TOUR RESULT

2016.04.07 - 04.10

マスターズ・トーナメント

メジャーで初めての「真の優勝争い」
あまりに悔しい2年連続ベスト10

期待感から生まれた
「今までで一番の緊張」

 試合に出るからには、常に優勝を狙うというのが松山英樹の信条ではあるが、それでも彼が試合前に、自分に対しての"期待感"をここまで口にするのは稀と言えるだろう。
「土曜日に1年ぶりにコースに入った時は、逆に今までで一番緊張したなという感じがありました。期待があるからそういう緊張も生まれてくると思うし、期待半分、不安半分といった感じです。自分の状態が少しずつ上がってきているので、そこがそういう気持ちにさせているのかなと思います」

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 今年に入りPGAツアー2勝目を挙げて臨む、5度目のマスターズ・トーナメント。昨年は単独5位にもなった。もう、経験は充分。メジャー制覇という悲願へ、松山の心が高ぶるのも無理からぬ事だろう。

 気持ちは、初日前半からスコアボードに表れた。1番こそボギー発進となったが、続く2番では、グリーン左のバンカーから23ヤードの3打目をベタピンに寄せて、すぐさまバウンスバック。7番で134ヤードのセカンドを1.5mにつけて2つ目のバーディーを奪うと、前半最後の9番では8mを決めて、2アンダーで折り返す。

 だが、バックナインに入り、「こんなに悪くなるとは思わなかったです」と言うショットの不調が顕著になり始めた。距離の長いタフな11番ではティーショットをわずかに左に曲げ、この日2個目のボギーを叩き、バーディーを取りたい左ドッグレッグの短い13番では、ティーショットが正面の林に突き抜けた(スコアはパー)。14番では164ヤードの2打目をグリーン左に外して、3つ目のボギー。「14番でボギーを打ってからは、ちょっとしんどかったです」と言うように、15番でもバーディーを奪えず、16番では4mのパットをねじ込んで、なんとかパーセーブ。17番でも2打目を大きくグリーン右に外しながら、パーで踏み留まるという、我慢のホールの連続となった。

 それでも、最終の18番で5mを沈めて、アンダーパー(1アンダー)で1日目を終えたのはさすがだ。初日、首位から5打差(13位タイ)は、あってないようなものだ。

「17番は難しいアプローチだし、そこをセーブ出来たので最後にバーディーを取れたと思います。優勝争いの可能性を潰さなくて良かったです」

 初日の強い風が2日目にも吹いてコンディションを難しくし、世界のトッププレーヤー達を大いに苦しめた。初日8人がマークした60台のスコアは、この日ゼロ。また、ここ数年、トップのスコアは2日目に伸びるか、もしくは同じだったものが、今年は2日目に下がるという、2007年以来の珍しい事態となった。そんな中で松山も、「昨日同様難しかった」と振り返ったが、だからこそ、彼のこの日の踏ん張りは見事だった。

 1番で前日に続いてボギーとすると、5番で18ヤードのアプローチが6mオーバーし、6番でも2.5mのパーパットを決められず、連続ボギー。6ホールであっという間に3打もスコアを崩す。だが、そこからの反撃が、松山だ。ここまでショットの悪さに苦しんだが、「7番くらいからちょっと良くなりました」と言うように、7番で123ヤードの2打目を2.5m、8番では3打目を3mにつけて、連続バーディー。

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 後半に入り、難しい11番で前日に続きボギーとしたが、圧巻はそこからの3ホール。12番では、6mのパットが、「外れると思ったのが、入ってくれた。ラッキーでした」と言う、カップを1周してのバーディーとなると、3番では202ヤードの2打目を2オンさせ、14番では136ヤードの2打目を3mにつけて、3連続バーディー。この日のスコアを1アンダーにまで戻してみせた。

「最後をパーにして、トップと2打差で上がれればと思ったけれど、上手くいかないですね」と、18番では2打目がいったんグリーンを捉えたものの、傾斜でフェアウェイに戻されてボギー。だが、この日イーブンパーで通算1アンダー、首位からは3打差の5位タイに浮上し、残り2日間にさらに期待が高まる位置で予選2ラウンドを終えた。

「どの試合でも、優勝争いをすれば緊張するし、どんな小さな大会でも大変だと思います。それが、こうして大きな舞台でやれるという事は嬉しいけれど、だからといって特別な事をする事はないと思います」

2度のマスターズチャンピオン
ランガーからの無言のエール

 松山は、この"いつも通り"を3日目にも貫いた。2日連続でボギーとした1番をパーで切り抜けると、2番では1打目を左に曲げたものの、残り235ヤードから大きなフックボールで2オンに成功し、バーディー。続く3番では2打目でグリーンを捉えられず、ボギーとしたが、8番でもピンまで278ヤードから2オン。きっちりバーディーとし、前半を1アンダーでまとめ上げる。

 さらに後半に入り、14番では8mのバーディーパットが下り傾斜で、「びっくりしました。入ってなかったら、10m以上行っているかなという印象」のスピードとなったが、ボールはカップに勢い良く転がり込んだ。この時点で通算3アンダーは、一瞬ではあったがジョーダン スピースと並んでトップタイ。

 15番で残り245ヤードから、グリーン奥のカラーへとほぼ2オンを果たしたが、「難しさに緊張した」という16ヤードのイーグルトライは、カップを1.5mオーバーし、返しも決められずパー。16番では、12mの上りのバーディーパットを打ち切れず、残った1.5mも外してボギー。

