2017 SUPER GT ROUND3

FINAL GT500

第3戦「SUPER GT in KYUSHU 300km RACE」レポート
20th - 21st May, 2017

DENSO KOBELCO SARD LC500 が予選 3 位を獲得

2017 年の SUPER GT 第 3 戦「SUPER GT in KYUSHU 300km RACE」が 5 月 20 日(土)、21 日(日)、大分県のオートポリスで開催。第 2 戦の富士大会より、わずか2週間のインターバルを経てシリーズ最西端の九州ラウンドを迎えた。

2016年は熊本地震の影響で SUPER GT が中止となったことから、オートポリスを舞台とする九州大会は2年ぶりの開催を迎える。

「コースにクラックが入るなど様々な被害がありました。1km ほど再舗装したほか、ピットガレージも修復し、昨年 10 月にオープン。そして関連企業の協力でようやくエントリー台数、観客動員数ともに最大規模のスーパー GT を迎えることができました。サーキットまでのアクセスも完全に復旧したわけではないですし、一部施設も使えなかったりと、どこまでお客さんを満足させられるのか、不安な部分もありますが、自分たちでできる精一杯のことはできたと思います」。そう語るのはオートポリスで広報を担当するモータースポーツ部の谷上学氏だ。

さらに「父が熊本出身で親戚も多い。ほとんど第二のホームといった感じだったので、昨年の地震は心配したし、レースが中止になったのはとても残念だった。九州でしか会えないファンも多いので2年ぶりの九州ラウンドがすごく楽しみ」と LEXUS TEAM ZENT CERUMO石浦宏明選手が語った。また2015年はドライバーとして参戦し、2017年はチーム監督としてオートポリスに帰ってきた LEXUS TEAM LEMANS WAKO’S の脇阪寿一監督も「2009 年の SUPER GT でスランプだったけれど、九州のファンが暖かく迎えてくれたおかげで優勝できたし、最終戦もてぎでの逆転タイトルにつながったので、それ以来、オートポリスには特別な思いがある。今回はウエイトがあって難しいけれどプロのチームとして九州のファンに魅せるレースをしたい」と語る。それぞれの万感の思いを乗せて2年ぶりの九州ラウンドは幕を開けた。

第 3 戦の舞台、オートポリスは阿蘇の大自然に抱かれた激しいアップダウンと中低速コーナーの連続するサーキットで、多くのドライバーがチャレンジングなコースだと口を揃える。「ジェットコースターストレートが終わってからは、ずっと登りながらのコーナーが続くのでリズムが難しい」と語るのは先の石浦選手で、LEXUS TEAM KeePer TOM’S平川亮選手は「タイヤに厳しいサーキットで、しっかりとしたマネジメントが必要になる」と分析する。そして、そのうえで最も重要なテクニックがアクセルワークにほかならない。世界最速クラスのGTカーレースを戦うレーシングドライバーたちは実に繊細なコントロールをしている。

「グリップを確かめながらアンダーステアを出さないようにアクセルでコントロールしているけど、オートポリスではさらに繊細な操作が必要になる。イメージ的には足首を動かさずに、アクセルに乗せている右足の親指だけを折り曲げたり、伸ばしたりするような感覚」。そう語るのは LEXUS TEAM SARD平手晃平選手で、20日(土)の午後、澄み渡る空のもとで行われた予選でも LEXUS のドライバーたちはウエイト搭載と燃料リストリクター装着というハンディキャップを背負いながらも抜群のアクセルワークで好タイムをマークした。

ベストタイムこそ、RAYBRIG NSX-GT に譲ったが、ジェームス・ロシター選手のアタックで 2 位につけた au TOM’S LC500 を筆頭に計 5 台の LC500 が上位 8 台で争われる Q2 に進出した。さらにフロントローを逃しはしたものの、「前走車に前を塞がれて、少しタイムをロスしたけど、クルマのバランスは良かった。決勝では十分にチャンスがあると思う」と語るように、Q2 ではヘイキ・コバライネン選手のDENSO KOBELCO SARD LC500が3位を獲得している。

明けた 21 日(日)の決勝も LEXUS 勢は素晴らしいパフォーマンスを披露。その舞台で主役を演じたのは予選 3 位の DENSO KOBELCO SARD LC500、そして、もう一台、Q2 で中嶋一貴選手がコースアウト、予選で7位に留まった au TOM’S LC500 だった。

予選 7 位の au TOM’S LC500 が逆転勝利! LC500 が 3 連勝を達成

21 日(日)、山岳コースのオートポリスは薄い雲に覆われた。隙間から青空は覗くものの、気温、路面温度ともに前日よりも低いなか、65 周の決勝がスタートする。このコンディションの変化が影響を与えたのか、レースではドラマチックな名勝負が展開した。

