2月7日〜3月30日の日程で開催した「MEDIA AMBITION TOKYO 2014」。メイン会場である六本木ヒルズ52F 東京シティビューに展示された「physical presence」は、LEXUS「LFA Nürburgring Package」をモチーフにした、クリエイター集団 RHIZOMATIKSとINTERSECT BY LEXUSによるメディアアート作品です。
今回は、同作品の前に設けたステージで、RHIZOMATIKS代表 齋藤精一さんとLEXUS INTERNATIONALのExecutive Vice President 福市得雄、そして、MEDIA AMBITION TOKYOの発起人であり主催者のJTQ代表 谷川じゅんじさんによるトークセッションを開催。雑誌「WIRED」編集長 若林恵さんがモデレーターを務め「テクノロジーがもたらすデザイン・アートの未来」をテーマにトークを繰り広げました。
まずは、作品の紹介から。「クルマは前から見ることが多いと思いますが、今回はあえて後ろからの機能美のような美しさを。窓から外に飛び出すように配置して環境との同調感を重視した、LED蛍光灯の光と、音と、風によるインスタレーションです。スピード感や時間の超越、物理的な存在感を表現してあります」と齋藤さんが解説。福市は「リアからのビューは、クルマの骨格が表れるポイント。光や音で作品に時間軸が加わって、空間を飛び越えたものという印象ですね」と話しました。
ここから、話題はクルマとテクノロジーの関係に移っていきました。若林さんが「テクノロジーの発達で、クルマのありようって変わってきています?」と問いかけると、「テクノロジーがどんなに進んでも、扱うのが人間だと考えると技術はビハインドであるべきでしょうね。例えば、オフィスは合理的な空間だけど、家に帰ったらリラックスできるソファに座りたいと思うでしょう」と福市が応えます。
齋藤さんが「テクノロジーが進化して自動運転が実用化されたら、そこで価値観がもう一度転換するでしょうね。自分で運転したほうがいいって言う人もでてきたり。そういう現象は、スマートフォンでも建築でも、いろんな所で起きています」と話すと、谷川さんは「MEDIA AMBITION TOKYO 2014をやりながら思ったのは、いろんなことの境界があいまいになっていること。メインテーマはテクノロジーアートだけど、参加している作家は普段コマーシャルもやっている。他にも、インターネットに接続する人の半分がPCじゃなくてスマートフォントやタブレットからになっていたり、いろんな領域が混ざり合っていると実感しています」と語りました。
その後、効率だけに留まらないクルマの価値に言及し、デザインとアートの境界についても話し合われました。最後に、いろんな人が参加して作り上げていくMEDIA AMBITION TOKYOという試みの狙いや意義について谷川さんが語り、トークセッションは終了。当事者らの口から直接語られる言葉に耳を傾けたあとは、来場者全員でphysical presenceを体感し、貴重かつ有意義な催しは幕を閉じました。