2016 SUPER GT ROUND7

FINAL GT300

2016 SUPER GT 第7戦「BURIRAM SUPER GT RACE」
8th - 9th OCT, 2016

最大のウェイトハンディ戦。WedsSport ADVAN RC Fが予選1位を獲得

第6戦「45th INTERNATIONAL SUZUKA 1000km」から約6週間後、SUPER GTはタイへ上陸。10月8日(土)から9日(日)、タイの首都、バンコクから北東へ約400kmに位置するブリーラムのチャン・インターナショナル・サーキットを舞台にシリーズ第7戦「BURIRAM SUPER GT RACE」が開催された。

シリーズ唯一の海外イベントとなるブリーラムは、各チームのマシンやレース機材を船便でタイへと輸送する。そのことについてLEXUS TEAM TOM’Sの関谷正徳監督によれば「大型トラックで移動できる国内イベントと違って海外イベントは船便によるコンテナ輸送なので必然的に積荷を少なくしなければならない。日本から持っていくものと現地でレンタルするものなど備品の管理に注意が必要になる」とのこと。くわえて、au TOM’S RC Fのステアリングを握る伊藤大輔選手は「体調の管理は気を付けています。食事はもちろん、暑い国なのでエアコンで身体を冷やしすぎないようにするために衣類を変えながら調整しています」と語る。

舞台となるチャン・インターナショナル・サーキットは2014年に作られた全長4.5kmの国際サーキットで、同年10月の初開催以来、SUPER GTは2016年で3度目の開催を迎える。その特徴についてLEXUS TEAM SARDのエンジニア、田中耕太郎氏は「最近のサーキットだけあって路面がマイルドで、高低差のないフラットなコースです。テクニカルな部分もあるので良く曲がるようにしなければならないけど、高速区間もあるからそのバランスが難しい」と分析する。

さらに今大会において各チームを苦しめているのが、リザルトに応じて加算されるウェイトハンディにほかならない。SUPER GTでは性能調整を図るべく、10ポイントの場合は20kg、20ポイントの場合は40kgといったように第6戦まで獲得ポイントの倍のウェイトが搭載されている。次戦ではウェイト半減、最終戦では各車ノーウェイトになることから、このブリーラムで最大重量のウェイトが搭載されており、各チームともに重いマシンに苦戦を強いられていた。

90kgのウェイトハンディを課せられたZENT CERUMO RC Fを駆る立川祐路選手は「RC Fで90kgのウェイトを搭載したのは初めてですけど、フル定員で乗車したミニバンを運転している感じ。ブレーキもきついし、ストレートの加速も厳しい」とそのフィーリングを語る。さらにLEXUS TEAM ZENT CERUMOのチーフエンジニア、村田卓児氏によれば「一般車よりもレーシングカーは顕著に影響が出る。1周で1秒ぐらいはタイムに影響していると思う」事実、その言葉を証明するようにLEXUS勢の多くが重いウェイトハンディに翼をもがれることとなった。

8日(土)の15時、今にも雨が降り出しそうな曇天の空の下で行われた予選では、70kgのウェイトを搭載するau TOM’S RC Fが予選15位に沈んだほか、90kgのウェイトを搭載するZENT CERUMO RC Fも11位、82kgのウェイトを搭載するDENSO KOBELCO SARD RC Fが10位で予選のQ1を敗退。

これに対して驚異的なスプリント能力を披露したのが、40kgとLEXUS勢ではまだ軽いウェイトハンディのWedsSport ADVAN RC Fだった。「朝の練習走行からとても順調だったけど、自分がQ1を走った時には路面温度の低下でグリップ感が足りなかった」と語るように国本雄資選手が担当したQ1は4位に留まったが、「Q1の国本選手のフィードバックでセッティングとタイヤを変えました。そのおかげで良いタイムが出せた」と関口雄飛選手が語るようにQ2でベストタイムを叩き出し、LEXUS TEAM WedsSport BANDOHがGT500クラスで初のポールポジションを獲得した。70kgのウェイトハンディを負いながらもQ1を1位で突破したWAKO’S 4CR RC Fが6位、KeePer TOM’S RC Fが7位を獲得し予選を終える。

WedsSport ADVAN RC Fがポール・トゥ・ウインで悲願の初優勝!

