TOUR RESULT

2017.08.10 - 08.13

全米プロゴルフ選手権

いったんは届いていた
優勝スコア8アンダー
3打差5位タイで涙にくれた
メジャー最終戦

前週の最終日「61」を再現したような
第2ラウンド「64」の猛チャージ

 WGCブリヂストン招待制覇の翌日、松山英樹の姿は、2017年最後のメジャー、「全米プロゴルフ選手権」の会場、ノースカロライナ州のクエイルホロークラブにあった。最終日にコースレコードタイ「61」をマークしての逆転優勝という衝撃は、一晩で松山に対する周囲の視線を大きく上方修正させていた。恒例の優勝予想、パワーランキングではロリー・マキロイ(北アイルランド)を抑えての堂々1位。

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周囲のプレーヤーたちも軒並み、松山を賞賛し、今大会での優勝候補筆頭に推すコメントを寄せた。

 これまで以上に大きな期待を背負って、初日をスタートしていった松山は、前半9ホールを1アンダーで折り返すと、後半では3番から3連続ボギーを喫するも、逆に上がりの3ホールで3連続バーディーを取り返して挽回。6バーディー、5ボギーと出入りの激しいプレーで1アンダー、トップと3打差の15位タイとなったが、この数字さえも偉業達成への「吉兆」と捉えた人は多かったはずだ。思い返せば、WGCブリヂストン招待初日も7バーディー、6ボギーという出入りの激しさで、1アンダー、15位タイだった。もちろん、松山本人はそんなことはまったく気にも留めていなかったはずだが。

「前半の感じだと、もう少し伸ばしたかったですが、後半の感じなら、よく戻せたなと思いました」

 プレー内容に不満はありつつも、自分に過度なプレッシャーをかけることなく、平常心を保つべく、「明日も、無理せずにいけたらいい」という言葉も残した。

 迎えた2日目。松山は、「無理せず」どころか、一気にギアを上げた。前週の勢い、そしてメジャーへの思いが迸るようなプレーだった。

前半、5番で149ヤードの2打目を2.3mにつけてバーディーを奪うと、7番ではグリーン左サイドの、左足下がりの難しいライから2クッションを入れての3打目アプローチが1.7mについて、2つ目のバーディー。パーオンを逃した1番、2番や、6.8mのパーパットを残した9番のピンチも凌ぎ、ノーボギーの2アンダーで折り返すと、後半ではバーディーが止まらなくなった。12番では右ピンハイ3.5mを沈め、13番では、ティーショットがピン手前1.8mにつくスーパーショット。14番では、81ヤードの2打目が左ピンハイ1.9mを捉え、15番では、雷雲接近による1時間42分の中断を挟んだものの、グリーン右サイドのラフから、3打目を上げて転がして50cm強にピタリ。これぞ圧巻という4連続バーディーを決めた。

 17番でも、「今日のベストショット」と評したティーショットが右ピンハイ2mについて、この日奪ったバーディーは合計7つ。「64」は、2日間のベストスコアタイという猛ラッシュだった。通算8アンダーで、順位はトップタイへ。前週の最終日を思わせる強さに、世界中がさらに松山の勝利を信じて疑わなくなった。

 しかし、松山は慎重な姿勢を崩さなかった。自分の調子は、自分が一番分かっている。

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「1番、2番で上手くアプローチでセーブ出来たと思います。アプローチが上手くいっても、微妙な距離を外していたら話にならなかったので、そういう意味では、1番、2番のパットは凄く大きかったと思います。昨日よりも練習場での状態は良かったが、1番からとんでもないショットがいっぱい出ました。よくノーボギーで回れたなあと思います」

 勝負が2日間で決まるならいいが、まだ残り2日間ある。しかも、それがとりわけ厳しい36ホールとなることも心得ている。

「どういうコンディションになるかもわからないですね。伸ばさなければいけないのか、耐えるべきなのか、わからないですけど、その場その場でベストを尽くせるようにしたいです」

 3日目、松山のラウンドは、前日とは打って変わって忍耐の18ホールを過ごすことになった。やはりメジャーは、一筋縄ではいかない。松山が、「朝起きて、ピンポジションを見た瞬間、今日は大変だなと感じました」というコースセッティングの厳しさもあって、明らかにチャンスという場面は、数えるほどしか訪れなかった。

 1番では、グリーン左のバンカーから1.7mに寄せたが、右に曲がるラインでカップに蹴られて、ボギー発進。7番では、右ラフから残り220ヤードをアイアンで5.4mにつけるスーパーショットを披露したが、イーグルトライはショートして、バーディー止まり。

 9番では1打目を左の林に曲げながら、3.7mのパーパットを強めにヒットして沈め、前半をイーブンとしたが、そのナイスセーブを後半に繋げることが出来ない。12番では、グリーン左のラフからのアプローチで、ヘッドがボールの下を潜り、13番では1打目がいったんグリーンを捉えるも、傾斜で転がり、グリーン右のラフへ。連続ボギーは痛い。

 こうなると、チャンスでもなかなかボールはカップに収まってくれない。14番では5.8mのバーディーパットが、手前で大きく左に曲がっていった。15番でも2mのバーディーパットが、カップ左を抜けていく。

「少しずつ優勝争いをしているプレッシャーもありますし、自分の中であった違和感が、今日、思い切り出てしまった感じですね。」 

 ただこの日は、このまま2オーバーでよく踏ん張ったと言うべきだ。同組のジェイソン・デイ(オーストラリア)は6オーバーと崩れ、この日もトップを守った同組のケビン・キスナー(アメリカ)は、難関の上がり3ホール、「グリーンマイル」で3つスコアを落とした。トータル6アンダーで、そのキスナーに1打差の2位タイ。ブリヂストン招待とこれまた同じく、最終日は最終組の一つ前というのもゲンがいい。

