2016 SUPER GT ROUND6

FINAL GT300

2016 SUPER GT 第6戦「SUZUKA 1000km RACE」
27th - 28th AUG, 2016

シリーズ最長、1000km 6時間の耐久レース

8月27日(土)から28日(日)にかけて、三重県の鈴鹿サーキットを舞台にSUPER GT第6戦「45th INTERNATIONAL SUZUKA 1000km」が開催。タイトルどおり今年で45回の開催を数える伝統の一戦が開催された。

「低速コーナーから中高速コーナーまで全ての要素が詰まったサーキット。ここまで難しいコースは世界的にも珍しい」と語るのは、DENSO KOBELCO SARD RC Fを駆る平手晃平選手。その言葉どおり、鈴鹿サーキットは世界中のドライバーを魅了してやまないチャレンジングなコースとして知られるが、さらに同イベントは距離にして1000km、時間にして6時間というシリーズ最長の長さを誇る。

その伝統の一戦についてZENT CERUMO RC Fを駆る立川祐路選手は「1000kmレースは耐久のイメージが強いけれど、実際はシリーズのほかの中距離レース同様にスプリント性が高く、全てのスティントを全開でアタックしないといけない。しかも、スティントの回数も多いので集中力を求められる一戦」と語る。さらにハード面に対する負担も大きく、LEXUS TEAM SARDのチーフエンジニア、田中耕太郎氏は「高い気温に加えて距離も長いのでエンジン、ギアボックス、ブレーキに対するストレスも大きい」と語る。

しかも、昨年まで4回もしくは5回と戦術に合わせて行われていたピットストップも2016年の大会は5回に定められたことから、LEXUS TEAM LEMANS WAKO’Sのチーフエンジニア、山田健二氏によれば「今年は全チームが5ストップ・6スティントなので例年以上のスプリント勝負になると思う」とのこと。その言葉どおり、2016年の大会もスタートからチェッカーまで激しいバトルが繰り広げられることとなった。

立川選手の言葉に悔しさが滲む

2段階のノックアウト方式で行われる予選は27日(土)、真夏の太陽に照らされるなかで開催された。LEXUS勢のなかでQ2へ駒を進めたのは、関口雄飛選手のアタックによりQ1で3位に着けたWedsSport ADVAN RC Fと石浦宏明選手のドライビングによりQ1を6位でフィニッシュしたZENT CERUMO RC Fの2台のみ。「路面温度が上がってタイヤがコンディションに合っていなかった」とLEXUS TEAM TOM’Sの関谷監督が語るように11位に留まったau TOM’S RC Fを筆頭に6台中4台がQ1で敗退する厳しい結果となった。

Q2では関口選手からバトンを受け取った国本雄資選手が見事にWedsSport ADVAN RC Fを予選4位に導き「午前中の公式練習からクルマのバランスが良かったのでチームとしては過去最高のリザルトを出せた」と語るいっぽうで、ZENT CERUMO RC FはQ2を8位で終え、「自分のミス。クルマは良かったけれど、コースアウトで台無しにした」と立川選手の言葉に悔しさが滲む。

RC Fのオーバーテイクショーが幕を上げる

明けた翌28日(日)は天候が一転し、鈴鹿サーキットは朝から雨に濡らされていた。昼前に雨はいったん止むものの、ウォームアップ走行はウェットコンディションのなかで開催。しかし、約20分間の走行でコースはドライへと変わり、GT500クラスは全チームがスリックタイヤを装着するなか、12時39分、173周に渡る1000kmの戦いが幕を明けた。

路面がまだ濡れるなか、注目のオープニングスティントを支配したのはZENT CERUMO RC Fだった。「クルマが路面に合っていたことはすぐに分かったけれど、あそこまで行くとはね。最初のスティントは予選で失敗した立川選手の意地があらわれていた」。レース終了後、LEXUS TEAM ZENT CERUMOのチーフエンジニア、村田卓児氏はそう語ったが、その言葉どおり、会場のモニターにはスタート直後から周回ごとにライバルを打ち負かすZENT CERUMO RC Fの快進撃が映し出されていた。

