TOUR RESULTTOUR RESULT

2017.07.20 - 07.23

全英オープン

あまりに無情な
最終日1番のティーショット
トリプルボギーで潰えた
メジャー初制覇の夢

言葉数の少なさに見えた
この1戦に懸ける思い

 2週前、ヨーロピアンツアーの1戦を戦って以降もイギリスに滞在を続け、現地にしっかりと体を慣らした松山英樹。過去4度の出場時以上に万全の状態で、第146回全英オープンに臨むことになったと言えるだろう。

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 約1カ月前のUSオープンで2位タイとなり、直近7戦でメジャー初優勝者が続いている状況も相まって、否が応でも高まる松山への期待。もちろん、今回の全英オープンに対する自身の気持ちの入り方も、尋常ではなかったはずだ。開幕前日、メディアの取材に応えた松山の口が滑らかでなかったのは、その裏返しではなかったか。優勝への自信を問われても、「何も思っていないです。0でもないし、100でもない。全英オープンはトップ10が1回だけだから、ちょっとは頑張りたいです」と煙に巻けば、周囲のヒートアップに対しても、「期待を掛けているのは僕じゃないですよ」と、質問をかわす。闘志を見せるべき時は今ではないと、自身に言い聞かせているようだったと言えば、それは、深読みし過ぎだろうか。

 ともあれ、迎えた初日の松山は、期待通りのスタートを切っていった。グリーンが硬いという前評判だったが、前夜からこの朝までの雨によってボールが止まりやすい状況となり、出だしから松山はピンを果敢に攻めた。1番では2打目をピン右奥約2.5mにつけて、バーディー発進。4番と6番でガードバンカーにつかまってボギーを2つ献上しても、「ショットが悪かったら仕方がないです」と、松山は意に介さなかった。

7番では、ピン左1m強につけるスーパーショットでバウンスバックすると、9番でもピン右約2mのチャンスを決めて、前半9ホールを1アンダーで折り返す。後半は一転、なかなかスコアが動かないホールが続いたが、それでも傷を負うことなく、しっかりとアンダーを重ねてみせた。18ホールの中で1つ目のパー5である15番では、2打目で3番ウッドを振り抜き、グリーン手前までボールを運ぶと、パターで3打目を50cmに寄せて、この日4つ目のバーディー。惜しむらくは、もう1つのパー5、17番だろう。約40ヤードを残した難しいバンカーショットの3打目で、左ピンハイ約1.5mに寄せながら、バーディーパットがカップ左を通過。ただそれにも松山は、「難しくはないけど、外しましたね」と冷静に振り返り、トップと3打差の2アンダー、12位タイという上々の初日に満足感を示した。

「ショットはいい形でグリーンには乗せることが出来ていたので、その分、パットが大事だった1日と思います。1番で思わぬバーディーが来て、凄くうれしかった。順位は悪くはないと思うので、明日からもしっかり伸ばしていけるように頑張りたいと思います。今日のように粘り強くやれたら上位に行けると思うので、しっかりと準備したいなと思います」

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 2日目は、まさにその"粘り強さ"が求められる1日となった。会場のイングランド、ロイヤルバークデールゴルフクラブは、前日の比較的穏やかな天候から変わって、雨も風も混ざる全英オープンらしい空模様となり、多くの選手が苦戦を強いられた。アンダーパーをマークしたのは、わずか8人。松山は、その8人の中に名前を連ねられなかった。

 6番では、グリーン右の小さい丘の上からのアプローチがミスとなって、ボギーが先行。しかし、続く7番では、「風が分からないまま打ったら、たまたまつきました」というティーショットで、奥のピンにしっかりと突っ込み、左約1mとすると、続く8番でも137ヤードの2打目をピン右手前2.5mに寄せて、連続バーディー。すかさず、この日のスコアを1つ潜らせて、松山の安定感はこの日も変わらないように思われた。

 だが、このまま流れを引き寄せたいところの松山を止めたのが、雨だった。9番のグリーンに上がったところで、プレーの中断を知らせるホーン。グリーン上に水が浮いたためだった。約10分後の競技再開後、松山の苦戦が始まった。

10番ではアイアンでのティーショットで右手を離し、ボールは右のバンカーにつかまると、続く11番でも同様の右手を離すティーショットで右ラフに打ち込んで、連続ボギー。12番では、約3mの右に曲がるラインを読み切って、ナイスパーセーブを見せたが、13番でもティーショットが右の深いラフにつかまって、この日4つ目のボギーを重ねた。

 14番では約4m、16番では約8mを決めて、この日のスコアをイーブンに戻したが、「そのまま終わりたかったですね」という松山の願いは、17番で砕かれた。ティーショットをファーストカットに置いたものの、2打目は前方に小山が邪魔をするブラインド。3番アイアンでのショットが左に逸れていき、ブッシュにつかまって、今大会初のダブルボギー。続く最終18番で、1打目で右ラフ、2打目でグリーン手前のバンカーと苦労しながらも、何とかパーセーブ出来たのが救いだった。

「あれをボギーにしていると、だいぶ気持ち的にも落ち込んで明日を迎えるところだったです」

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 この日のスコアは2オーバーで、トータルイーブンパー。松山はこの1日を、「しんどかったですね」と、正直に漏らした。だが、首位とは6打差に開いたものの、10位タイでの大会折り返しに、松山は、「悪い位置じゃないですね」と前向きだった。