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「最後の3ホールくらいで面白い位置にいられたらいい。チャンスもあると思うし、ピンチも今日みたいにたくさんあると思います。一つひとつ、無駄のないようにしたい。ミスをすれば、それは仕方ないと思いますし、ミスはするものだと思う。その分、良いショット、良いパットが打てれば良いと思います。」

「ここまで来た人はいっぱいいる。
勝てる人になりたい」

 夢が懸かった、運命の最終日。「日本ツアーで、アマチュアでやっていたときのような緊張の仕方でした」と松山は振り返ったが、実際、1番でいきなり1.3mのチャンスにつけながらバーディーパットを決められず、2番ではアプローチが1.9mを残してボギー。さらに3番では182ヤードの2打目がピンに当たり、5.2m右に跳ねるという不運にも見舞われた。

 ただ、それでも前半は、ほぼ松山の理想の展開だったのではないだろうか。「昨日よりは良いショットが出て、ピンにも行っていたと思います」と言う松山は、6番で1打目を2.8mにつけ、7番では203ヤードからアイアンで2オンし、難しい下りの繊細なタッチが要求された20mのイーグルパットを1.4mに寄せて、連続バーディー。

これでトップのキスナーに追いつき、そのキスナーが7番でスコアを崩したことで、松山が7アンダーで単独トップに立った。さらに、折り返しての10番でも、松山が6.8mのバーディーパットを決めて8アンダー。このまま、前週のように後続を突き放すと、誰もが信じた。

 だが、「勝負はサンデーバックナイン」とはよく言ったものだ。「チャンスにつけられる位置からボギーにしたのが、ふがいないですね」と語ったように、11番でフェアウェイ真ん中からの151ヤードをピッチングウェッジで右に外して以降、松山のプレーにブレが出はじめた。その11番では、1.3mのパーパットがカップ周辺についたスパイクマークで跳ねて、カップに蹴られた。12番では、左ラフからの2打目をグリーン奥にオーバーし、アプローチではヘッドがボールの下を潜り抜けた。さらに13番では、左サイドのピンに対し、ティーショットが大きく右へ。思いがけない3連続ボギーを献上する。

 それでも松山は、前日に思い描いていたように、最後の3ホールで勝負に持ち込むべく踏ん張った。14番では花道からの27ヤードを、強烈なスピンを効かせたアプローチで寄せ、15番では、3.6mのパットを強めにヒットして、カップを捉えた。同組で回る首位のジャスティン・トーマス(アメリカ)とは1打差の2位タイへ再浮上する。

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 しかし、前日までの3日間でトータルイーブンパーと、松山には優しかった「グリーンマイル」が、この日だけは厳しかった。16番では、右ラフからの2打目がフライヤーでグリーンオーバー。そこから1.5mに寄せたものの、先に1.9mのクラッチパットを決めたトーマスに対し、松山のパーパットは無情にもカップに蹴られた。

「ティーショットのミスとパットのミス。入らなかったのが結構、効きましたね」

 さらに、続く17番では、トーマスがバーディーを奪って3打差。最終18番を迎える前に、勝負はほぼ決してしまった。その18番では、松山がティーショットを左のクリークに打ち込み、万事休す。5アンダー、5位タイで松山の2017年メジャーは幕を閉じた。

「気持ちの部分も成長しないといけないですね。ただ、自信を持って打てる技術がないのかなと思います」

 トーマスの優勝スコアである8アンダーに、10番でいったんは到達していた。ワナメーカートロフィーは、一瞬だが、確実に、松山の手の中にあった。その事実が余計に、松山の涙を誘ったのかもしれない。

「ここまで来た人はいっぱいいる。ここから勝てる人と、勝てない人の差が出てくると思うし、勝てる人になりたいなと思います」

 いや、もう充分に、「勝てる人」にはなっている。あとは、順番が回ってくるのを待つだけだということを、世界中の誰もがこの2週間で、これまで以上に感じたはずだ。

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スコアボード

HOLE
Par
ROUND4
ROUND3
ROUND2
ROUND1
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 T
4 4 4 3 4 3 5 4 4 5 4 4 3 4 5 4 3 4 71
4
E
5
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4
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4
-2
4
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3
-2
5
-1
70
-1

リーダーズボード

Pos Name
1 ジャスティン・トーマス
2T フランチェスコ・モリナリ
2T パトリック・リード
2T ルイ・ウーストハイゼン
5T リッキー・ファウラー
5T 松山英樹
7T グラハム・デラート
7T ケビン・キスナー
9T ジョーダン・L・スミス
9T マット・クーチャー
9T ジェイソン・デイ
9T クリス・ストラウド
Total Thru Round R1 R2 R3 R4 Strokes
-8 F -3 73 66 69 68 276
-6 F -4 73 64 74 67 278
-6 F -4 69 73 69 67 278
-6 F -1 70 67 71 70 278
-5 F -4 69 70 73 67 279
-5 F 1 70 64 73 72 279
-4 F -2 70 73 68 69 280
-4 F 3 67 67 72 74 280
-1 F -3 70 75 70 68 283
-1 F -3 71 74 70 68 283
-1 F -1 70 66 77 70 283
-1 F 5 68 68 71 76 283

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松山英樹は2014年1月よりLEXUSの所属となりました。