TOUR RESULT

2017.06.15 - 06.18

全米オープン

悲願まであとわずかの自己最高2位タイ
"メジャーへの合わせ方"を掴んだか?

「これだけ1日で変わるという
ことは、1日で崩れる可能性もある」

 マスターズ以降の3戦であまり輝きを放てないまま、全米オープンを迎えた松山英樹。前戦からの期間中は、さぞ練習に余念がなかったことと思いきや、拠点としているフロリダ州オーランドは、「ずっと雨が降っていて、ほとんど練習出来ませんでした」と言っていた。「焦りしかないです」と続けた松山だが、前週の土曜日から会場のエリンヒルズでラウンドと練習を重ねた末の、「メモリアルのときよりは良いと思います」という言葉が頼みの綱だ。

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「4日間あるので1日1日が大切。初日から出遅れないようにしっかりと頑張りたいです」

 しかし、サディスティックとさえ言える厳しいセッティングの全米オープンは、好調であったとしても、いいプレーが出来る保証はない。初日の松山は、結果から言えば、心に留めていた「出遅れないように」という注意点を実践することは出来なかった。

 インスタートのこの日、5つ目のホールとなる14番で、206ヤードの3打目をグリーン左奥の背の高いフェスキュー芝の中に打ち込んで、ボギーが先行する。しかし、続く15番では、フェアウェイど真ん中の残り103ヤードから、52度のウェッジでピン左奥約5mに落とすと、ボールは傾斜をするすると戻ってカップイン。大歓声を巻き起こしたイーグルは、一気に流れを呼び込んでくれるものと思われた。

 だが、松山に言わせれば、この日は、「それだけ」だった。17番では196ヤードの2打目がグリーンを捉えるも、転がってオーバーしてコレクションエリアに。スコアをイーブンに戻すと、後半の3番では、残り43ヤードの3打目が2.5mを残して、この日3つ目のボギー。

8番でも6mのパーパットとなって、スコアは2オーバーまで達してしまった。トップは、同組の7アンダー、ファウラーに対して、松山は82位タイ。痛い出遅れだ。

「良い人はスコアが出ると思っていました。出なかったのは、僕の状態が悪いということです」何よりこの日は、決めたいパットが決まらなかった。イーグル直後の16番では4mのチャンスを沈められず、最終9番でも、せっかくティーショットをピン奥2mにつけたものの、左に曲がるラインがカップ左を抜けていった。

 ホールアウト後のパッティンググリーンでは、宮里3兄弟を育て上げた宮里優さんから教えを乞う場面も見られた。とにかく、何かきっかけが欲しかったのだろう。パッティングさえ上向けば、ショットも無理をしなくて済むようになる。

 2年連続全米オープン予選落ちも頭をよぎる順位でスタートした2日目。しかし、前日の教えが効いたのか、それはまったくの杞憂だった。宮里優さんからのアドバイスを、「参考にして、すべてを受け入れるわけじゃなく、自分の中で試行錯誤しながらやりました」というパッティングが、次々とカップを捉えていった。まさにバーディーラッシュだった。

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 1番では、201ヤードの2打目をグリーン手前20ヤードまで運んで、そこからきっちり2打で上がってバーディー発進とすると、距離の短い2番ではドライバーでグリーン手前26ヤードまで放って、1.5mに寄せて連続バーディー。さらに4番では3mを沈め、圧巻は6番から。6番はティーショットを4.2m、7番パー5は3打目の59ヤードを60cm、7番では7mをジャストタッチで沈めた。3連続バーディーで、前半は30。後半こそ、13番の8.6mのわずかに左に曲がるラインを決めた1つのバーディーに留まったが、終わってみれば、メジャー自己ベストの65をマークしていた。通算5アンダーで、順位は76人抜きの8位タイ。トップは前日から伸びずに7アンダーと、2打差先で足踏みだ。

