2018 SUPER GT ROUND 8 MOTEGI GT 250km RACE GRAND FINAL SAT 10 - SUN 11 NOV 2018 TWIN RING MOTEGI, TOCHIGI

GT500レポート

頂上決戦のクライマックス

RAYBRIG NSX-GT と KeePer TOM’S LC500 によるタイトル争い

2018 年の SUPER GT もついに最終戦を迎え、11 月 10 日(土)、11 日(日)、栃木県のツインリンクもてぎを舞台に、第 8 戦「MOTEGI GT 250KM RACE GRAND FINAL」が開催された。

このレースの見どころは、今季、F1 元世界チャンピオンのジェンソン・バトン選手を迎え、山本尚貴選手とのコンビで開幕戦から速さを見せてきた RAYBRIG NSX-GT と、シーズン前半はライバルの後塵を拝することも多かったが、前戦のオートポリスで大逆転勝利を飾り、RAYBRIG NSX-GT に同ポイント(ドライバーズ・ポイント 67P、チーム・ポイント 86P)で並んだ昨年のチャンピオン平川亮選手、ニック・キャシディ選手の KeePer TOM’S LC500 による頂上対決だ。4 名の才能あふれるドライバーたちによるドライバーズ・タイトル、チーム・タイトル、その全てはこの 250km のスプリントレースで決する。

サーキット入りをしたキャシディ選手は「このレースは優勝よりもタイトル獲得がターゲット。100 号車(RAYBRIG NSX-GT)よりも前でチェッカーを受けることに全力を尽くす」と語り、平川選手も「もてぎはLCが強いはずなので 100 号車よりも前でゴールできる可能性はある」と慎重に意気込みを語った。

また、最終戦は全車ノーウェイトとなり、各車を苦しませた獲得ポイントによるウェイト・ハンディキャップは一切ない。つまり、最終戦は各メーカーの手による最後のファイン・チューニングが施された、今シーズン一番“速い”であろう GT マシンを見ることができるのも見どころだ。

日進月歩のエンジン開発。最終戦 ZENT CERUMO LC500 が予選 4 位を獲得

2005 年に設立された SUPER GT シリーズは“世界最速の GT レース”とも称されているが、その理由のひとつとしてクローズアップされるのが、LEXUS、HONDA、NISSAN によるエンジンの開発競争だと言える。

SUPER GT の GT500 クラスは国内最高峰のフォーミュラシリーズ SUPER FORMULA と同様に、レース専用に開発された2ℓの直列4気筒直噴ターボエンジンを採用している。チームにエンジン供給を行っている TRD で、エンジン開発を担う岡見崇弘氏は「ベースは同じですが、SUPER GT は他のメーカーに負けないようにパワーを追求しています」と語る。

さらに SUPER GT では、年間に使用できるエンジンは各チーム 2 基と規定されているが、岡見氏によると「1 基目のエンジンに対して 2 基目のエンジンは 2% 〜 3% の出力の向上を実現しながらも、レースの度にアップデートを行っています」とのことだ。

事実、第 5 戦の富士 500 マイルレースより投入された 2 基目のエンジンのパフォーマンスについて、ドライバーたちからも「エンジンパワーがあがり、クルマの全体的なパフォーマンスが上がっている」「一戦ごとにエンジンパワーは上がっている」といった声が聞かれた。

ちなみに Mercedes、Audi、BMW が参戦し、ドイツで人気を誇る自動車レース、DTM はレース専用に開発された 4ℓ の V 型 8 気筒自然吸気エンジンを採用。2019 年からは DTM も SUPER GT と同様に、2ℓ の直列 4 気筒直噴ターボエンジンが搭載されるが、岡見氏は「ダウンサイジング・ターボに関しては経験があるだけに私たちのほうが先行している」と自信を覗かせる。

