イタリア・ミラノで開催される世界最大のデザインイベント、ミラノデザインウィーク2017に出展します。
10回目となる今回は、同イベントの中心地となるデザイン美術館「ミラノ・トリエンナーレ(La Triennale di Milano)」においてデザインイベント「LEXUS YET」を開催。
相反するものを互いに調和させることで、更なる高みを目指す “YET”(二律双生)をテーマとしました。

AREA1 ANCIENT YET MODERN

(古典的でありながら最先端)

LEXUSの“YET”フィロソフィーにインスパイアされたエントランスのインスタレーションは、 波長であり粒子でもある(a wave YET a particle)“光”により、見る人は地面に立っているのに同時に宙に浮かんでいる(grounded YET suspended)かのような不思議な体験をもたらします。古代から使われているガラスという素材を、the Mediated Matter Groupのガラスの3Dプリンタという最新テクノロジーにより、建築スケールを実現しています。

AREA2 LEXUS DESIGN AWARD

今年で5年目を迎えるLEXUS DESIGN AWARD 2017は、“YET” (二律双生)のテーマのもと、世界63カ国から1,152作品の応募がありました。
会場では、世界で活躍するデザイナーがメンターとなり制作された4つのプロトタイプと、8つのパネルを含む全12受賞作品が展示されます。

LEXUS DESIGN AWARD 2017グランプリ
PIXEL
DESIGNER / 吉添 裕人
MENTOR / スナーキテクチャー
LEXUS DESIGN AWARD 2017グランプリ
PIXEL
DESIGNER / 吉添 裕人
MENTOR / スナーキテクチャー

AREA3 STATIC YET DYNAMIC

(静的でありながら動的)

様々な異なる視点からものごとを見つめたとき、そこには想像もしなかったような発見があります。
インスタレーション「STATIC YET DYNAMIC」では、LEXUSのデザインへの大胆な挑戦で “YET”フィロソフィーを体現したコンセプトカー「UX Concept」が表れます。
革新的で力強く、一方で、アーティスティックでありながらプレミアム感を表現するUX Conceptは、LEXUSの従来のラグジュアリーに対する考え方への挑戦として、ユニークなブランドポジションを追求する姿勢を表現しています。

AREA4 RETROSPECTIVE

(回顧)

2017年は、LEXUSが初めてミラノデザインウィークに出展してから10回目の記念すべきイベントとなります。これはLEXUSブランドが長年にわたってデザインとイノベーションへの途切れることのない情熱を注いだ証です。この機会に過去9回の出展を振り返り、一年ごとに24のフレームで表現したユニークなインスタレーションを実現しました。

The designer Neri Oxman
Interview

February 2017 at MIT Media Lab

LEXUSからオファーがあった時どう思いましたか。

LEXUSから連絡を受けた時、私たちThe Mediated Matter Groupでは、光透過性ガラスの3Dプリント開発プロジェクトが進行中でした。この技術を2015年に初めて発表したのち、建築規模のガラス構造物を実現するための再設計に取り組んでいました。私たちがLEXUSに出会ったのは、この技術を使えるプロジェクトを探している時でした。

テーマ「YET(二律双生)」をどのように解釈しますか。

「YET」は興味深い単語です。たとえば「Ancient Yet Modern(古典的でありながら最先端)」のように、文脈においてのみ意味を持ち、反対の意味を持つ単語のつながりを表現する文法的な仕掛けとみなすことができます。

私たちにとって、YETと言う語は、各部分の総和より大きな全体を表し、表面的には矛盾またはあいまいと思われるものを含むことができ、それぞれを区別するのではなく、むしろひとつにする単語と捉えています。

テーマ「YET(二律双生)」とインスタレーションをどのように関連付けるのですか。

私たちThe Mediated Matter Groupにとって、「YET」は、「部分的な世界」から「全体の世界」への超越を意味し、とても刺激的でした。

例えば建物、衣類、飛行機または車においてのデザインと構造について考えた場合2つの方法があります。

第1の方法は、これらの設計物をそれぞれ、機械とみなすことです。
機能を持つ部品で構成されており、飛行する(飛行機)、運転する(車)、居住する(建物)といった実用的な行為を行う器具です。