4列目の8番手グリッドから決勝を迎えたZENT CERUMO RC Fは、立川選手の好スタートで一気にジャンプアップ。前走車のブロックで失速したWedsSport ADVAN RC Fをかわして1周目に5位へ浮上。その後も深紅のRC Fは5周目に4位、12周目に3位、15週目には2位へ。そして22周目、ついにZENT CERUMO RC Fは首位へ浮上した。

まさにZENT CERUMO RC Fの逆転劇はセンセーショナルで、鮮やかなオーバーテイクが公式映像を賑やかせていたが、タイミングモニター上ではもう一台、RC Fが着実にポジションを上げていた。予選で11位に留まったau TOM’S RC Fが猛追を開始。ニック・キャシディ選手の好スタートで1周目に9位へ浮上すると8周目に6位へ浮上し、関口選手のWedsSport ADVAN RC Fと激しい5位争いを展開する。「鈴鹿1000kmレースはチームの総合力が求められる。クルマ、ドライバー、メカニックと全てが揃っていないと勝てない」と語るのは、au TOM’S RC Fの担当エンジニア、東條力氏だが、その高い総合力で2014年および2015年の大会を制したLEXUS TEAM TOM’Sの36号車が3連覇に向けて一気にペースアップ。やがてZENT CERUMO RC F とau TOM’S RC Fは互いに譲らない一騎打ちをトワイライトの最終ラップまで展開することになる。

27周目、ZENT CERUMO RC Fが1回目のピットイン。立川選手からマシンを引き継いだ石浦宏明選手もアウトラップから果敢な走りでZENT CERUMO RC Fは首位をキープ。一方、26周目にピットストップを終えていたau TOM’S RC Fも伊藤大輔選手のハードな追走で着実にポジションを上げ、70周目にはZENT CERUMO RC Fに続いて2位に浮上する。

RC Fが逆転の今季初優勝

後半戦に向けて上位チームの多くが3回目のピットインを終えた90周目、GT300車両のクラッシュでセーフティカーが導入されたことで首位のZENT CERUMO RC F、2位のau TOM’S RC Fが築いてきたマージンが消滅した。しかし、93周目にレースが再開されると上位2台はハイペースで後続を引き離し、トップ争いはZENT CERUMO RC Fとau TOM’S RC Fの一騎打ちに突入する。

このトップ争いで最初に動いたのが、2位のau TOM’S RC Fで115周に4度目のピットインを行い、伊藤選手からキャシディ選手へ交代。これを見て首位のZENT CERUMO RC Fも翌周に4度目のピットストップを行い、石浦選手から立川選手へドライバー交代を行っているのだが、この戦略はau TOM’S RC Fに吉と出る。ピットストップを終えて首位をキープしてコースへと戻ってきたZENT CERUMO RC Fだったが、タイヤが温まっていない隙をつかれ、背後から目に見えるスピード差で迫ったau TOM’S RC Fにパスを許してしまう。

とはいえ、「途中で疲れてきたけれどこのチャンスをものにしたかったので必死で走った」と立川選手が語るようにZENT CERUMO RC Fもファステストラップを更新しながら首位au TOM'S RC Fに一定の距離を保ちながら追走する。125周を過ぎるとコースの一部で雨が降り始め、各車がペースダウンをするなか、ZENT CERUMO RC Fは気迫を感じるハイペースで走行を続け、いよいよau TOM’S RC Fの背後へ迫る。そして128周目、「スリックでウェット路面を走るのは初めてだったのでリスクを避けてセーブした」とキャシディ選手が語るように、ペースを抑えたau TOM’S RC FをパスしてZENT CERUMO RC Fが首位を奪還する。しかし、その雨が止み、また路面が乾いてくるとキャシディ選手が猛追を開始し、131周目にau TOM’S RC Fがふたたび首位に浮上。一方、立川選手もペースを上げ、132周目にZENT CERUMO RC Fがもう一度首位を奪還するなど、2台のRC Fが目まぐるしく変わるコンディションのなかでシーソーゲームを展開した。