「最高ですね」と松山の口も、当然滑らかになった。

「久々にいいスコアで、嬉しかったです。いいプレーをしたら5、6アンダーで回れると言ったけれど、回れなかったら『口だけかよ!』と言われるので、1度でも回れて良かったです」しかし、決勝ラウンドに向けて、注意も怠らない。

「パッティングが1日でこれだけ変わるということは、1日で崩れる可能性もあります」

「4日間続けられないと
トップには追いつけない」

 悲願のメジャー制覇に向けて3日目が重要なことは、松山ならずとも重々わかっている。たとえトップに出られなくても、しっかりと射程圏で最終日に繋げたい。しかし、松山のこの日のゴルフは、初日ほどではないにしろ、再び、下降線を辿った。やはり自信を持つまでに至っていないことが、プレーを日替わりにさせてしまうのだろう。

 前半はまだ堪えていた。2番ではティーショットをグリーン手前の残り14ヤード地点まで運んでバーディーとすると、8番では右ファーストカットから203ヤードをグリーン手前に落とし、そこからボールが転がって、手前1m。2アンダーで9ホールを折り返す。

 しかし、「いずれ、ああいうミスが来るだろうと思っていた」通りとなったのが10番。1mを残したパーパットがカップ左を通過する。6.5mからの3パットで、この日初のボギー。

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「1日1日、フィーリングは変わるものだと思うけど、ちょっと変わり過ぎています。不安な部分がそのままカップから遠ざかっていっている結果に表れているのかなと思います」

 11番では5.3m、12番で3.8mのチャンスをフイにすると、やはりリズムは自然と崩れる。13番では、ティーショットをグリーン右に外し、3.7mを残したパーパットは右に切れていった。続く14番ではグリーン手前のバンカーから3打目を1mに寄せてバウンスバックを果たしたが、短いパー4の15番では、スプーンで1オンを狙ってグリーン手前まで運ぶも、傾斜でやや距離のある右手前のバンカーにボールが吸い込まれ、そこから1打でグリーンに乗せることも出来ず、バウンスバックを帳消しにしてしまう。

「ショットが良くなってきていたし、簡単に『3』が取れる方法がないかと考えました。あとあと考えれば、レイアップのほうがリスクは絶対少なかったし、やっぱりそういう欲が……」

 最終18番では、ティーショットを右の深いラフに入れながらも、きっちりと3打目を3.4mに寄せてバーディーとし、この日を1アンダーとしたが、9アンダーや7アンダーを出す選手もいるような中では、上位陣から引き離されても仕方がなかった。トップとは6打差が開いてのトータル6アンダー、14位タイ。

 それでも、もちろん松山の闘志は衰えていなかった。狙うは、2日目の再現だ。

「だいぶトップとの差が開いてしまったけれど、ビッグスコアを出せれば、まだまだ諦める位置ではありません。そのプレーが出来なかったら、下位で終わるというだけです」

 最終日。まさに有言実行の18ホールを、松山は展開してみせた。6番と15番でボギーを喫し、2日目のスコアこそ上回れなかったが、バーディー数は1つ上回る猛攻だった。

 1番パー5で286ヤードの2打目を2オンさせ、きっちり2パットでバーディーを奪ったことが狼煙となった。4番では左奥のカラーから、右に曲がる12.5mをねじ込んだ。続く5番では、149ヤードの2打目を、ピンの根元45cmに絡ませた。

 前半を2アンダーで終えると、後半はトップを追いかけるべく、ギヤを1段も2段も上げた。11番では3.3mを沈め、12番ではピン手前5.5mの左に曲がるラインを真ん中から決めて、連続バーディー。ついにスコアは2桁に乗った。14番では、2打目をグリーン手前まで運ぶと、38ヤードのアプローチはキュキュッとスピンが入って、ピン手前のお先にの距離にピタリ。大歓声が、松山の背中を後押しする。

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 15番でボギーが来たが、もはや松山の気持ちを挫くようなものではなかった。