「天気次第だけど、トップの6アンダーはなかなか落ちてこないと思う。明日はしっかりと5アンダーくらいを目指したいですね」

高まる期待を撥ね付けてきた
メジャーの厳しさ

 最終日に優勝を狙える位置を手繰り寄せたい3日目。天候は再び、初日のような穏やかさを取り戻し、松山には当然、ビッグスコアが求められた。

 その期待に応えるように、前半では松山らしいチャージが見られた。4番でアプローチをショートしてボギーとしたことが、逆にスイッチを入れた。5番の短いパー4では、ドライバーでグリーンを捉え、2パットで収めてバウンスバック。6番では、2打目を打ったあとに、手の中でクラブをクルクルと降ろす、いいフィーリングの時の仕草が出て、ピン手前2m。

さらに7番のティーショットでも、同じくクルクルとクラブを回した松山のボールは、右ピンハイ1.5m。圧巻の3連続バーディーだ。

 しかし、前日に「昨日より良くなっていると思います」と言っていたパッティングが、後半9ホールの要所で決まらなかったのが痛かった。10番では、約3.5mが一筋ずれた。14番では、約4mを決めて4つ目のバーディーが来たが、15番ではガードバンカーから1mに寄せるも、その短いチャンスのバーディーパットが沈んでくれない。

 17番では、右ガードバンカー手前からの3打目のアプローチでダフって、6mショートさせたが、バーディーパットをねじ込んでガッツポーズ。「ショットがちょっと思うようにいかなかったので、途中苦しかったですけど、17番でいいパットが入って良かったです」と語ったが、この日の5つのバーディー(1ボギー)は、物足りなかったというのが正直なところだろう。トータル4アンダーは5位タイながら、首位とはさらに7打差に開いた。

 ただ、それでも松山は、悲観まではしていなかった。

「もうちょっといいプレーが出来たらなあという感じはありますけど、悪い位置ではないです」

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 当然ながら、最終日は猛チャージが求められる。

「天気次第ですけど、ビッグスコアが必要だと思うので、それに向けてしっかり備えたいなと思います。不安な部分は、やっぱりティーショットとアプローチですかね。少しはチャンスがあると思うし、凄く楽しみな1日になると思います」

 しかし、この"凄く楽しみな1日"という言葉は、結果的に見れば、無情さを増幅させることになってしまった。誰も予想しなかった、1番ホールでのティーショット。「今日は練習場でも凄く悪かったし、とりあえずフェアウェイ方向に打っておこうみたいな感じでした」という一打は、右サイドの柵を越えてOBゾーンに吸い込まれていった。5オン2パットのトリプルボギー。わずか1ホールで、メジャー初制覇の夢は大きく遠のいた。

「まず、早くこの日のパープレーまで戻せたらどうかな、というのはありました。パー5も2つ残っているし、どうにか出来るかなと思っていました」と、松山は気持ちを奮い立たせたが、一度綻んだものは、なかなか繕うことが難しい。8番で約4.5mを沈めて初バーディーを奪い、拳を握りしめたが、11、12番で連続ボギー。15、17番のパー5で2つバーディーを奪い返したが、スコアボード左端の「+3」はあまりに重すぎた。この日2オーバーで、トータル2アンダー、14位タイ。通算20回目のメジャーは、松山を厳しく撥ね付けてきた。

「まあ、残念な一週間です。もうちょっと落ち着いてから考えたいです……」

 松山のホールアウト後に世界が見たのは、ジョーダン・スピース(アメリカ)の3冠目の快挙だった。序盤に崩れながら、終盤4ホールに5打を縮める猛攻で、4日間60台のスコアを並べてみせた、2歳下のライバルの強さ、安定感。松山に、どんな思いを掻き立たせたことだろう。焦りか、さらなるモチベーションか。いや、松山なら、そんな問いかけは一笑に付すだろう。残る今年のメジャーは、2週を挟んでの8月のPGAチャンピオンシップ。さらなる強さを纏った姿を、きっと世界に見せつけてくれるにちがいない。

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スコアボード

HOLE
Par
ROUND4
ROUND3
ROUND2
ROUND1
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 T
4 4 4 3 4 4 3 4 4 4 4 3 4 3 5 4 5 4 70
7
3
4
3
4
3
3
3
4
3
4
3
3
3
3
2
4
2
4
2
5
3
4
4
4
4
3
4
4
3
4
3
4
2
4
2
72
2
4
E
4
E
4
E
4
1
3
E
3
-1
2
-2
4
-2
4
-2
4
-2
4
-2
3
-2
4
-2
2
-3
5
-3
4
-3
4
-4
4
-4
66
-4
4
E
4
E
4
E
3
E
4
E
5
1
2
E
3
-1
4
-1
5
E
5
1
3
1
5
2
2
1
5
1
3
E
7
2
4
2
72
2
3
-1
4
-1
4
-1
4
E
4
E
5
1
2
E
4
E
3
-1
4
-1
4
-1
3
-1
4
-1
3
-1
4
-2
4
-2
5
-2
4
-2
68
-2

リーダーズボード

Pos Name
1 ジョーダン・スピース
2 マット・クーチャー
3 李昊桐
4T ロリー・マキロイ
4T ラファエル・カブレラ・ベロ
6T マシュー・サウスゲイト
6T マーク・リーシュマン
6T アレクサンダー・ノレン
6T ブランデン・グレース
6T ブルックス・ケプカ
14T 松山英樹
Total Thru Round R1 R2 R3 R4 Strokes
-12 F -1 65 69 65 69 268
-9 F -1 65 71 66 69 271
-6 F -7 69 73 69 63 274
-5 F -3 71 68 69 67 275
-5 F -2 67 73 67 68 275
-4 F -5 72 72 67 65 276
-4 F -5 69 76 66 65 276
-4 F -3 68 72 69 67 276
-4 F E 70 74 62 70 276
-4 F 1 65 72 68 71 276
-2 F 2 68 72 66 72 278
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松山英樹は2014年1月よりLEXUSの所属となりました。

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