LEXUS DESIGN AWARD 2013 WINNER INAHO

“世界へ羽ばたくきっかけ”をつくってくれた
「LEXUS DESIGN AWARD」

Text by Rie Noguchi / Photographs by Ari Takagi

2013年よりスタートした「LEXUS DESIGN AWARD」は、革新的なアイデアで、より豊かな社会・未来を創造しようとする気鋭のクリエイターを発掘し、育成・支援することを目的にした国際デザインコンペティションだ。
受賞者は、世界の第一線で活躍するクリエイター陣によるメンターシップ制度を通じた創作プロセスの支援を受けられるだけでなく、そこから生まれたプロトタイプ作品をミラノ・デザインウィークという大舞台で展示し世界に自身の作品をアピールする機会を得ることができる。そのため世界各国の次世代クリエイターたちにとっては一気通貫のコンペとして大きく注目されている。
映えある第1回目のグランプリ受賞者は吉本英樹氏。東京大学で航空宇宙工学を研究したのち、イギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)でデザインを学んだという、異色の経歴の持ち主だ。まずは、吉本氏がLEXUS DESIGN AWARDへ参加することとなった経緯について聞いた。

受賞から7年間で
大きく飛躍

「当時、僕はRCAの博士課程の学生で、論文のテーマが“パルスとリズム”でした。これは、振幅する運動、繰り返し反復する運動をデザインの要素として取り入れるという研究だったのですが、当時のLEXUS DESIGN AWARDのテーマである“モーション”が、僕の研究にぴったりだったんです。また発表の場がミラノ(デザインウィーク)で、しかもLEXUSの冠で作品を出展できるのがこの賞の魅力でした」
LEXUS DESIGN AWARDとは

そんな吉本氏がLEXUS DESIGN AWARDのために制作した作品が「INAHO」。人が前を通るとセンサーが感知し、穂が揺れ、光り始める。その名の通り「稲穂」をイメージした作品だ。カーボンファイバーチューブでできた茎は10ミリ秒単位でデジタル制御され、動きによって風を感じることができる。

世界的デザイナーが
メンターとして指導

吉本氏は作品を作り上げる中で、世界的プロダクトデザイナーであるサム・ヘクト氏のもとで個人指導を受けた。
サム・ヘクト氏プロフィール

「当時はRCAの学生なので、サムさんのようなスーパーデザイナーの仕事場に行き、直接話をしてアイデアを出すという経験は、すごく新鮮だったし、彼の発想はとても勉強になりました」という吉本氏。

受賞に端を発したこの貴重な経験はデザイン・エンジニアとしての大きな自信へとつながり、その後、ロンドンを本拠に自身のデザイン・エンジニアリング・スタジオ「Tangent」を設立。ここ数年は世界的なブランドとのコラボレーションも連発し、直近では2019年3月、ジュネーブで開催された国際高級時計サロン(Salon International de la Haute Horlogerie=SIHH)において、吉本氏の最新作が「エルメス」の展示ブースを彩った。

「僕は幸運にもこの賞のおかげで舞台に引き上げていただいて、それがビッグチャンスにつながっているのは紛れもない事実です。LEXUSといえばデザイン業界からも注目されるブランドです。その力を、学生だった僕が借りることができ、現在にいたっています。LEXUS DESIGN AWARDは、独立して自分の名前でやっていこうとする人にとって最大のチャンス、そしてデザイン・アワードとしてはベストな賞だと思います」

吉本氏を見出した「LEXUS DESIGN AWARD」。今後、このアワードからどんな才能が芽吹いていくのだろうか。