2018 SUPER GT ROUND 6 SUGO GT 300km RACE SAT 15 - SUN 16 SEP 2018 SPORTSLAND SUGO, MIYAGI

GT500レポート

サイド・バイ・サイドの接近戦

プロトタイプカーに迫る空力性能。GT500 のパフォーマンス

2018 年の SUPER GT 第 6 戦「SUGO GT 300km RACE」が 9 月 15 日(土)、16日(日)、宮城県のスポーツランド SUGO を舞台に開催された。サーキットは一周 3.704km と距離も短いうえに、コース幅が狭くブラインドコーナーも多いため、毎年、各所でギリギリの接近戦が展開されるのも SUGO の特徴である。

日本発のシリーズとして独自の発展を遂げてきた SUPER GT は“世界最速の GT レース”と呼ばれるが、その理由を語るときに欠かせない存在となるのがマシンだ。LEXUS、HONDA、NISSAN の3メーカーが競合するGT500クラスでは激しい開発競争が展開されている。なかでも、特筆すべきポイントがエアロダイナミックスだと言えるだろう。

「GT500 クラスの LC500 はカーボンモノコックを使用したピュアなレーシングカーです。ハコの形をしていますが、空力特性はプロトタイプのレーシングカーに近い。GT500 マシンはダウンフォースだけをみても GT300 クラスを走る RC F GT3 と比較して 1.5 倍ぐらいのパフォーマンスを発揮するシーズンもありました」

そう語るのは TRD で LEXUS LC500 のシャーシ開発を手がける清水信太郎氏だ。さらに SUPER GT の GT500 のマシンは、ドイツの最高峰レース、DTM とモノコックを含めて多くの部分で共通化が図られているが、DTM のマシンとの違いについて「DTM はタイヤのワンメイク(注:ハンコック)でコントロールされていますが、SUPER GT はタイヤも 4 メーカーが参入しています。タイヤを生かすために空力のほかに、サスペンションも突き詰めた開発をしているのが特徴です」と清水氏は語る。

予選は WedsSport ADVAN LC500 が 6 位を獲得

15日(土)は午前中に雨が降ったものの、薄曇りのなか予選はドライコンディションで行われた。ヘイキ・コバライネン選手の DENSO KOBELCO SARD LC500 が、各車 Q1 の最終アタックの最中にコースアウトを喫したことでセッションが中断する。赤旗の原因となり予選タイムが抹消されたことで、DENSO KOBELCO SARD LC500の最後尾スタートが決定してしまう。

そのほか、94kgのハンディウエイトを搭載する KeePer TOM’S LC500 が 9 位、同 80kg の au TOM’S LC500 が10 位で Q1 を敗退するなど LC500 の多くが低迷。そのなかで、LEXUS 勢の最上位につけたのが、30kg とまだウエイトハンディが軽い WedsSport ADVAN LC500 で、Q1 を 7 位で突破すると Q2 でも 6 位と気を吐いた。

前述のとおり、LEXUS LC500 は技術的に世界最高峰の GT マシンに仕上がっているが、ここまでのシーズンで上位の結果を残してきただけに、第6戦となる今回は SUPER GT 独自の性能調整が大きく影響していると言える。続く日曜日のレースでも LEXUS 勢は苦戦を強いられていく。

ZENT CERUMO LC500 の奮闘

16 日(日)、森に囲まれたスポーツランド SUGO には昨日とは一転、朝から澄んだ青空が広がっていた。気温 26 度、路面温度37度と熱を帯びるなか、14 時 05 分、81 ラップの決勝の幕が上がる。

6 台のLC500のなかで、ひときわ注目を集めたのが、ZENT CERUMO LC500 だった。60kg のハンディウエイトで予選こそ7位に終わったものの、4 周目には 4 位につけていた KEIHIN NSX-GTがオーバーランしたことで、WedsSport ADVAN LC500 に続いて ZENT CERUMO LC500 が 6 位に浮上。さらに「クルマの調子は悪くなかった」とファーストスティントを担当した立川祐路選手が語るように、20 周目にペースの上がらない WedsSport ADVAN LC500 をかわして 5 位へ。さらなる上位への躍進が期待された。

ZENT CERUMO LC500 と言えば、第 5 戦の富士 500 マイルレースでチーム一丸となり大きなリカバリーを披露したことは記憶に新しい。8 月 4 日(土)の午前中に行われた公式練習で立川選手がステアリングを握る ZENT CERUMO LC500 がトラブルにより高速スピンしてマシンが大破してしまう。幸いドライバーである立川選手に大きなケガはなかったものの、予選を前にして多くのファンにレースのリタイアを連想させるほどの状況だった。しかし、ここからメカニックたちは驚異的な速さでマシンを修復し、翌日のレースでは立川選手、石浦宏明選手が最後尾から LC500 を駆り立て、過酷な 500 マイルレースで 8 位に入賞を果たした。

TRD のシャーシ開発グループ、清水氏によれば「どんな状況にも対応できるように、全てのパーツをサーキットに持ち込んでいます。もちろん状況にもよりますが、GT500 のレーシングカーは短時間で走行可能な状態に戻すことができるシンプルな構造なんです」
この一夜のマシン修復と入賞の影には、GT マシンのレーシングカーとして技術的に突き詰めたシンプルなエンジニアリングの構造が起因していたことは間違いないが、最後まで諦めずに戦いに挑んだドライバーやメカニックたちの強い想いが結実したとも言える。