第2の方法は、生物または存在とみなすことです。
部分の総和より大きな全体であり、構成される部分が一つになった時、要素ごとに分解できない体験が作り出されます。
このアプローチは、すべてのデザインを重視する優れた企業に根付いていると私たちは考えています。
自然もまた同様です。作り出すものは全て、それぞれの部分の総和より大きな全体として捉えることができます。
私たちのインスタレーションについては、テクノロジー、デザイン両方の点で、要素の組み合わせではない総合的な体験を作りたいと考えました。

3Dガラスプリント技術の特徴は。

簡単にいえば、建築規模で光学レンズをプリントできます。

ガラスの付加製造により、高空間分解能で幾何学的にカスタマイズ可能な構造を作り出せます。
さまざまな厚みや、複雑な特性を持つコンポーネントを設計し3Dプリントするため、ガラス吹錬とは異なり、日射透過率をコントロールできます。

つまり、圧縮または吹錬したガラス部分では内側面は必然的になめらかになりますが、印刷部分は、内側 / 外側両方で複雑な表面特徴を呈し、複雑な集光模様を作り出します。

この能力により複雑な光学レンズのプリントが可能になりました。屈折の方法により光線を集中または分散できる透過型光学装置光学レンズです。

このプロジェクトにより、印刷可能でなおかつ構造上の完全性を維持できる角度、電動式印刷装置の回転半径などプリンターによる設計の制約をより理解できました。

The Mediated Matter Groupは、Peter Houk氏をリーダーとするMITのGlass LabおよびMITの機械工学科との協業で、2015年に初のガラスプリンターを発表し、それ以来、次世代のプリンターに取り組んできました。

私たちの目標は、機械的および光学的性質を有するガラス構造物の作成できる高度な製造プラットフォームを作り出すことでした。

この新たな製造プラットフォームは、ガラス形成プロセス全体でデジタル処理により統合された熱制御システムを提供し、新しい4軸運動制御システムを組み合わせています。
それにより、これまで以上に効率のよいフロー制御、高度な空間正確性が実現し、溶融ガラスの連続蒸着による生産の高速化が最大30kgまで可能となりました。

このプロジェクトの難しい点は何ですか。

プロジェクトには複数の難題があります。
なぜなら、建築規模での光透過性3Dガラスプリントの利用は初めてだからです。

第1の難題は、十分な流動性をガラスに与え、ノズルから押し出すために、1000 °C以上の温度を維持することでした。
これを実現するために、プリンターには、溶解、流し込み、アニーリングなどすべてのプロセスに対し、専用の加熱室が必要で、そのすべてに温度の範囲が決まっています。

第2の難題は、光をコントロールすることでした。
私たちのチームに所属する優秀なエンジニアたちのサポートにより、プリントされたガラスに媒介される動的光源をコントロールするための運動制御環境と高度なインタフェースを導入できました。

第3の難題は、技術的なものではなく、建築家、製品デザイナー、メカニカルエンジニア、ソフトウェアエンジニア、化学者、材料科学者など、まったく異なる分野から集まった人々のコミュニティを作り出すことでした。チームのメンバーは様々な業界および学術部門の出身者で、私たちの新しいガラスプリンターの実現ために集まりました。

ミラノの来場者に、インスタレーションを通して体験してもらいたいことは何ですか。

私たちは実利的な機能物体のない体験、手段のない旅路を伝えたいと思っています。
実際の機械がなく夜の星空を飛ぶこと、運転することがどのようなものか表現することです。

「LEXUS YET」の展示では、光が作り出す車輪状の反射の列がほぼ果てしなく続く様子を想像しました。
そこでの動きをコントロールし、空間にいる人の動きを導きます。まるで衛星か惑星の光に浸るかのようにすべてを包み込む体験です。

私たちは光、物質、空間のレンズを通してテーマ「YET」を探求しました。

【光について】
光には二面性の物理的性質があります。光は粒子であるが波です。(アインシュタインは光は粒子《光子》であり、光子の流れは波だと考えました)
私たちは展示会空間の来場者に心ではなく体験そのものを通してこの二面性を実感して欲しいと思いました。

【物質(ガラス)について】
ガラスは光を反射し屈折する材質で、古代的だけれど近代的です。今回の展示会では、3D印刷を通してガラスに新しい解釈を与えています。

【空間について】
光と物質の組み合わせで地に足がついているけれど漂っている体験を作り出すことを期待しています。支えられているけれど光の中を楽々と動くことができる感覚。集光模様の宇宙です。