厚い雲の合間から夕陽がそそぐなか、最後のピットストップで先に動いたのはZENT CERUMO RC Fだった。142周目に5度目のピットインを行い、立川選手から石浦選手に交代する。対するau TOM’S RC Fは翌143周目に最後のピットインを行い、キャシディ選手から伊藤選手へスイッチ。しかし、その間に激しいアタックでZENT CERUMO RC Fが首位を堅守し、au TOM’S RC Fは2位でコースへ復帰する。

このまま、ZENT CERUMO RC Fが歓喜の瞬間を迎えるはずだった残り5ラップ。観戦スタンドに傘の花が咲き始める。最後の試練のようにサーキットはまた激しい雨に包まれ、勝利の女神ははまたもや深いウォータースクリーンのなかに見え隠れするようになる。ペースを落としながらもフィニッシュにむけて1つ1つのコーナーを慎重に攻略していくZENT CERUMO RC F。このチャンスを活かし3連覇を達成したいau TOM'S RC F。ドライバーとチームのさまざまな思いが交錯するなか、最終ラップの最終コーナー手前でZENT CERUMO RC Fがコースアウト。祈るようにピットのモニターを見守っていたLEXUS TEAM ZENT CERUMOのピットでは一瞬悲鳴が上がる。「最初のスティントで立川さんの気迫を感じていたので自分もクルマ以上のパフォーマンスを出したかった。最後は雨のなかで緊張したけれど落ち着いて走ることができた」と石浦選手が語るようにZENT CERUMO RC Fはすぐに立て直しチェッカーを受ける。LEXUS勢、ZENT CERUMO RC Fにようやく歓喜の瞬間が訪れた。

1000㎞の果てにようやくつかんだ勝利は、LEXUS TEAM ZENT CERUMOにとって2年ぶり、立川選手と石浦選手のコンビでは初優勝となるだけに、「勝てそうで勝てない状況が続いていたので良かった」と立川選手は心境を口にする。そして、高木虎之介監督は「立川のファーストスティントを見たときに勝てると思った。SUGOは勝てなかったけれど運もあるからね。やっと勝てたのでほっとした部分もあるけれど、チャンピオンシップも見えてきたので改めて気合を入れたい」とコメント。

5ポイントのボーナスが加算される今大会の勝利でLEXUS TEAM ZENT CERUMOはドライバーズ部門、チームズ部門にともにLEXUS勢の最上位となるランキング2位に浮上しただけに残り3戦での躍進が期待されている。

一方、凄まじい追走劇を披露したau TOM’S RC Fも1秒242の僅差でZENT CERUMO RC Fに惜敗したとはいえ2位入賞を果たし、LEXUS勢に今季初の1-2フィニッシュをもたらした。両ドライバーともに悔しさを滲ませながらも「今季初の表彰台はいいステップになる。残り3戦は主導権を握りたい」と伊藤選手も語っているだけにau TOM’S RC Fの動向にも注目したい。

SYNTIUM LMcorsa RC F GT3は18位で完走

シリーズ最長の距離と時間を誇る鈴鹿1000kmレースでは3人目のドライバーを起用するチームも少なくはない。混戦のGT300クラスにRC F GT3を投入するLMcorsaも飯田章選手、吉本大樹選手のレギュラーコンビに加えてドイツ出身のドミニク・ファーンバッハ選手をサードドライバーとして起用していた。

ファーンバッハ選手はドイツのニュルブルクリンク24時間レースやフランスのル・マン24時間レース、アメリカのデイトナ24時間レースでクラス優勝の実績を持つ耐久レースのスペシャリストで、2015年からはファーンバッハ・レーシングのRC F GT3でVLN(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)に参戦している。

その一方で、2007年にSUPER GTのGT300クラスに参戦するなど、ファーンバッハ選手は日本のレース経験も豊富で、昨年の鈴鹿1000kmでもLMcorsaのサードドライバーとしてチャレンジしていた。飯田選手、吉本選手とのコンビネーションもスムーズで「VLNとSUPER GTはセットアップが違うけど、昨年の鈴鹿1000kmでLMcorsaのRC Fを経験しているからね。事前のテストでもすぐにアジャストすることができた」とファーンバッハ選手が語るようにSYNTIUM LMcorsa RC F GT3は事前のテストで好タイムを連発していた。