オープニングラップはポールポジションのRAYBRIG NSX-GTを先頭にS Road CRAFTSPORTS GT-R、DENSO KOBELCO SARD LC500といったようにほぼ予選の順位で迎えた。5周目に下位グループで多重クラッシュが発生したことから6周目にセーフティーカーが導入。14周目に再スタートを切るが、ここからLEXUS勢の驚異の追走劇が幕を開けた。

まず、「セーフティーカーの解除後が勝負だと思ったのでアタックモードで走った」とロシター選手が語るように 15 周目に au TOM’S LC500 がアンドレア・カルダレッリ選手の WAKO’S 4CR LC500 と手に汗握るテール・トゥ・ノーズからサイド・バイ・サイド、最後には接触をするも前への扉をこじ開けて 6 位に浮上したほか、翌 16 周目にはニック・キャシディ選手の KeePer TOM’S LC500、19 周目に MOTUL MUGEN NSX-GTと次々に攻略して 5 位に浮上している。

この au TOM’S LC500 のファイトに触発されるかのように、21 周目、3 位につけていたコバライネン選手のDENSO KOBELCO SARD LC500 が 1 コーナーで S Road CRAFTSPORT GT-R を交わして 2 位浮上。それに続き au TOM’S LC500もヘアピンで S Road CRAFTSPORT GT-R を交わして3位に浮上する。ここから DENSO KOBELCO SARD LC500 と au TOM’S LC500 が激しいポジション争いを展開。この対決はロシター選手の au TOM’S LC500 に軍配が上がり、32 周目、コバライネン選手の DENSO KOBELCO SARD LC500を交わして2位に浮上した。

レースは中盤を迎え、上位グループが次々にピットイン。タイヤ交換と給油、ドライバー交代を実施する。40 周目にほぼ全てのマシンがピット作業を終えると中嶋選手の au TOM’S LC500 が 1 位、平手選手の DENSO KOBELCO SARD LC500が2位に浮上。ここから 2 台の LC500 がテール・トゥ・ノーズの激しいトップ争いが展開。その一騎打ちは予想外の結末を迎えることとなった。

「au TOM’S LC500 がアンダーステアを出していたのでオーバーテイクした」と平手選手が語るように 51 周目、DENSO KOBELCO SARD LC500 が au TOM’S LC500 をパス。しかし、「同じ LEXUS 同士なので残念だが、こちらとしてはどうしようもなかった」と中嶋選手が語るように、その直後に抜き返そうとした au TOM’S LC500 と DENSO KOBELCO SARD LC500 が接触。この結果、DENSO KOBELCO SARD LC500 がコースアウトし、レースに復帰しようとした際に周回遅れの GT300 車両に追突され、そのままリタイアとなる。

まさに波乱の結末となったが、au TOM’S LC500 が首位をキープ。DENSO KOBELCO SARD LC500 との接触でフロントにダメージを負うものの、後続に十分なマージンを築いていたことから、そのままポジションを守り抜き、チェッカーを迎える。「2 位に立ってからピットに入るまで全力でプッシュした。一貴にトップでバトンを渡すことができて本当に良かった」とロシター選手、「予選では自分がミスしてしまったけど決勝ではジェームスが素晴らしい走りをしてくれた。接触後はダメージがあったけれど、無事にトップでゴールできたのでほっとした」と中嶋選手が語るように au TOM’S LC500 が予選 7 位から驚異の逆転で今季初優勝を獲得、LC500 の開幕 3 連勝を達成した。

JMS P.MU LMcorsa RC F GT3 が殊勲の 6 位入賞

計 30 台で争われるシリーズ屈指の激戦区、GT300 クラスでは LMcorsa が投入する 2 台の LEXUS RC F GT3 が苦しい立ち上がりを見せていた。第 2 戦の富士を制し、ランキング首位につける JMS P.MU LMcorsa RC F GT3 は 46kg のウエイトハンディが響いたのか、20日(土)の午前中に行われた公式練習で 12 位にとどまったほか、SYNTIUM LMcorsa RC F GT3 も 17 位に伸び悩む。

さらに午後に行われた予選では飯田章選手の SYNTIUM LMcorsa RC F GT3 が 21 位から伸びず Q1 で敗退。一方、「朝の公式練習よりも路面温度が上がったので厳しかった。なんとか Q2 に進めて良かった」と坪井翔選手が語るように JMS P.MU LMcorsa RC F GT3 は 12 位で Q1 を通過するものの、「Q1 のデータを見てセッティング変更を実施したけれど、想定よりも路面温度が高すぎてタイムが上がらなかった」と中山雄一選手が語るように JMS P.MU LMcorsa RC F GT3 は Q2 を 7 位でフィニッシュした。

