LEXUS DESIGN AWARD 2021グランプリ受賞者
ヘンリー・グロガウ インタビュー

次世代を担うクリエイターの育成・支援を目的とした国際デザインコンペティションLEXUS DESIGN AWARD2021で、世界66ヶ国/地域から集まった2,079点の応募の中からグランプリを受賞した、デンマークを拠点に活動するデザイナー、ヘンリー氏。

生態系と共生する方法を考える

「グランプリ受賞をとても光栄に思います。私がアワードに応募した一番の目的は、世界的に活躍するメンター陣から直接指導を受け、自分のアイデアを具現化したいと思ったからです」とヘンリーは言う。「メンターシップを通してプロトタイプ制作のサポートを受けられたことは、デザイナーとして自分自身を成長させてくれた貴重な体験でした。」

デンマーク王立芸術アカデミーで建築と極限環境を専攻し、修士課程を取得した。ヘンリーの作品は、生活インフラが整っていない地域にきれいな水を提供するだけでなく、人々が集い日差しを避けるためのコミュニティ建築の役割も果たす。軽量で持ち運ぶことができ、多目的な構造は、地域の環境や人々のニーズに応じて多様な素材や方法でアレンジして制作することができる。地域が抱える課題をよく観察し、現地で簡単に手に入るものを利用する方法を提案した。「僕にとって大事だったのは、生態系に逆らうのではなく、生態系と共生する方法を考えることでした。」

「LEXUS DESIGN AWARD 2021」でグランプリを受賞した、デンマークを拠点に活動するデザイナー、ヘンリー氏。

修士課程で学んでいた時、ヘンリーは実際にチリを訪れ、現地のNGOと共に仮設住宅の開発を通して貧困に苦しむ人たちを助ける活動に参加した。「その際に貧困に苦しむ人々がおかれている環境に注視して、改善策を考えなければいけないと気付きました。彼らが直面する社会問題について知り、高度な技術を必要としない方法でいかに資源を供給できるのかを考えるきっかけとなったのです。」

「LEXUS DESIGN AWARD 2021」でグランプリを受賞した、デンマークを拠点に活動するデザイナー、ヘンリー氏。

メンターのアドバイスで、
アイデアを進化

応募当初の室内に設置する蒸留装置のアイデアでは、解決できる課題のスケールが小さいとメンター達から指摘を受けたヘンリーは、複数の社会問題を解決するアイデア ―太陽光を活用して汚染された水や海水を蒸留し、きれいな飲料水をつくりだす「Portable Solar Distiller」の制作に取り掛かった。この持続可能で自然エネルギーを最大限に活用するアイデアは、LEXUSが掲げる3つの基本原則「Anticipate(予見する)」「Innovate(革新をもたらす)」「Captivate(魅了する)」をいかに具現化しているかを基準として審査される最終選考会においてグランプリに選ばれた。「ヘンリーは、シンプルなコンセプトを地域にとって実現可能なものに変えた点が素晴らしいと思います」と、Heartfelt(離れていても相手の存在を感じられることで、孤独を和らげるデバイス)を制作した同じく2021入賞者のゲイル・リーとジェシカ・ヴェアは語る。Portable Solar Distillerは合理的かつ実用的な体験を提供するだけでなく、インフラが社会全体にもたらす影響をも示した。

応募当初のアイデア。太陽エネルギーと海水を利用し、飲料水と拡散光を生み出す装置「Solar Desalination Skylight」

ヘンリーだけでなく、他の入賞者達もメンター陣からそれぞれの専門分野を活かしたアドバイスを受け、アイデアを大きく進化させた。「私が受けた一番のアドバイスは、柔軟性を持ち、デザインを一からやりなおすことを恐れないということでした」とアリーナ・ホロヴァチュク。彼女の作品InTempoは、ストレスを軽減するスマートフォンカバーとアプリで、人間の感情に重点を置いたデザインである。「新しいことに挑戦する勇気をもらいました」と、細胞の接合から着想を得た新しい梱包材CY-BOをデザインした阿部憲嗣は語る。「私たちのデザインの真髄はシンプルさと、高度な技術を必要としないことでした。メンター達から指導を受け、デザインの細部を変えてよりいいものを提案することができました」と語るのは、地下鉄の駅構内向け冷却システムTerracotta Valley Windを開発したIntsui Design。「堂々と未来のデザインに挑戦するよう、背中を押してくれました」とインタラクティブな電子テキスタイルKnitXをデザインしたイルマンディ・ウィチャクソノは語った。

応募当初のアイデア。太陽エネルギーと海水を利用し、飲料水と拡散光を
生み出す装置「Solar Desalination Skylight」

サスティナブルな
未来を追い求める

グランプリ作品であるヘンリーのアイデアは、応募時のアイデアから最終提案までの進化が目覚ましく、その汎用性が評価された。「メンター達のアドバイスを受け、早い段階でアイデアの大きな方向転換を決意し、より身近なソリューションに変えることにしました。」と言う。進化したアイデアは、高度な技術を必要としないので、誰もがそれぞれのクリエイティブ性を生かして、似たような装置を作ることができるように仕上げた。ヘンリーが常に念頭に置いているのは、全体を俯瞰して見ることで、より良い未来のためのデザインを創造すること。「水や電気をはじめとする資源の不足は、この先も、世界中の課題となるでしょう。私は、このアワードでメンター達から学んだ事を生かし、デザインを通してサスティナブルな未来の実現を追い求め続けていきます」

LEXUSは、人と地球の両方にとって「より良い未来」を創造する、新進気鋭のクリエイターを発掘・支援する取り組みを継続していく。今年のグランプリ受賞者と入賞者達は、ソリューションを生み出すことへの一貫した想いを持ち、適応力、そして革新をもたらす力を十分に示した。

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