くわえて小林敬一監督も「ドミニクは速くて安定感が高い。それにコーナリングの速いRC Fは鈴鹿に合っているのでベストリザルトを狙いたい」と語っていただけに、今大会ではSYNTIUM LMcorsa RC F GT3の活躍が期待されていたのだが、ドライコンディションで行われた27日の予選は26位に留まった。

このように予選で苦しい戦いを強いられたLMcorsaだが、28日(日)は天候が一変し、鈴鹿サーキットは朝から雨に濡れていた。そのため、「クルマのバランスは悪くないし、飯田選手、吉本選手も速いドライバー。それにチームもプロフェッショナルだから決勝は追い上げたい。雨が降れば15位ぐらいまでは行けるだろう」とファーンバッハ選手は自信をのぞかせる。

実際には昼前に雨は止み、ウォームアップで走行ラインが乾いたことから決勝はドライの状態でスタートを迎えたが、この難しいコンディションのなか、SYNTIUM LMcorsa RC F GT3は素晴らしい走りを披露していた。

吉本選手のアタックで19位に浮上すると、ファーンバッハ選手も猛追を開始。降り出した雨を味方につけるように55周目には16位へジャンプアップをしている。レース中盤は雨も上がり、完全なドライコンディションにペースダウンを強いられるも、その流れでマシンを引き継いだ飯田選手も安定した走りを披露した。

結局「すべて上手く行った。ウェットコンディションならもっと上位に行けたと思うけど、ドライ路面のなか、20位以内で走り切れたことは良かった」と小林監督が語るようにSYNTIUM LMcorsa RC F GT3は18位で完走。3名のリレーで長丁場のレースを走りきったことで、多くの手応えを掴んだことだろう。

Po No. MACHINE DRIVER LAPS BEST LAP Diff.(km/h) TIRE WH
1 38 ZENT CERUMO RC F
LEXUS RC F / RI4AG
立川 祐路
石浦 宏明
173 1'51.014 5:45'34.230 BS 40
2 36 au TOM'S RC F
LEXUS RC F / RI4AG
伊藤 大輔
ニック・キャシディ
173 1'51.352 1.242 BS 34
3 46 S Road CRAFTSPORTS GT-R
NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
本山 哲
高星 明誠
173 1'51.121 1'15.104 MI 30
4 6 WAKO'S 4CR RC F
LEXUS RC F / RI4AG
大嶋 和也
A.カルダレッリ
173 1'51.727 1'31.514 BS 50
5 19 WedsSport ADVAN RC F
LEXUS RC F / RI4AG
関口 雄飛
国本 雄資
173 1'52.372 1'48.254 YH 24
6 1 MOTUL AUTECH GT-R
NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
松田 次生
ロニー・クインタレッリ
172 1'52.793 1Lap MI 100
7 100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT
Honda NSX CONCEPT-GT / HR-414E
山本 尚貴
伊沢 拓也
172 1'51.734 1Lap BS 26
8 39 DENSO KOBELCO SARD RC F
LEXUS RC F / RI4AG
ヘイキ・コバライネン
平手 晃平
172 1'52.328 1Lap BS 74
9 8 ARTA NSX CONCEPT-GT
Honda NSX CONCEPT-GT / HR-414E
松浦 孝亮
野尻 智紀
171 1'51.067 2Laps BS 20
10 17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT
Honda NSX CONCEPT-GT / HR-414E
塚越 広大
小暮 卓史
171 1'51.867 2Laps BS 40
11 64 Epson NSX CONCEPT-GT
Honda NSX CONCEPT-GT / HR-414E
中嶋 大祐
ベルトラン・バゲット
171 1'52.351 2Laps DL 2
12 24 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R
NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
佐々木 大樹
柳田 真孝
169 1'50.924 4Laps YH 44
37 KeePer TOM'S RC F
LEXUS RC F / RI4AG
ジェームス・ロシター
平川 亮
92 1'52.706 81Laps BS 60
15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT
Honda NSX CONCEPT-GT / HR-414E
武藤 英紀
オリバー・ターベイ
80 1'51.381 93Laps BS 8
12 カルソニック IMPUL GT-R
NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
安田 裕信
J.P.デ・オリベイラ
59 1'52.184 114Laps BS 56

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