明けた 21 日(日)の決勝でも 2 台の RC F GT は厳しい戦いを強いられていた。スタート直後の混乱に巻き込まれるように、予選で7位につけていた JMS P.MU LMcorsa RC F GT3 がオープニングラップで9位に後退したほか、4 周目には 10 位に後退。一方、予選 21 位の SYNTIUM LMcorsa RC F GT3 もジャンプアップを果たせずに 21 位のままオープニングラップを消化する。

とはいえ、2 台の RC F GT3 はここから粘り強い走りでポジションアップを重ねていた。なかでも、素晴らしいレース展開を披露したのが、JMS P.MU LMcorsa RC F GT3 だった。第 2 戦の富士大会と同様にピットインのタイミングを遅らせる戦略に出た JMS P.MU LMcorsa RC F GT3 はスターティングドライバーの中山選手がハイペースでラップを消化。上位勢が次々とピット作業を行うなか、猛プッシュを行い、42 周目にピットインを行った。

さらに 10 位でバトンを受け取った坪井選手も猛チャージを披露。その結果、「中山選手が引っ張ってくれたおかげで、僕は短いラップをプッシュするだけだった。ウエイトの影響からストレートは厳しかったけど上位陣の脱落もあってポジションをあげることができた」と坪井選手が語るように JMS P.MU LMcorsa RC F GT3 は殊勲の 6 位入賞を果たした。

一方、SYNTIUM LMcorsa RC F GT3 は飯田選手が 27 周、吉本大樹選手が 33 周と両ドライバーともに予定どおりのラップを消化。「レース序盤のセーフティーカーでペースが落ちたのでタイヤ的にはラクになった。ドライバーもメカニックもできることはやれたと思う」と小藤純一監督が語るように、SYNTIUM LMcorsa RC F GT3 は 12 位で完走を果たした。

Po No. MACHINE DRIVER LAPS BEST LAP Diff.(km/h) TIRE WH
1 36 au TOM'S LC500
LEXUS LC500 / RI4AG
中嶋 一貴
ジェームス・ロシター
65 1'37.005 1:59'56.800 BS 24
2 17 KEIHIN NSX-GT
Honda NSX GT / HR-417E
塚越 広大
小暮 卓史
65 1'37.475 26.592 BS 6
3 100 RAYBRIG NSX-GT
Honda NSX GT / HR-417E
山本 尚貴
伊沢 拓也
65 1'35.661 26.756 BS 10
4 46 S Road CRAFTSPORTS GT-R
NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
本山 哲
千代 勝正
65 1'36.952 27.138 MI
5 23 MOTUL AUTECH GT-R
NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
松田 次生
ロニー・クインタレッリ
65 1'38.082 27.779 MI 24
6 37 KeePer TOM'S LC500
LEXUS LC500 / RI4AG
平川 亮
ニック・キャシディ
65 1'37.436 28.399 BS 62
7 12 カルソニック IMPUL GT-R
NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
安田 裕信
ヤン・マーデンボロー
65 1'37.646 40.435 BS 6
8 19 WedsSport ADVAN LC500
LEXUS LC500 / RI4AG
関口 雄飛
国本 雄資
65 1'37.821 42.295 YH 12
9 24 フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R
NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
佐々木 大樹
J.P.デ・オリベイラ
65 1'38.167 1:07.194 YH 2
10 38 ZENT CERUMO LC500
LEXUS LC500 / RI4AG
立川 祐路
石浦 宏明
65 1'37.668 1:18.578 BS 58
11 16 MOTUL MUGEN NSX-GT
Honda NSX GT / HR-417E
武藤 英紀
中嶋 大祐
64 1'37.488 1Lap YH 4
12 64 Epson Modulo NSX-GT
Honda NSX GT / HR-417E
ベルトラン・バゲット
松浦 孝亮
64 1'39.211 1Lap DL
13 6 WAKO'S 4CR LC500
LEXUS LC500 / RI4AG
大嶋 和也
A.カルダレッリ
62 1'37.583 3Laps BS 60
14 1 DENSO KOBELCO SARD LC500
LEXUS LC500 / RI4AG
ヘイキ・コバライネン
平手 晃平
50 1'37.206 15Laps BS 30
8 ARTA NSX-GT
Honda NSX GT / HR-417E
野尻 智紀
小林 崇志
3 1'42.919 62Laps BS 6

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