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17番では、2打目をグリーン右奥にオーバーさせ、傾斜にクッションさせてのアプローチもピンを大きくオーバーして、連続ボギー。それでも松山は、「トップとの差で緊張した訳ではないです。今年に入って良い形になってきたと思ったけど、15番からは酷かったです。明日までに修正したいです」と、終盤にスコアを落とした理由をあくまでパッティングだと言い、気持ちは"いつも通り"だった事を強調した。

 松山は3日続けてオーバーパーのラウンドとしなかった唯一のプレーヤーとなり、首位から2打差の通算1アンダー、3位タイ。ずっと願い続けてきたグリーンジャケットという夢が、すぐ手の届く所にある。

「自分が伸ばせばチャンスはあります。優勝争いなので平常心は難しくなると思うけど、少しでも落ち着いてやれたら良いです」

 さすがにこの位置で最終日を迎えるとあっては、松山もその影響を語らずにはいられなかった。そして、松山自身が実際にどう感じたかは分からないが、結果から見れば、その言葉通り、メジャーのプレッシャーは相当なものだったと言わざるを得ない。

 1番を、4日間中3度目となるボギー。2番のパー5で2オンからバウンスバックしたが、4、5番ではパーオンを逃し、4mと2.5mのパーパットも決まらない。

さらには、続く6番。ティーショットをミスして、48ヤードのアプローチも傾斜がグリーンオンを許さなかった。そこからカップインまで3打を要し、今大会初のダブルボギー。6ホールで4打を献上する、あまりに厳しい最終日の出だし。

「初日が始まるまでは、ショットも良い感じだったけど、試合が始まってからどんどん思い通りにいかなくなりました。自分が予想していた感じではなかったので苦しかったです」

 松山は、必死に立て直しにかかった。8番では3打目を3mに寄せてバーディー。10番では、5.5mの左に切れるラインを読み切った。この時点でトータル1オーバー。

 諦めなければ、またチャンスがやってくるという事の証明か、すぐ後ろの最終組を回るトップのスピースが、12番で2度も池につかまり、スコアを落とす。

 しかし、ショットに代わって今度はパッティングが、松山のスコアに影を落とした。12番で3.5mのチャンスを外すと、13番では2mのイーグルパット(結果はバーディー)、14番では2.5m、15番では2mと、悉くボールは、カップに嫌われた。

「13番のイーグルパットが入っていたら、追いつくチャンスもあったのかなと思うけれど。昨日の15番くらいからおかしくなって、修正しきれなかったのは事実。去年のパッティングよりはまだマシだったかなと思うけれど、どうやったら良くなるのか分かりません」

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 最終18番で、フェアウェイから残り142ヤードのセカンドショットがグリーン右に外れると、それまで堪えていたものが一気に、悔しい雄叫びに変わった。

「フェアウェイから、何回も何回もグリーンを外しているようじゃ話にならない。自分に若干、あきれていました」

 メジャーで初と言っていい「真の優勝争い」は、4日間で初のオーバーパーのラウンドという苦いものとなった。通算1オーバーの7位タイ。マスターズで1ケタ順位を2度記録したことは日本人初の偉業だが、そんなことは当然、松山にとって何の慰めにもならない。

「悔しいですね。何なんでしょうね、考えたいです」

 ただ、ホールアウト後に松山の背中をやさしく叩いた、ベルンハルト ランガーの手は、こう言っているように見えた。必ず勝てる日が来る、と。一緒に回って、松山のプレーをつぶさに見た、2度のマスターズチャンピオンからの何よりのエール。そう、松山の前には、悔しさを晴らすチャンスが、まだまだ何度でもやってくる。

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スコアボード

HOLE
Par
ROUND4
ROUND3
ROUND2
ROUND1
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 T
4 5 4 3 4 3 4 5 4 4 4 3 5 4 5 3 4 4 72
5
1
4
E
4
E
4
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5
2
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4
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5
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1
73
1
4
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4
-1
5
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3
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4
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3
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4
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4
-1
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-1
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-2
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5
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4
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5
-1
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5
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5
1
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4
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3
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4
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3
-1
5
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3
-2
4
-2
5
-1
3
-1
5
-1
5
E
5
E
3
E
4
E
3
-1
71
-1

リーダーズボード

Pos Name
1 ダニー ウィレット
2T リー ウェストウッド
2T ジョーダン スピース
4T ポール ケーシー
4T J.B. ホームズ
4T ダスティン ジョンソン
7T マシュー フィッツパトリック
7T ソレン ケルドセン
7T 松山英樹
10T ジャスティン ローズ
10T ダニエル ベルガー
10T ロリー マキロイ
10T ブラント スネデカー
10T ジェイソン デイ
Total Thru Round R1 R2 R3 R4 Strokes
-5 F -5 70 74 72 67 283
-2 F -3 71 75 71 69 286
-2 F 1 66 74 73 73 286
-1 F -5 69 77 74 67 287
-1 F -4 72 73 74 68 287
-1 F -1 73 71 72 71 287
E F -5 71 76 74 67 288
E F -1 69 74 74 71 288
E F 1 71 72 72 73 288
1 F -2 69 77 73 70 289
1 F -1 73 71 74 71 289
1 F -1 70 71 77 71 289
1 F E 71 72 74 72 289
1 F 1 72 73 71 73 289

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松山英樹は2014年1月よりLEXUSの所属となりました。