TOUR RESULT

2018.07.19 - 07.22

全英オープン

全英オープン
全英オープン

誰も想像し得なかったトリプルボギー
安全圏から一気に予選落ちの「悲劇」

「状態が凄く悪くなってしまった。
戻ってくれないですね」

 松山英樹としては"異例"の、2週連続出場で挑むメジャー、「全英オープン」。前週は思わぬ予選カットを喫したが、それも福と為すべく、翌土曜日には会場のカーヌスティに入り、調整を開始した。練習ラウンド、レンジでの打ち込みなど、連日、精力的に汗を流した松山は、開幕2日前の火曜日に口を開いた。「手応えを含めれば、不安と期待は50対50ですね」と語っていた前戦終了時のコメントは上方修正されるのか? しかし、答えは逆だった。

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「先週も悪くはなかったんですけど、ショットの部分でもっとやれると思っていました。それがなかなか……。何かをしなくちゃいけないなと。状態が凄く悪くなってしまいました。やっているつもりなんですけど、戻ってくれないですね」

 これまで、ネガティブ発言をしていても、実戦に入れば結果を残してきたことをメディアから問われたが、それも、「今までそう言って、結果が良かった時もありましたけど、今はそういう時じゃないかな」と否定した。

「明日(水曜日)きっかけが掴めれば面白いなと思います。覚醒すれば、良い方向に行くんじゃないかと思いますね」

 その水曜日には、18ホールの練習ラウンドなどをこなし、初日を迎えた松山だったが、内容は"覚醒"とは言えないものとなった。「しっかりと予選を上位で通って、面白い戦いが出来るように頑張りたい」という思惑に、早くも黄色信号が灯った。

 1番で早速、113ヤードの2打目をピン奥6mほどにつけるチャンスを迎えたが、バーディーパットで放ったボールは、カップ手前ギリギリでピタリと動きを止めた。振り返れば、このパットがこの日を暗示していたようにも映る。

続く2番では、グリーン左バンカー縁からの3打目アプローチを上手く約2mにつけたが、パーパットが左に外れて、ボギーが先行。5番では、1打目を右のポットバンカーに入れながら、164ヤードの2打目でしっかりグリーンオンを果たす。しかし、またパッティングがブレーキとなった。段を2つ超える長いバーディートライが2.5mほどショートし、3パットのボギー。前週に使用したニューパターから今週はエースパターに戻したが、それでもパッティングは本調子から遠かった。6番では、3打目を約2.5mにつけたが、バーディーパットはカップに蹴られた。

 グリーン上の出来は、ショットにも影響を与える。8番では、1打目を右のバンカーに入れ、2打目は約3mオーバーして、この日3つ目のボギー。後半に入って10番では、3番ウッドで放ったナイスショットの1打目が、転がりに転がって、400ヤード付近を横切るクリークへ。ボギーは4つ目を数えた。

「止まるだろうとは思っていたんですが。良いショットだったのでショックでした」

 ようやくバーディーが来たのは、この日の難易度18番目だった、短い14番のパー5。

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残り131ヤードからグリーン奥に2オンを果たし、20m以上はあるイーグルトライこそ1m強ショートさせたものの、バーディーパットがカップに蹴られそうになりながら、なんとか沈んだ。しかし、全156選手中、このホールで初日にイーグルを奪ったのが6名で、バーディーは76名だから、バーディーも普通と言えば普通だ。しかも、続く15番では、183ヤードの2打目が左手前のバンカーに捕まり、"逆バウンスバック"のボギー。14番のバーディーは、儚くも帳消しとなってしまった。

 通算4オーバーは110位タイ。トップは5アンダーで、9打先を行くが、それ以上に予選カットラインが気になる位置だ。

「なかなかショットも安定しなくて、パットも入らなかったなという印象ですね。ショットがしっかりしていないと、こういうふうに崩れる原因になるのかなという感じです。悪いパットは打っていなかったんですけど、なかなか入らないということで自信を持てずに最後まで打ってしまいました」

 パット数はこの日、32を数えて、全体のスタッツでは96位タイ。しかし、パットは水物と言われるように、入る時は入るし、入らない時は入らない。一方、パーに終わったものの、17番のセカンドショットで、ほぼ右ピンハイ約5mにつけるなど、「最後には良いショットも何回か打てていた」ことが望みだ。

「ライは全然問題ないと思ったけれど……。
前の土手に当たったと思う」

 迎えた2日目。上下にレインウェアを着込まなければいけないコンディションながら、松山は、「明日に繋げられるように頑張りたい」と言っていたショットの好感触を武器に、難コースのカーヌスティを攻め、次々とチャンスを作っていった。

 1番では、157ヤードの2打目を約6mにつけたが、バーディーパットはカップ左を抜けた。3番でもフェアウェイからの2打目を約4mにつけたが、またしてもパットはカップ左に外れた。初バーディーは5番。174ヤードの2打目をベタピンの約50cmにつけるスーパーショットで、スコアを通算3オーバーに縮めた。