9日(日)、サーキットは熱帯ならではの蒸し暑さに包まれていた。気温33℃、路面温度43℃というコンディションのなか、15時03分に66ラップの決勝が幕を開ける。オープニングラップを制したのは、ポールポジションからスタートしたWedsSport ADVAN RC Fだった。

「決勝直前のウォームアップ走行でセッティングを変えた結果、トップタイムを出せたので自信を持つことができた。序盤は思っていたより後続が付いてきたけれど5周ぐらいしたら離れ始めたので、こちらのほうがペースの良いことが分かった」。

レース終了後の記者会見でファーストスティントを担当した関口選手はそう語っているが、その言葉どおり、スタート直後からWedsSport ADVAN RC Fは激しいプッシュを披露した。3周目まで後続とのマージンは0.7秒差に過ぎなかったが、関口選手の鬼気迫るドライビングにより6周目に2.7秒、10周目には3.8秒、12周目には5.7秒と後続を引き離す。その後もWedsSport ADVAN RC Fはファステストラップを更新しながらラップを消化し、28周目には後続とのマージンを約10秒まで拡大。2011年のGT500クラス参戦以来の悲願である初優勝に向けて突き進んでいたのだが、33周目に予想外のハプニングが発生する。「スティントの後半、燃料が軽くなったのでギャップを広げるためにプッシュしたんですけど、タイヤが損傷してしまった」と関口選手が語るようにWedsSport ADVAN RC Fのタイヤが突然バーストしたのである。

とはいえ、このトラブルにもLEXUS TEAM WedsSport BANDOHは冷静な対処を実施している。「タイヤがバーストしたけれど、幸運にも最終セクターだったので無線ですぐにピットに戻ることを伝えました」と語るように関口選手はとっさの判断でピットイン。そのイレギュラーな緊急ピットインに対してチーム側も完璧な対応を披露し、最小限のタイムロスでWedsSport ADVAN RC Fを送り出している。

これで勝負は決した。残りの全車がピットインした段階で、首位のWedsSport ADVAN RC Fは後続に約11秒のギャップを作ることに成功する。さらに2位の車両がピット作業時の違反でペナルティを受けたことでギャップは25秒まで広がった。そして、関口選手からステアリングを託された国本選手は「タイヤのことだけを考えて走っていた。最終的にギャップを使い切ることになったけど、本当に勝ちを意識して戦ったレースだった」と語るようにペースをコントロールしながらチェッカーまでのカウントダウン。

迎えた最終ラップ。沈みゆく大きな夕日に照らされたWedsSport ADVAN RC Fは美しい輝きを放ちながら最終コーナーを立ち上がった。そのシーンをピットのモニターで食い入るように見つめるチームスタッフたち。そしてチェッカーの瞬間、コンクリートウォールのオペレーションエリア、そしてピットの至る所で歓喜が爆発するように拍手と喝さいが鳴り響いた。

「勝てて本当に良かった。僕にとってGT500での初表彰台が初優勝となったが、ここまで本当に長かった」とレース終了後の記者会見で関口選手が語れば、「自分を見失わないように集中して走り続けた。チームにとっての初優勝に貢献できたのはとても嬉しい」と国本選手も喜びを噛み締める。

そして、この瞬間を誰よりも待ち望んでいたのはLEXUS TEAM WedsSport BANDOHの坂東正敬監督だったにちがいない。コンクリートウォールに身を乗り出して国本選手を迎えると、指揮官は溢れ出す涙を隠すことなく、スタッフのひとりひとりと抱擁を重ねながら勝利の喜びを分かち合っていた。

フラッシュのシャワーを浴び終えた坂東監督は「GT500クラスに参戦を開始して6年、何度もくじけそうになったけど続けてきて本当に良かった。今年は関口、国本ともに若いふたりが勢いに乗っていたので勝ちを狙っていた。ここでポール・トゥ・ウインの完璧な勝利を飾れたので、やっと応援してくれた人に恩返しをすることができた」と噛み締めるように語る。さらに「この勢いで最後のもてぎも勝ちに行きたい」と次なる目標を語っているだけに、LEXUS TEAM WedsSport BANDOHのサクセスストーリーに注目が集まる。

