TOUR RESULT

2016.11.09 - 11.13

三井住友VISA太平洋マスターズ

日本中が沸いた4日間
大会記録で自身初の完全優勝

クラブが折れるアクシデント後に
怒涛の4連続バーディー

「HSBCチャンピオンズ」での世界ゴルフ選手権初制覇は、松山英樹に何を与えただろうか。新たな自信、手応え、経験。これらのうちどれか一つと言わず、すべてが正解なのだろう。それと同時に、「三井住友VISA太平洋マスターズ」ではもう一つ、別の側面にも大きな変化がもたらされたことが明白だった。それは、松山を見る周りのプレーヤーの目だ。戦う前から、「勝てる気がしない」と思わせてしまうような雰囲気。

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PGAツアーではまだそこまでの領域には達していないかもしれないが、少なくとも、日本ツアーでの松山の存在感は、約1カ月前の日本オープン時からさらに大きくなっていた。

 初日から、松山は飛ばした。インスタートの10番で153ヤードのセカンドショットを9番アイアンで約30cmにつけ、早速、挨拶代わりのバーディーを奪うと、続く11番では2オンからの連続バーディー。さらに、16番でもスコアを縮め、迎えた18番がこの日のハイライトだ。残り227ヤードからの2打目で4番アイアンを振り抜くと、ボールはグリーン右手前の池を軽々と越え、一番奥に切られたピンの右手前約3.5mに2オン。「納得の行くショットではなかったのですが、あそこについてくれて良かった」と振り返ったが、左に曲がるラインもしっかりと読み切り、前半をイーグルで豪快に締めてみせた。

 後半に入って、4番で14mほどの距離から3パットでボギーを叩いたが、その後もきっちりとスコアを伸ばした。5番、6番で再び連続バーディーとすると、8番の左ドッグレッグでは2打目を約2mにつけて、この日6つ目のバーディー。

 7アンダーで2位と1打差の首位発進に、周囲は、さも当然といった様子だった。大学の先輩、宮里優作が、「スゴイね、やっぱり。調整の仕方が上手いんだと思う。

練習ラウンドでは悪くても、ちゃんと試合までに合わせてくる」と言えば、松山に続く2位につけた宮本勝昌は大きく笑いながら、「勝てるわけないでしょう!」と冗談めかして言うほどだ。

「一つでもスコアを伸ばすと、ギャラリーの方が喜んでくれると思う。明日もしっかりバーディーを取りたいです」と2日目への意気込みを語った松山だが、言葉通りに第2ラウンドも、富士の裾野に大きな歓声を呼び込んだ。3番では、グリーンサイドからのアプローチこそ寄らなかったものの、カラーからの約3mのパットを沈めてバーディーとすると、6番でも1打目を右に曲げながら、グリーン左手前からのアプローチを約1mにつけてバーディー。8番では2mほどのパーパットがカップ左を抜けてボギーとしたが、続く9番では約5m強の下りのパットをジャストタッチで沈めて、すぐさまバウンスバックだ。

 前半には左手をトレーナーにケアしてもらう場面があり、さらに後半も13番で7番アイアンに体を持たせかけた際にシャフトが折れるアクシデントが起こったが、スコアに影響は出なかった。それどころか、「クラブが折れてしまったので、すごく動揺しました。でも、切り替えなきゃいけないと思って、それから上手く行きはじめた」と言うように、直後の14番からが圧巻だった。14番では129ヤードの2打目が右ピンハイ約1.5m。

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15番では97ヤードを、サンドウェッジでピン手前約50cm。16番では157ヤードの2打目を9番アイアンでピンの根元に突き刺し、約1.5m。3連続バーディーで、禍を福と為した。

