TOUR RESULT

2015.07.23 - 07.26

ダンロップ・スリクソン福島オープン

10バーディーに沸いた「第二の故郷」
強行軍の中で得た、代え難いもの

アメリカでは受けない大歓声に
「久し振りなので緊張しました」

 日本男子ツアーでは、2007年まで宮城県で試合が開催されていたが、以来昨年まで東北が戦いの舞台となる事はなかった。7年ぶりの復活の地となったのは、福島。2014年の「ダンロップ・スリクソン福島オープン」は、全米プロゴルフ選手権の一週前に組まれた。
アメリカを主戦場と決め、また大目標のメジャー直前という事もあり、松山英樹はこの試合に出場する事が出来なかった。

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だが、大学時代を過ごした「第二の故郷」、東北に恩返しをしたい気持ちは、1年を経ても、もちろん変わる事はない。今年は全米プロまで、間に3週間が挟まった。全英オープンの翌週という辛い日程でも、構わない。
全英オープン最終日が月曜までずれ、さらに厳しいスケジュールになったが、松山のこの試合への気持ちは、いささかも薄れる事はなかった。セントアンドリュースでのファイナルラウンドをホールアウトしたのが、日本時間で時計の針が火曜日7月21日をちょうど迎えた頃。翌22日水曜日の午前9時30分には、既に松山の姿が会場のグランディ那須白河ゴルフクラブにあった。約33時間30分の強行軍。
「飛行機の中でちょっと寝ましたが、さすがにしんどいですね」とは言いつつも、やはり1年越しの思いと、馴染みある土地が、松山の表情を自然と柔和にもさせる。

「去年はアメリカを優先したけど、今年は福島の試合に出たい気持ちが強かった。東北の人たちに、自分のプレーを見て盛り上がって頂ければと思います。それには優勝が一番だと思う。それに向けて、全力でやる事が大事です」

 松山の心意気に応えるように、翌木曜日には、前年比で1194人多い2866人ものギャラリーが、平日にも関わらず詰めかけた。「暑さと湿気もあって、疲労はピークです」という重い体をひきずりながらも、「久しぶりなので緊張しました。米ツアーとは違う所でした」という大歓声に見合うプレーをしようと、松山は必死に18ホールを戦った。
10番からスタートし、残り4ホールの時点まで3バーディー、4ボギーと、アンダーの世界に入れていなかったが、そこからがやはり、ワールドランク15位の「違い」だ。6、7番で連続バーディーを奪うと、最終ホールとなった9番では、110ヤードのセカンドショットを左ピンハイ3mにつけて、この日6つ目のバーディー。「最後のバーディーはすごく良かったです」という納得の上がりに力強いガッツポーズも飛び出し、今度は自らの手で大歓声を呼び込んだ。トップから4打差の2アンダー、34位タイ。

「洋芝と野芝の違いもあるし、先週はセントアンドリュースにいたので、地面の硬さの違いもあった」ために距離感が合わず、「我慢してアンダーに戻せたのは良かったけど、満足はしていないです」という初日のラウンドだったが、その不完全燃焼感は2日目への起爆剤となった。

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3番でピンの根元を刺すセカンドショットを放ってバーディーとすると、5番では2m、6番では3.5mから沈めて、連続バーディー。
「かなり慣れてきて、ショットが良くなった」ことで、そこからはバーディーこそ来ないものの、多くのチャンスを作ってみせた。9番4m、10番5m、11番3m、12番3m、13番3m、14番3.5m。

 8番から15番まで8ホール連続2パットの鬱憤は、16番で帳消しにした。約12mの段を越える難しいパットを強めに打って、カップの反対側の壁に当てての会心のバーディー。「ラインも見えていたし、良いストロークで打てました。あれで全部チャラになった感じです」

 2日連続で、最終ホールをバーディーで上がる所もさすがだ。パー5の大きく打ち上げとなるセカンド235ヤードを、3番ウッドでスライスをかけていったが、かかりすぎてグリーン右手前のアゴの高いバンカーへ。しかし、ウェッジのフェースを大きく開いてふわりと上げた3打目のバンカーショットは、1mにつけるスーパーショット。