 このバーディーをラッシュに繋げるべく、松山はこの後もチャンスを演出していった。6番では、3打目を約3.5mに寄せたが、バーディーパットがカップに蹴られて天を仰いだ。8番では、1打目を6mほどにつけたが、またもやカップはバーディートライのボールを弾いた。折り返して10番では、右奥のピンに対し2打目を手前4mほどに乗せたが、バーディーパットはあと10cm足りなかった。続く11番でも、左ラフから左ピンハイ約3.5m。しかし、バーディーパットはカップ左に抜けていった。

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 12番で、2打目をやや左に曲げてアプローチも寄り切らずに痛いボギーを喫したが、それでも松山は攻め手を緩めることはなかった。13番では、抑えたショットでピン筋に1打目を飛ばして奥5mにオンも、パットは左に外れた。ようやく報われたのは14番だった。フェアウェイから残り180ヤードの2打目が、再びピン筋に飛んで約6m。わずかに左に曲がりそうな、ほぼ真っすぐのラインを読み切り、起死回生のイーグルとなって、松山の顔に笑みが浮かんだ。

 こうなれば循環は良くなる。雨が収まってきてレインウェアの上着を脱いだ、続く16番では、ティーショットをいい感触で見送って、「止まれ!」の声。ピン右奥約4mについたボールをしっかりと沈めて、キャディと笑顔のグータッチだ。

 この時点で通算1オーバー。18番を迎えた時、順位は41位タイで、もはや誰も松山の予選通過を信じて疑っていなかった。しかし、1999年、ジャン・バン・デ・ベルデ(フランス)の「カーヌスティの悲劇」を演出したこのホールには、やはり何かがあるということだろうか。この日の18番は、平均スコア4.310という難易度2位のホールで、ダブルボギー以上は15人。松山も、"魔物"に飲み込まれ、信じられない光景が展開された。

 アイアン型ユーティリティによる1打目を、松山はナイスショットの様子で終えたが、ボールは左のラフに。小高いマウンド手前にボールが止まり、2打目では左足上がりのアドレスを強いられるライだ。ピンまで残り205ヤード。「右から風が来ていたので、右のバンカー方向から流れて、グリーンセンターくらいに乗って、バーディーパットが打てれば良い」という考えで放った6番アイアンでのショットは、ダフリ気味に入ったのか、アップヒルのライと相まって、ボールは左に飛んだ。ギャラリーとコースを隔てる柵の外はOBという設定のこのホールで、ボールは無情にも、幾重かに出来た人垣を越えていった。

「ライは全然問題ないと思ったけれど……。残念です。前の土手に当たったと思います。自分でも、まだ原因が分かっていないので……」

 打ち直した4打目もグリーンをわずかに捉えられず、パターで打った5打目は約2mショート。運命の6打目は、先に近いラインから打ったタイガー・ウッズ(アメリカ)のボールが右に切れたことも頭にあったためか、カップの左サイドに蹴られるストロークとなった。あまりに痛すぎる、トリプルボギー。

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 ホールアウト時点で通算4オーバーは91位タイ。時間が経つに連れ、少しずつ順位は上がったが、結局、80位タイが松山の最終順位となった。予選通過に1打足りなかった。

「今日はショットが比較的安定していたので、スコアが伸ばせるかなと思ったんですけど、最後になんでトリプルを打ったのか、ちょっと分からない。残念ですね。イーグルは、今日初めて長いパットが入ったので、リズム良くプレー出来るかなと思ったんですけど、最後が本当に悔やまれますね」

 この経験は、松山に何を残すだろう。大きな傷となるのか、2打目のただ1打だけの失敗と捉えられるのか。無念さは、察するに余りある。だが、松山は気丈に前を向いた。

「ショットが良かったのはプラスになりますけど、そこをスコアに生かせなかったというところは、今後の課題。悪かった原因が、パッティングに関しても少しずつ分かり始めているので、それを結果に繋げられるように頑張りたいです」

 次戦は、前年王者として迎える、8月1週目のWGC、「ブリヂストン招待」。松山英樹の、意地と底力が問われる。

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スコアボード

HOLE
Par
ROUND4
ROUND3
ROUND2
ROUND1
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 T
4 4 4 4 4 5 4 3 4 4 4 4 3 5 4 3 4 4 71
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4
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3
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5
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3
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4
4
4
4
75
4

リーダーズボード

Pos Name
1 フランチェスコ・モリナリ
2T ジャスティン・ローズ
2T ロリー・マキロイ
2T ケビン・キズナー
2T ザンダー・シャウフェレ
6T エディ・ペパレル
6T タイガー・ウッズ
6T ケビン・チャッペル
9T トニー・フィナウ
9T マット・クーチャー
9T ジョーダン・スピース
CUT 松山英樹
Total Thru Round R1 R2 R3 R4 Strokes
-8 F -2 70 72 65 69 276
-6 F -2 72 73 64 69 278
-6 F -1 69 69 70 70 278
-6 F 3 66 70 68 74 278
-6 F 3 71 66 67 74 278
-5 F -4 71 70 71 67 279
-5 F E 71 71 66 71 279
-5 F 2 70 69 67 73 279
-4 F E 67 71 71 71 280
-4 F 1 70 68 70 72 280
-4 F 5 72 67 65 76 280
4 - E 75 71 - - 146

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松山英樹は2014年1月よりLEXUSの所属となりました。