい文化の担い手である5人のアーティストと、日本の各地で技を磨く5人の若き匠によるコラボレーション展示『KYOTO connection』が開催されました。「情の風向〜もののあはれ〜」をテーマに、両足院の副住職を務める伊藤東凌氏のキュレーションのもと五感で体験する工芸とアートのインスタレーション展示となりました。

KYOTO connection 参加アーティスト × 参加匠

中山福太朗(茶人) × 東福太郎(伝統工芸士)
林智⼦(美術家) × 津⽥六佑(加賀⽔引 5代⽬)
望⽉めぐみ(切り絵作家) × ⼗川賀菜⼦(ガラス作家)
⽵内誠⼀郎(建築家) × 濱⽥洋直(⼟佐和紙職⼈)
美素食 -meisushi-(アーティスト)× 和⽥⼭真央(陶芸家)

キュレーター 両足院 副住職 伊藤 東凌氏

両足院という空間を最大限に活かすことで、庭園から入る光が時間の経過と共に作品の見え方にも影響し、朝と夕方では全く別の作品を見ているような展示となりました。日常から離れた静かな空間の中で、多くの来場者がインスタレーションを体験している姿はとても印象的であり、秋の京都で芸術と自然にゆっくりと触れることのできる時間が両足院では流れていました。

OPENING CEREMONY

開催に先立ち、11月28日(木)には京都モダンテラスにて、開会セレモニーを開催。会場には全国の匠をはじめ、世界的に活躍するクリエイターや京都の文化人が集い、土地・文化を超えた交流を深めました。セレモニーでは、主催となるLexus International President澤良宏らが登壇し、"クラフトの祭典"の開催経緯や意義を語りました。

Lexus International President 澤良宏

「LEXUSでは、徹底したモノづくりと、相手のことを想い考え抜く『おもてなし』の姿勢を『CRAFTED』と呼んでいます。我々は、AIやデジタルが発達する時代を感じながらも、人間の感性と技術の融合から生まれる、新しいモノづくりに挑戦しています。
サポートしてきた匠の皆さんも、伝統的なモノづくりに根差しながら、多様に変化する時代に応じた新しいチャレンジを続けるCraftsman。今回京都で披露させていただく作品も、CRAFTEDの体現であり、LEXUSの思想に通じるものです。これからも皆さんとともに、CRAFTEDをグローバルに広げるべく、チャレンジを続けて参ります。」

総合監修 小山薫堂

「京都は『本物』がたくさん集まる街。本物の『本』とは、木という字に『根っこ』が付いた字。つまり『本物』とは『根っこになるもの』のことです。僕はその『本物』を『幸せの根っこ』となるものだと思っています。匠の方々が作っている作品は、手にした方々の日常を幸せにする『幸せの根っこ』になるものだと忘れずに、これからもモノづくりを続けてください。」

展示企画 隈研吾

「今回のイベントは、京都のさまざまな場所が会場になっています。たとえば、京都新聞ビルのような、工場だった場所に匠の作品が展示されるという、一見対局にあるモノ同士が合体して新たなパワーが生まれているのを感じて、さすが京都だと思いました。この先も、匠や日本の技を世界に発信するときに、京都は玄関そして聖地になることを再認識しました。」

京都市長 門川大作

「京都は輝かしい伝統の街であると同時に、新たなことに挑戦していく革新の街です。伝統という漢字は、「伝える、統める」であり「伝える、灯」でもあります。比叡山延暦寺の法灯は、およそ1200年を超えて、常に新しい芯を入れ、油が注がれることで、一度も消えることなく灯し続けられています。伝統とは、常に新しい芯を入れ、新しい油を注ぎ続けることです。今回のイベントでLEXUSが匠の融合と挑戦をサポートするように、我々京都市もより一層頑張っていきたいです。」