WAKO’S 4CR RC Fが3位で今季初の表彰台を獲得

一方、圧倒的な強さでポール・トゥ・ウインを飾ったWedsSport ADVAN RC Fの背後でも数台のRC Fが激しい上位争いを展開したことも今大会のエピソードと言っていい。

なかでも、序盤で凄まじい追い上げを見せたのが、予選で7位に沈んでいたKeePer TOM’S RC Fだった。オープニングラップこそ7位で終えるものの、その直後からジェームス・ロシター選手が怒涛の追い上げを開始。2周目に6位、8周目に5位、9周目には4位に浮上するなど驚異のオーバーテイクショーを披露している。しかし、その躍進も長くは続かず、他車と接触したことでピットスルーペナルティが課せられ、KeePer TOM’S RC Fは大きく後退。9位でレースを終えることとなる。

代わって上位争いに加わってきたのが、予選で10位に留まったDENSO KOBELCO SARD RC Fで、平手晃平選手がコンスタントな走りを披露。さらにタイヤ無交換という戦略を採用することによって全車がピット作業を終えた頃には4位に浮上。ヘイキ・コバライネン選手も果敢なアタックを重ね、ついにDENSO KOBELCO SARD RC Fは3位に浮上する。しかし、タイヤの消耗が厳しかったのだろう。50周目に差し掛かるとDENSO KOBELCO SARD RC Fはペースダウンを強いられていた。50周目に4位に後退すると61周目には5位に後退し、最終的には7位でチェッカーを受ける。

このようにレースリーダーのWedsSport ADVAN RC Fの背後では、その他のLEXUS勢が浮き沈みを繰り返していたのだが、そのなかで最も安定した走りを続けていたのが、予選を6位で終えていたWAKO’S 4CR RC Fだった。

序盤で快進撃を見せたKeePer TOM’S RC Fとともに、WAKO’S 4CR RC Fは大嶋和也選手のドライビングで5位に浮上。その後も上位につけるマシンが次々と脱落するなか、WAKO’S 4CR RC Fは着実にラップを消化しており、レース終盤にはアンドレア・カルダレッリ選手がDENSO KOBELCO SARD RC Fと激しい3位争いを繰り広げた。その結果、終盤でペースダウンを強いられたDENSO KOBELCO SARD RC Fに代わってWAKO’S 4CR RC Fが3位でチェッカー。「予選が6位に終わったので、決勝のベンチマークは4位だった。スタートで出遅れはしたけれど3位で表彰台を獲得できたことは良かった」と脇阪寿一監督が語るようにWAKO’S 4CR RC Fが今季初の表彰台を獲得した。

タイトル争いはいよいよ混戦を極め、この第7戦終了時点で、LEXUS勢はチームランキング2位~5位までに4台がつけている。次戦はツインリンクもてぎで今シーズン中止となったRd.3の代替戦と最終戦を土日で連続して行うイレギュラーなレースだけに、シーズンを飾るに相応しい劇的な逆転劇を期待したい。

SYNTIUM LMcorsa RC F GT3はGT300クラス23位に終わる

9日(日)、約2時間後に決勝を控えたピットウォーク。SYNTIUM LMcorsa RC F GT3を投入するLMcorsaのピット前にはPETRONASのシャツを着た数多くのサポーターが詰めかけていた。彼らは同チームをサポートするペトロナスのタイ現地法人のスタッフで、チャン・インターナショナル・サーキットに訪れていたのである。

「やっぱり励みになります。昨日はパーティまで開いてくれて嬉しかった」とSYNTIUM LMcorsa RC F GT3のステアリングを握る吉本大樹選手は語る。同時に「その半面で申し訳ないという気持ちも強かった」と悔しそうに唇を噛む。事実、SYNTIUM LMcorsa RC F GT3は8日に行われた予選で24位に低迷。「昨年のタイムと比較して1秒以上もアップしているのでクルマは熟成されてきているんですけどね。周りのライバル車両がそれ以上に速くなっているのでしょう」と語るのはLMcorsaの小林敬一監督で、決勝でも厳しい戦いが予想されていた。