 もちろん、最終18番でも、松山は果敢に攻めた。209ヤードの2打目はスライスをかけてピンを狙ったが、やや厚く入ったためか、わずかにショートして、池まであと数十センチというヒヤッとするシーン。しかし、3打目をピン左約50cmにつけてバーディーを奪うところは、今年、アプローチを課題に挙げて練習を続けてきた成果の一つだろうか。7バーディー、1ボギーの6アンダー。トータル13アンダーで、2位とは2打差。

「最後の方でしっかりとバーディーが取れて良かった。まだ取りこぼしはたくさんあると思うので、取りこぼしの無いように出来たら、かなりスコアは伸ばせるかなと思います」

次戦はワールドカップ
「しっかり優勝争いをしたい」

 これだけバーディーを奪っても、まだ"取りこぼし"があると言って憚らない貪欲さが、3日目を "一人旅"にした。

最初のバーディーこそ、2打目をピン奥約1mにつけた5番までかかったが、8番で左ピンハイ約2m強、9番でピン左約1m、10番で約5m、11番では2オンから約1mを次々と沈めて、怒涛の4連続バーディー。16番では、グリーン手前のカラーから約3mの左に曲がるラインを読み切り、この日6つ目のバーディーを奪うと、18番も前2日間以上に見事だった。左足下がりで、しかもグリーン面は下っているという、グリーン左奥のラフからの難しい3打目。松山が選択したのは、ワンクッションのアプローチではなく、ロブショット気味の上げる球。同組で回ったソン・ヨンハンが、「10人中8人がショートする。1人は池に落とす。残りの1人がヒデキです!」と絶賛したショットは、グリーンに落ちてからピン横約50cmに転がり、楽々のバーディーだ。

 しかし、「1番と6番が大きかった」と松山が振り返るように、この日、光ったのはスーパーショットよりも、ノーボギーに収めたパットかもしれない。1番では、アプローチが寄らなかったが、約2mのパーパットをねじ込んだ。4番でもバーディーパットが約1.5mオーバーしたが、返しを入れた。6番では、1打目を右の林に打ち込み、約3mのパーパットを残したが、これもしぶとく決めて、ガッツポーズをつくった。

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「今日20アンダーまで行けば2位との差も広がるので、優勝のチャンスも増えると思っていた。達成できて良かった」

 トータル20アンダーは、2位と6打差。これには、もう他の選手もお手上げだ。ソン・ヨンハンが、「もう『オメデトウ』です。普通の選手と集中力がまったく違う」と脱帽すれば、宮里優作は、「去年のダンロップフェニックストーナメントの時は、かわいい後輩だと思ったのに……」と、自身が昨年優勝した大会を引き合いに出し、笑いながら話した。

 最終日は、完全に自分との戦いだった。2番で15mほどのパットを沈めると、3番では3打目を約2.5mにつけて連続バーディー。この時点で大会記録の22アンダーに並んだが、松山本人は、日本ツアーの最多アンダー記録「28」超えを狙って、この日9アンダーの63を目指していたというから恐ろしい。周りとは、考えることの次元がまったく違う。

 6番では3番ウッドでのティーショットを左の林に曲げて、アンプレアブルを余儀なくされ、さらに4打目も池に入れてダブルボギー。続く7番では、逆目のライからの2打目で、いわゆる"ちゃっくり"となってボギーとし、2位とは3打差となったが、誰の頭にも逆転負けのイメージはまったくなかったと言っていい。

続く8番で、2打目をピン左奥約3mにつけてバウンスバック。9番では、セカンドショットがグリーン手前のバンカーに入り、目玉となってボギーとしたが、ドタバタもここで終了だ。

「前半を終わって3打差だった。ヨンハンがすごくいいプレーをしていたし、上がりも難しくなるので、早めに差をつけないと苦しくなると思っていた」と松山は言うが、傍目には2位以下は関係なかった。折り返しての11番では左ラフからのバンカー越えの3打目のアプローチをピン手前約2mにつけて、再びスコアを20アンダーに戻すと、13番では6番アイアンでピンの根元50cmにピタリ。15番ではドライバーで残り50ヤードまで運ぶビッグドライブから、ピン約1mにつける2打目を見せ、続く16番では、143ヤードのセカンドショットをショートサイドのピン左奥約2.5mに乗せて、連続バーディー。しっかりと大会新記録の23アンダーに伸ばしてみせた。