このように SUPER GT では激しいパワー競争が行われ、世界のレースシーンでも比類なきパフォーマンス・エンジンに仕上がっているが、無論ライバルたちも同条件のなかで手を緩めることはない。

そして始まった 10 日(土)の予選では ARTA NSX-GT が 1 分 35 秒 550 という驚異的なコースレコードでポールポジションを奪取し、タイトル争いの渦中にある RAYBRIG NSX-GT が、王手とも言える 2 位でフロントロウを獲得した。続いて Epson Modulo NSX-GT が 3 位、LEXUS 勢もコースレコード更新を果たすも ZENT CERUMO LC500 が LEXUS 勢最上位となる 4 位に終わり、注目のもう一台、KeePer TOM’S LC500 は 6 位に沈んだ。KeePer TOM’S LC500 にとって、決勝は HONDA 勢の牙城を切り崩しながら、ライバル 100 号車を追う厳しい展開が予想された。

ZENT CERUMO LC500 が 2 位入賞で今季 2 度目の表彰台を獲得

むかえた 11 日(日)決勝日。サーキットの真上に澄んだ青空が広がるなか、53ラップで争われる決勝がスタート。ポジションをキープした ZENT CERUMO LC500 は 21 周目に早めにピットインを行うと、セカンドスティントを担当した石浦宏明選手が必死の追走を披露し、ほぼ全車がピットインを終えた 31 周目には 2 位へジャンプアップする。

その後、後ろから強烈な走りで迫った RAYBRIG NSX-GT をドライブするジェンソン・バトン選手と、これぞテール・トゥ・ノーズの数周に及ぶ一戦を制してトップとのギャップを徐々に詰めていく。今季初優勝への期待がかかったが、「トップの真後ろに迫れることができた。勝てなかったけれど、出し切れたので良かった」と石浦選手が語るように深紅の LC500 は ARTA NSX-GT とトップ争いを展開するも惜しくも届かず 2 位入賞を果たし、今季 2 度目の表彰台を獲得した。

KeePer TOM’S LC500 のタイトル防衛の行方は

一方、トップ争いの後方で注目を集めていたのが、予選 2 位の RAYBRIG NSX-GT と予選 6 位からスタートで 5 位に浮上した KeePer TOM’S LC500 によるタイトル争いだった。前でゴールチェッカーを受けた方が年間タイトル獲得することとなる両者は、ピットストップを遅らせた結果、19 周目に RAYBRIG NSX-GT がトップ、21 周目には KeePer TOM’S LC500 が 2 位へ浮上する。両者はお互いの動きを睨みながら周回を重ねるも、30 周目に 2 台同時ピットイン。RAYBRIG NSX-GT は山本選手からバトン選手、KeePer TOM’S LC500 はキャシディ選手から平川選手に代わって後半戦へ突入していく。

3 位でコースへ復帰した RAYBRIG NSX-GT に対して、8.7 秒差で追走していた KeePer TOM’S LC500 は 8 位までポジションを落とすものの、ここから平川選手の猛追によりタイトル争いはクライマックスへと向かっていく。KeePer TOM’S LC500 は 37 周目に 4 位へ浮上。さらに 45 周目には 3 位の RAYBRIG NSX-GT のとうとう 1.5 秒前後の背後に迫り、テール・トゥ・ノーズとなる。タイトル争いの 2 台が GT300 クラスのバックマーカーを、次々と際どいタイミングでパスしていくたびに会場からも大きな歓声があがる。結末はディフェンディング・チャンピオンである平川選手が必死に LC500 を駆り立てるものの追走及ばず、RAYBRIG NSX-GT が 3 位、KeePer TOM’S LC500 が 4 位でチェッカーフラッグを受ける。この瞬間、RAYBRIG NSX-GT のドライバーズ&チーム年間タイトルが確定した。

