プレゼンテーション
イベントレポート

全国から選ばれた50名の若き匠による
プレゼンテーション(商談会)が行われました。

1月24日(木)、東京ミッドタウン日比谷のイベントスペースに数多くのメディア・バイヤーの方々が来場し、会場は大いに賑わいをみせました。「LEXUS NEW TAKUMI PROJECT2018(以下LNTP)」に選ばれた各地域代表の若き50名の匠によるプレゼンテーション、個別の商談会、サポートメンバーによる「注目の匠」の発表が行われ、イベントの最後にはプロジェクトの広がりを期待させるサプライズニュースもありました。

プレゼンテーション&商談会

若き匠たちが半年間の製作期間を経て完成させたプロダクト。
プロダクトの魅力、込められた想いを伝えるため、全国の百貨店、セレクトショップのバイヤーにプレゼンテーションを行いました。また個別ブースではバイヤーと匠が直接コンタクト。実際にプロダクトを手に取りながら、開発秘話を語る匠。想像を超える試行錯誤に舌を巻くバイヤーの姿が印象的でした。

「注目の匠」の発表

50名すべての匠によるプレゼンテーションが終了した後、サポートメンバーの川又さん、下川さん、生駒さん、そしてスーパーバイザーの小山薫堂さんが選出した「注目の匠」が発表されました。

川又さんからは、奈良県の木工作家の平井健太さん。
選定理由「吉野杉で曲げ木の大成形のものを作ったことに可能性を感じた。座り心地もよく、プロダクトとしても完成度が高いと感じた」

下川さんからは、群馬県の革職人の小野里健一さん。
選定理由「匠として作るプロセスの難しさを理解しながら、制作の過程を使い手に委ねている。新しいものづくりのあり方を感じた」

生駒さんからは、愛知県のせとやき作家の深田涼さん。
選定理由「プロダクトから物語を感じさせてくれるもの、愛を感じさせてくれるものを選んだ。モノが物で終わらないものは強いから」

小山さんからは、高知県の木工家具職人の岡部創太さん。
選定理由「岡部さんの今までの仕事に比べると、良い意味で『雑』だったと思う。モノの作り手は極めてきた技術で誠実に仕事をするのが正しいと盲信しがちだ。しかし、それが逆に制作コストをあげ、消費者ファーストでないことがある。普段のモノづくりの姿勢から上手く逸脱しながらも、素晴らしいプロダクトにまで持っていけたことを評価したい」

サポートメンバーに「注目の匠」として名前を呼ばれ、登壇した匠の中には感極まって目に涙を浮かべる方も。まさに半年間の産みの苦しみが報われた瞬間でした。

平井さん「得意とすることに関してはこだわりを持ってやれた。しかし、新しいことに関して詰めが甘かった。今後の課題にしたい」
小野里さん「半年間苦しかった。選んで頂けて報われた気持ちでいっぱいです」
深田さん「中間報告で生駒さんと交わした、心を射抜くような色を作る、という約束を『達成できたね』と言って貰えたのが何よりも嬉しかったです。」
岡部さん「(普段の仕事が)地域性がある仕事ではないから、地域性の絡め方を考えてきた。どう素材の力だけで作るか。それを理解してもらえて嬉しいです」

と、それぞれ「注目の匠」に選ばれた喜びを表していました。
また、サポートメンバーが「今年ほど、注目の匠を決めるのが難しかった年はなかった」と語り、今回のプロジェクトに参加し新たなモノづくりの挑戦をした全ての匠を讃えました。

これからのLNTP

イベント後半には、Lexus International 沖野和雄氏からこれからのLNTPについての話がありました。
まずレクサスブランドの取り組みとして、「卓越した作り込みだけでなく、人の感性が何を求めるのかを追求する」レクサスのブランドメッセージをドキュメンタリーにした映像作品を発表。

そして、2016年から始まり今年で三年目をむかえたLNTP。広く一般のお客様に対して、過去のプロジェクトから生まれた匠たちの作品をお披露目するイベントを、2019年秋頃に京都で開催することが沖野氏の口から伝えられました。さらに、一緒にイベントを盛り上げるコラボレーターとして、クリエイティブディレクター・プロダクトデザイナーの辰野しずかさん、ANREALAGE/代表取締役社長・デザイナーの森永邦彦さん、SOMARTA クリエイティブディレクターの廣川玉枝さん、そして建築家の隈研吾さんが紹介され、ステージに登壇。「新しい出会いの中で感情を揺さぶられる出会いを楽しみにしている」「使いたいものがたくさんある。世界に伝えていくお手伝いができれば」など、それぞれイベントへの意気込みを語りました。

「この半年間の一番の財産は周りにいる仲間です。」

イベントの最後には、スーパーバイザーの小山薫堂さんから半年間のLNTPを振り返る総括が有りました。
「今年で三年目を迎えるLNTP。三年目にしてお互いどれだけ言っていいのか、寄りかかっていいのか匙加減がわかってきて、三年間で一番出来が良いものになっています。今までの仕事では生まれない発想・技術のプロダクトが数多く生まれたかと思います。
LNTPは本当にチャンス。今まで見たことない人が見てくれる。やったことないことをやらされる。新しいことの連続です。苦手なことから逃げるのではなく、やってみる。それが一歩を踏み出す大きなチャンスになる。そして同世代の匠に出会えたこと、それが今回のプロジェクトの一番の財産。一人で生み出したプロダクトでも他の匠と組めば、3万円が30万円になる。その化学反応が海外で勝負できるブランドになる。今回出会った他の匠たちと共に、未来を担う存在として、モノづくりを一緒に盛り上げていって欲しい」
というエールで半年間にわたるLNTPは締めくくられました。