とはいえ、LMcorsaのモチベーションは高く、「決勝はとにかく粘って、ペースの落ちてきたライバルたちを交わしていきたい」と小林監督が語れば、吉本選手も「一台ずつ交わしながら、ひとつでも上のポジションでフィニッシュしたい」とターゲットを語る。

その言葉を実践するようにファーストスティントを担当する飯田章選手がスタートから安定した走りを披露。一進一退を繰り返しながら少しずつポジションを上げていた。しかし、ピット作業ではタイヤ交換にミスが発生し、痛恨のタイムロス。さらにステアリングを引き継いだ吉本選手も49周目、スピンをしたGT500クラス車両と接触し、そのままコースアウトを喫することとなった。

吉本選手によれば「GT500の車両が自分の前に迫ってきたので避けようがなかった。クルマのバランスは良くなっていたので残念です」とのことで、そのままストップ。規定周回数を満たしたことからSYNTIUM LMcorsa RC F GT3は23位での完走扱いとなったが、チェッカーを受けることなく、LMcorsaの海外遠征は幕を閉じることになったのである。

このようにチームにとって悔しいリザルトとなったが、「タイヤ交換の際にミスがあったけれど、海外イベントという慣れない環境で作業をしたことでメカニックたちも成長したと思う」と小林監督。さらに「今回は残念な結果だけど、気持ちを切り替えてもてぎに挑みたい。集大成として自分たちのベストリザルトを目指して頑張りたい」と付け加えているだけにSYNTIUM LMcorsa RC F GT3が演じるフィナーレに注目したい。

Po No. MACHINE DRIVER LAPS BEST LAP Diff.(km/h) TIRE WH
1 19 WedsSport ADVAN RC F
LEXUS RC F / RI4AG
関口 雄飛
国本 雄資
66 1'25.982 1:37'58.745 YH 40
2 15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT
Honda NSX CONCEPT-GT / HR-414E
武藤 英紀
牧野 任祐
66 1'26.395 2.917 BS 10
3 6 WAKO'S 4CR RC F
LEXUS RC F / RI4AG
大嶋 和也
A.カルダレッリ
66 1'26.635 17.583 BS 70
4 12 カルソニック IMPUL GT-R
NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
安田 裕信
J.P.デ・オリベイラ
66 1'26.236 24.166 BS 56
5 64 Epson NSX CONCEPT-GT
Honda NSX CONCEPT-GT / HR-414E
中嶋 大祐
ベルトラン・バゲット
66 1'26.910 26.506 DL 2
6 17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT
Honda NSX CONCEPT-GT / HR-414E
塚越 広大
小暮 卓史
66 1'26.057 26.703 BS 44
7 39 DENSO KOBELCO SARD RC F
LEXUS RC F / RI4AG
ヘイキ・コバライネン
平手 晃平
66 1'27.067 35.763 BS 82
8 8 ARTA NSX CONCEPT-GT
Honda NSX CONCEPT-GT / HR-414E
松浦 孝亮
野尻 智紀
66 1'26.295 42.193 BS 26
9 37 KeePer TOM'S RC F
LEXUS RC F / RI4AG
ジェームス・ロシター
平川 亮
66 1'26.305 45.064 BS 60
10 100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT
Honda NSX CONCEPT-GT / HR-414E
山本 尚貴
伊沢 拓也
66 1'25.833 45.182 BS 36
11 36 au TOM'S RC F
LEXUS RC F / RI4AG
伊藤 大輔
ニック・キャシディ
66 1'26.965 1'32.872 BS 70
12 46 S Road CRAFTSPORTS GT-R
NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
本山 哲
千代 勝正
65 1'26.601 1Lap MI 56
13 24 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R
NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
佐々木 大樹
柳田 真孝
64 1'26.255 2Laps YH 44
14 1 MOTUL AUTECH GT-R
NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
松田 次生
ロニー・クインタレッリ
56 1'27.101 10Laps MI 100
15 38 ZENT CERUMO RC F
LEXUS RC F / RI4AG
立川 祐路
石浦 宏明
56 1'26.910 10Laps BS 90

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