 最終18番も、別の意味で見せ場をつくった。2打目は、ボールに泥がついていたため、大きく右に曲がって池に入り、ピンまで70ヤードの池の手前から4打目。

「入ったら、もっとカッコよく終われた(笑)。HSBCチャンピオンズの最終ホールと『似ているね』とキャディの進藤大典さんと話していました」

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 ウェッジでのショットはピン奥の傾斜にぶつけて戻し、ベタピン。グリーンを囲んだ大観衆から一際大きな歓声が起こった。2位とは7打差に広がっての、自身初の完全優勝。

「良かったです。うれしいですね。勝つということはすごく自信になる。どこでやっても勝つことは、仮に後続と何打差開いていてもプレッシャーがかかる。"勝ち癖"ではないけれど、それをつけるためには、いい経験になります」

 まさに敵なしの強さで、日本中が沸いた4日間。次の舞台は、1週を挟んで、石川遼とタッグを組んでの「ISPSハンダ・ワールドカップ・オブ・ゴルフ」だ。

「12番くらいからショットの感触が戻ってきた。そこはワールドカップに向けて楽しみかなと思います。結果的には良い流れで来ている。でも、チーム戦になったときに、今の調子じゃ足を引っ張ってしまう。『自分はこれが打てる』というものを試合までに見つけたい。遼もそういう気持ちで来てくれると思う。しっかり優勝争いをしたいと思います」

 日本の次は世界で、自らの存在感をもっともっと高めたい。「HSBCチャンピオンズ」に続く快挙を誓って、松山はオーストラリア、メルボルンへと旅立つ。

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スコアボード

HOLE
Par
ROUND4
ROUND3
ROUND2
ROUND1
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 T
4 4 5 3 4 5 3 4 4 4 5 4 3 4 4 4 3 5 72
4
E
3
-1
4
-2
3
-2
4
-2
7
E
4
1
3
E
5
1
4
1
4
E
4
E
2
-1
4
-1
3
-2
3
-3
3
-3
5
-3
69
-3
4
E
4
E
5
E
3
E
3
-1
5
-1
3
-1
3
-2
3
-3
3
-4
4
-5
4
-5
3
-5
4
-5
4
-5
3
-6
3
-6
4
-7
65
-7
4
E
4
E
4
-1
3
-1
4
-1
4
-2
3
-2
5
-1
3
-2
4
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5
-2
4
-2
3
-2
3
-3
3
-4
3
-5
3
-5
4
-6
66
-6
4
E
4
E
5
E
4
1
3
E
4
-1
3
-1
3
-2
4
-2
3
-3
4
-4
4
-4
3
-4
4
-4
4
-4
3
-5
3
-5
3
-7
65
-7

リーダーズボード

Pos Name
1 松山 英樹
2 宋 永漢
3T S・H・キム
3T 小平 智
5 宮里 優作
6T 宮本 勝昌
6T 朴 相賢
8T 藤田 寛之
8T 今平 周吾
8T 崔 虎星
8T 李 京勲
Total Thru Round R1 R2 R3 R4 Strokes
-23 F -3 65 66 65 69 265
-16 F -2 68 66 68 70 272
-15 F -8 68 67 74 64 273
-15 F -7 69 71 68 65 273
-14 F -2 69 70 65 70 274
-13 F -4 66 71 70 68 275
-13 F 0 67 66 70 72 275
-12 F -2 69 68 69 70 276
-12 F -2 70 69 67 70 276
-12 F -1 71 66 68 71 276
-12 F 0 70 67 67 72 276

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松山英樹は2014年1月よりLEXUSの所属となりました。