LEXUS meets NEW TAKUMI

LEXUS NEW TAKUMI PROJECT(以下LNTP)2018終了後、同じく東京ミッドタウン日比谷の1F、「LEXUS MEETS...」にてLNTPに過去参加した匠とサポートメンバーである生駒さん、下川さん、川又さんが「LNTPを通してみるモノづくり」についてのトークセッションを行いました。

―以下抜粋―

川又さん
「全国各地から未来のモノづくりを担う若き匠を選出し、レクサスがその全面バックアップを行うLNTP。サポートメンバーお二人からの印象は?」

生駒さん
「今までずっとファッションをやってきたけど、伝統工芸と出会って方向性をシフトさせました。伝統工芸に未来がない現実を目の当たりにしたからです。LNTPはそんな日本のモノづくりを大きく変化させる21世紀版のアーツ・アンド・クラフツ運動のような感じだと思っています」

下川さん
「このLNTPに参加する人に求められているのは『ジャンプ』。こういうものが売れそうだから、じゃなくて自分だけでは到底出来なかったことに挑戦してジャンプしていくこと。それが本プロジェクトの意義だと思います。そして、作ってない時間も大切にすること。人と会う時間、話すための時間を」

川又さん
「そういった意味では、三年目にしてようやく成熟してきましたよね。地域に住んでいる匠が地方新聞と組んで、地域をどうしていくか、バックストーリーを語れるようになってきている」

生駒さん
「ものづくりだけで終わらない。どんな人に出会って、ストーリーを生んで、つながりを生むことを意識した作品が多かったですね」

ここで、LNTP参加をきっかけに、LEXUS collectionに採用された4名の匠、北海道のガラス作家木村直樹さん、東京都の江戸小紋染め職人の廣瀬雄一さん、愛知県のエシカルデザイナーの水野浩行さん、和歌山県の伝統工芸士の東福太郎さんが登壇。

川又さん
「匠の皆さんにとってLNTPはどんな経験でしたか?」

東さん
「新しいことに挑戦することが、新たな道を拓くんだな、と実感しました」

廣瀬さん
「今の時代をアップデートした伝統工芸にチャレンジできました」

水野さん
「面前の社会問題を顕在化させることをやっていましたが、地域性に立ち返る、いい経験になったと思います」

木村さん
「普段は小樽で働いているけど、恥ずかしながら外に出てはじめて地域性の重要性に気づきました。海外で受け入れられるにも、地域性の地盤がないと通用しないと思っています」

川又さん
「今回のLNTPは、若い匠がもがいてモノづくりをした経験を、次の世代につなげることに意義があると思いますが、そういった意味でこれからの職人に求められることは?」

廣瀬さん
「伝統工芸の中で革新はそうそう起きるものではない。マイナーチェンジを繰り返していくこと。そうする中で、人間が本質的に美しいと思えるものを追求することが必要だと思います」

木村さん
「AI、3Dプリンターが台頭してくる中で危機感はありますが、一方でチャンスであるとも思います。3Dプリンターでは生み出せない人間力があるからです。その人間力を鍛えていく、それが作家性、個性、味になっていく。その人間力を追求していくことが大切だと思います」

東さん
「今までは問屋が卸してくれていたけど、これからは作り手がもっと前へ出ていくことが必要。実際のお客さんの前に出て話を聞いて形にしていく。その機動力が大事だと思います」

下川さん
「ビジネス力を身に着けたいというのは、非常に共感する。一方でクラフトの領域を暮らしの道具に限定する必要もないと思います」

生駒さん
「伝統工芸品をもっと高く売るべき。そのためにはブランディングが必要です」

川又さん
「匠の立場でいうと、作り手のブランディングってどう考えますか?」

木村さん
「今までは使いやすい、使いにくい、で考えていた。そんな中ブランディングの大事さを学びました。自分の想いやアイデアを形にしていき、それが付加価値になっていく。自分に当てはめて考えてみたら、使う相手をイメージすることに結びつきました」

水野さん
「社会問題ファーストである一方で、最終的に誰のための、誰のライフスタイルを向上させるかを考える。そのターゲットにあわせたブランディングの仕掛け方が大事だと思いました」

川又さん
「最後に匠から今後について一言」

木村さん
「LNTPはいいターニングポイントになりました。真剣にガラスづくりに向き合うきっかけになりました。いろんな話が舞い込むようになりました。一作家として、一経営者として大忙しです。でも、どちらに振りすぎてもいけない。バランスよくやっていきたい」

廣瀬さん
「僕には老眼が迫っています。つまりピークがある技術。僕にとってはあと10年くらいだと思います。技の向上のためにこの10年で勝負をかけたい」

水野さん
「自分のプロダクトが海外で評価される、あまりそういうことには興味がありません。やはり大切にしているのは、社会に寄与するようなモノづくり。だから、次の社会課題が何かアンテナを立て続けて、見つけたらすぐさま挑戦していきたい。そういったモノづくりをこれからも続けていきたい」

東さん
「僕もピークとの戦い。ピークがすぎるまで極限の技術を追求していく。そしてその技術を次の世代に引き継いでいく。もっともっと頑張ります。先日、レクサス(UX)を買ったのですが、いずれレクサスをもう一台、買えるくらいに」

と、それぞれのモノづくり観から今後の展望まで広く議論が繰り広げられました。
会場に来ていた参加者はサポートメンバーや匠たちの話に聞き入った様子で、ときに頷いたりメモを取ったりする姿も見受けられ、一時間という短い時間ながら非常に内容の濃いトークセッションになりました。