「16番以降は、風がフォローだったので、全部取れるかなと思っていました。取ったら13アンダーで、そのときのトップだったのでチャンスはあるかなと思っていました」

 16番パー3では、右ピンハイ3.3mにつけて、左に曲がるラインを流し込んだ。最終18番パー5では、305ヤードの2打目を振りちぎり、本人こそ、「あーっ」と天を仰いだが、グリーン右のファーストカット。27ヤードのアプローチを1mに寄せて、きっちりバーディーフィニッシュ。トータル12アンダーは、この時点でクラブハウスリーダーだった。

 やるべきことは、やった。そういう心境だっただろう。結局、ブルックス・ケプカ(アメリカ)が16アンダーまで伸ばしたが、それを自らの手でどうにか出来るわけではない。

「なかなか初日に出遅れて、ここまで戻せるということはなかったので、良かったですね。ちょっとしたきっかけがあれば、いいショットが打てるという感じはありました。それが4日間続けられないと、ああいうトップのスコアには追いつけないなというのはありますね」

 それでも、2位タイは自身メジャー最高位。得た自信が大きいことが、表情に表れていた。

「今週はそんなに切れることなく、久々にいい感じで、前向きにプレーが出来ました。2日間はいいプレーが出来たので、あと2日いいプレーが出来るように次に向けて練習したいです」

 次のメジャーは、すぐ1カ月後にやってくる。

「今週、最終日に風が吹いて、その中でもいいプレーが出来ました。これを次のアイリッシュオープン(7月6日開幕のドバイデューティーフリー アイリッシュオープン ホステッドby ザ・ロリーファウンデーション)で、もうちょっといいフィーリングで、風の中の対応や、寒さ対策もしながらいけたら、全英でもいいプレーが出来るかなと思いますね」

 前回も書いたが、マスターズ前も調子は決して良くなかったが、松山はオーガスタでしっかりと世界トップランカーの仕事をしてみせた。今回もそれは同じ。しかも、順位はオーガスタの11位タイを大きく上回った。もしかしたら松山は、メジャーへと自分の気持ちやプレーを上げていく方法を確立しつつあるのではないか。2位タイという数字が感じさせる以上に、悲願は限りなくすぐそばに近づいているのかもしれない。

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スコアボード

HOLE
Par
ROUND4
ROUND3
ROUND2
ROUND1
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 T
5 4 4 4 4 3 5 4 3 4 4 4 3 5 4 3 4 5 72
4
-1
4
-1
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5
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3
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5
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2
-5
4
-5
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-6
66
-6
5
E
3
-1
4
-1
4
-1
4
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-1
5
-1
3
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3
-2
5
-1
4
-1
4
-1
4
E
4
-1
5
E
3
E
4
E
4
-1
71
-1
4
-1
3
-2
4
-2
3
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4
-3
2
-4
4
-5
3
-6
3
-6
4
-6
4
-6
4
-6
2
-7
5
-7
4
-7
3
-7
4
-7
5
-7
65
-7
5
E
4
E
5
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4
1
4
1
3
1
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1
5
2
3
2
4
E
4
E
4
E
3
E
6
1
2
-1
3
-1
5
E
5
E
74
2

リーダーズボード

Pos Name
1 ブルックス・ケプカ
2T 松山英樹
2T ブライアン・ハーマン
4 トミー・フリートウッド
5T ザンダー・シャウフェレ
5T ビル・ハース
5T リッキー・ファウラー
8 チャーリー・ホフマン
9T トレイ・マリナックス
9T ブラント・スネデカー
9T ジャスティン・トーマス
Total Thru Round R1 R2 R3 R4 Strokes
-16 F -5 67 70 68 67 272
-12 F -6 74 65 71 66 276
-12 F E 67 70 67 72 276
-11 F E 67 70 68 72 277
-10 F -3 66 73 70 69 278
-10 F -3 72 68 69 69 278
-10 F E 65 73 68 72 278
-9 F -1 70 70 68 71 279
-8 F -4 71 72 69 68 280
-8 F -1 70 69 70 71 280
-8 F 3 73 69 63 75 280

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松山英樹は2014年1月よりLEXUSの所属となりました。