「やれるべきことはやったけれど最後は厳しかった。ディフェンディング・チャンピオンとして2連覇まであと一歩まで迫っていただけに悔しい」と平川選手が唇を噛めば、LEXUS TEAM KeePer TOM’S の関谷正徳監督も「全力は尽くせた。2018 年は 100 号車(RAYBRIG NSX-GT)が強かった」と静かに語り、KeePer TOM’S LC500 は RAYBRIG NSX-GT と僅差のランキング 2 位で 2018 年シーズンに終止符を打った。

グランドフィナーレに止まない拍手喝采

表彰式の終了後にはシーズンを締めくくるグランドフィナーレが、先ほどまでマシンが走っていたホームストレート上で行われ、シーズンを戦い抜いた全チームのドライバーが詰めかけたファンの前に登場し、1 年間の感謝をファンに伝えた。ファンたちからの拍手喝采はしばらく止むことはなかった。2018 シーズンも、春とはいえまだ寒さの残る 4 月の岡山の開幕戦に始まり、レースシーズンの到来を実感する GW の富士スピードウェイ、伝統の 1000km レースから新しいレースに生まれ変わった鈴鹿、灼熱のタイへの大遠征の海外ラウンド、初開催のシーズン最長レース富士 500 マイル、波乱に満ちた SUGO とオートポリス、そして頂上決戦となったもてぎラウンドー全 8 戦、1 つとして同じレースはなく、チーム、ドライバーの歓喜と無念にファンの期待と落胆が投影されるドラマに多くの人たちが魅せられた証拠であろう。

BASE MODEL

Po No. MACHINE DRIVER LAPS BEST LAP Diff.(km/h) TIRE WH
1 8 ARTA NSX-GT
Honda NSX-GT / HR-417E
野尻 智紀
伊沢 拓也
53 1'38.512 1:31'09.252 BS
2 38 ZENT CERUMO LC500
LEXUS LC500 / RI4AG
立川 祐路
石浦 宏明
53 1'39.321 1.806 BS
3 100 RAYBRIG NSX-GT
Honda NSX-GT / HR-417E
山本 尚貴
ジェンソン・バトン
53 1'38.776 8.096 BS
4 1 KeePer TOM'S LC500
LEXUS LC500 / RI4AG
平川 亮
ニック・キャシディ
53 1'39.447 9.672 BS
5 19 WedsSport ADVAN LC500
LEXUS LC500 / RI4AG
国本 雄資
山下 健太
53 1'39.577 23.171 YH
6 6 WAKO'S 4CR LC500
LEXUS LC500 / RI4AG
大嶋 和也
F.ローゼンクヴィスト
53 1'39.406 35.697 BS
7 23 MOTUL AUTECH GT-R
NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
松田 次生
ロニー・クインタレッリ
53 1'40.085 36.167 MI
8 39 DENSO KOBELCO SARD LC500
LEXUS LC500 / RI4AG
ヘイキ・コバライネン
小林 可夢偉
53 1'39.994 40.731 BS
9 3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R
NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
本山 哲
千代 勝正
53 1'40.035 40.803 MI
10 24 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R
NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
J.P.デ・オリベイラ
高星 明誠
53 1'40.168 44.458 YH
11 12 カルソニック IMPUL GT-R
NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
佐々木 大樹
ヤン・マーデンボロー
53 1'39.800 45.226 BS
12 64 Epson Modulo NSX-GT
Honda NSX-GT / HR-417E
ベルトラン・バゲット
松浦 孝亮
53 1'38.748 47.861 DL
13 36 au TOM'S LC500
LEXUS LC500 / RI4AG
中嶋 一貴
関口 雄飛
53 1'40.023 1'00.811 BS
14 16 MOTUL MUGEN NSX-GT
Honda NSX-GT / HR-417E
武藤 英紀
中嶋 大祐
53 1'40.597 1'07.524 YH
15 17 KEIHIN NSX-GT
Honda NSX-GT / HR-417E
塚越 広大
小暮 卓史
53 1'39.588 1'29.483 BS

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