今回の第 6 戦の SUGO において ZENT CERUMO LC500 は、多くの LEXUS 勢が後方に沈み苦戦するなかで予選からの巻き返しを計り孤軍奮闘をする。

ZENT CERUMO LC500 が殊勲の 5 位入賞

20 周目に 5 位へ浮上した ZENT CERUMO LC500 は 38 周目にピットイン。「メカニックたちが頑張ってくれたおかげでポジションをあげることができた」と語るのはセカンドスティントを担当した石浦選手。その言葉どおり、LEXUS TEAM ZENT CERUMO のメカニックたちは素早い作業で、先にピットストップを終えていた MOTUL MUGEN NSX-GT のオーバーテイクに成功した。

その後も ZENT CERUMO LC500 は激しい追走を見せ、ほぼ全てのマシンがピット作業を終えた50周目にはLEXUS勢の最上位となる 4 位へポジションアップ。さらに 65 周目には 3 位につけるカルソニック IMPUL GT-R を追い詰めるように、ZENT CERUMO LC500 がピタリと背後につけ表彰台をもう一歩のところまで引き寄せた。しかし、69 周目に GT300 車両がクラッシュしたことでセーフティカ―が導入され、これがレースの潮目を変えた。

残り 6 周でリスタートを迎えるが、「セーフティカ―の影響で油温が下がったのか、前を行く 12 号車(カルソニック IMPUL GT-R)のペースが戻ってきた。コーナーでは追いつけるけれど、こちらは燃料リストリクターが装着されているのでストレートで離される」と石浦選手が語るように終盤 ZENT CERUMO LC500 は苦戦を強いられる。76 周目に MOTUL MUGEN NSX-GT にかわされたことで、深紅の LC500 は 5 位でチェッカーを受けた。

今季2度目の表彰台には届かなかったが、ZENT CERUMO LC500 は力を出し尽くすことができたのだろう。「なんとか最低限の走りはできた」と立川選手、「ラップタイムは悪くなかったので、現状のパフォーマンスは出せたと思う」とレース後に石浦選手が語ったように、両ドライバーの表情は清々しい。ZENT CERUMO LC500 にとって殊勲の 5 位入賞となった。

LEXUS 勢では最後尾よりスタートした DENSO KOBELCO SARD LC500 が 10 位入賞を果たし貴重なポイントを獲得した。

各車のポイント差も僅かで大接戦が続く GT500 クラス。タイトル獲得へむけて残り 2 戦、LC500 の活躍に期待したい。

BASE MODEL

Po No. MACHINE DRIVER LAPS BEST LAP Diff.(km/h) TIRE WH
1 100 RAYBRIG NSX-GT
Honda NSX-GT / HR-417E
山本 尚貴
ジェンソン・バトン
81 1'13.807 1:52'08.765 BS 80
2 8 ARTA NSX-GT
Honda NSX-GT / HR-417E
野尻 智紀
伊沢 拓也
81 1'14.040 0.562 BS 68
3 12 カルソニック IMPUL GT-R
NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
佐々木 大樹
ヤン・マーデンボロー
81 1'13.923 1.350 BS 36
4 16 MOTUL MUGEN NSX-GT
Honda NSX-GT / HR-417E
武藤 英紀
中嶋 大祐
81 1'14.209 1.693 YH 16
5 38 ZENT CERUMO LC500
LEXUS LC500 / RI4AG
立川 祐路
石浦 宏明
81 1'13.598 3.304 BS 60
6 24 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R
NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
J.P.デ・オリベイラ
高星 明誠
81 1'13.888 5.188 YH 26
7 23 MOTUL AUTECH GT-R
NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
松田 次生
ロニー・クインタレッリ
81 1'14.467 5.579 MI 70
8 3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R
NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
本山 哲
千代 勝正
81 1'14.875 6.772 MI 18
9 17 KEIHIN NSX-GT
Honda NSX-GT / HR-417E
塚越 広大
小暮 卓史
81 1'14.471 10.304 BS 76
10 39 DENSO KOBELCO SARD LC500
LEXUS LC500 / RI4AG
ヘイキ・コバライネン
小林 可夢偉
81 1'15.071 11.674 BS 70
11 6 WAKO'S 4CR LC500
LEXUS LC500 / RI4AG
大嶋 和也
F.ローゼンクヴィスト
81 1'14.990 44.424 BS 68
12 36 au TOM'S LC500
LEXUS LC500 / RI4AG
中嶋 一貴
関口 雄飛
81 1'15.241 57.033 BS 80
13 64 Epson Modulo NSX-GT
Honda NSX-GT / HR-417E
ベルトラン・バゲット
松浦 孝亮
77 1'14.558 4 Laps DL 6
14 1 KeePer TOM'S LC500
LEXUS LC500 / RI4AG
平川 亮
ニック・キャシディ
76 1'15.269 5 Laps BS 94
19 WedsSport ADVAN LC500
LEXUS LC500 / RI4AG
国本 雄資
山下 健太
YH 30

PAGE TOP