 5バーディー、ノーボギーのトータル7アンダーで、首位から4打差の23位タイ。疲れた体であっても、きっちりと優勝争いに顔を出すことは、松山にとって当然の義務のようなものなのだろう。

「今日みたいなプレーが出来れば明日からも楽しく出来ると思います。明日も伸ばして優勝争い出来るように頑張りたいです」

ホールアウトした松山に飛ぶ
「ありがとう」の声

 しかし、いくら技術があっても、気持ちが入っていても、日本の猛暑は、寒いスコットランド帰りの松山には堪えた。3日目、「ちょっと熱中症みたいな感じで、最後までボーッとしながらのプレー」が、スコアを停滞させた。4番で1m、5番で7mを沈めて連続バーディーを奪い、7番パー5でも、大きく右に曲がるラインをしっかりと読み切ってイーグルパットを1mに寄せ、この日3つ目のバーディーとしたが、チャージはここで止まった。8番のパー3でアプローチを80cmに寄せたが、この短いパーパットがカップ左を抜ける。
「スコアを伸ばしたい所で、8番のボギーから上手くプレーが出来なくなりました」という松山は、13番までパーを重ねるのが精一杯。

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体の不調が、「14番くらいから少し楽になった」おかげで、その14番をバーディーとしたが、直後の15番では再びボギー。最終18番を、2オンから大きく左に曲がる15mほどのイーグルパットを寄せ切って、3日連続のバーディーとしたが、この日3アンダーでは、トップが17アンダーまで伸ばした激しいバーディー合戦には到底ついていけない。週末土曜日ということで4480人に膨れ上がったギャラリーにも、「嬉しい事だけど、それに見合うプレーが出来なかったのが残念です」と、トータル10アンダー、25位タイという結果の不甲斐なさを詫びた。

「優勝スコアは20アンダーくらいだと思うので、明日は10アンダーは必要です。昨日のようなプレーならチャンスはあると思います」
最終日、この日の東北地方の梅雨明けに合わせるように、体がようやく動くようになった。
「今日が体調が一番良く、集中できてゴルフも良くなりました。やっとゴルフをしたな、という感じでした」

 そして、松山を突き動かしたのは、やはり大観衆の声だった。「ギャラリーの方の声援に引っ張られて」の猛チャージは、2つボギーを叩いた後の4番から始まった。グリーン左バンカーからの3打目を20cmにつけてバーディーを奪うと、5番5m、6番1m、7番2mを決めて、4連続バーディー。

 9番でもバーディーを奪って折り返し、「後半になってさらに集中できました」という松山のラッシュは止まる所を知らなかった。13番、14番で1mのチャンスを沈めると、15番では5mの下りのパットを決め、16番ではピン奥からバックスピンで20cmに戻してタップインバーディー。17番でも、「ゴー」の掛け声がボールを後押しして、ティーショットがピン奥1mへ。圧巻の5連続バーディー。
18番でも、3打目の難しいロブショットが、段をうまく下って1.5mについたが、バーディーパットは打ち出し直後に何かに当たって弾んで右に外れ、6連続はならず、10バーディー、2ボギーのトータル18アンダー。それでも、10を数えたバーディーに、松山の表情は緩んだ。何より、ホールアウト後のギャラリーからの想定外とも言える言葉が、心に響いた。

「僕はプレーをしていただけなのに、ありがとうと言われてすごく嬉しかったです」

 勝者からは6打離れての9位タイだったが、優勝にも引けをとらないものを東北の人達の心に残した証だった。

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 そしてもちろん、与えるだけではない。強行スケジュールの中、この試合に参戦して得たものの価値もまた、計り知れない。アメリカから遠く離れた東北、そして日本で、多くの人達が自分のゴルフに期待をして見てくれている事を再認識した4日間。ワールドゴルフチャンピオンシップ、全米プロゴルフ選手権と、2週間後からまた世界の強豪との戦いに挑んでいく松山にとって、これほど力になるものは二つとない。

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スコアボード

HOLE
Par
ROUND4
ROUND3
ROUND2
ROUND1
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 T
4 3 4 5 4 4 5 3 4 4 4 3 5 4 4 4 3 5 72
4
E
4
1
5
2
4
1
3
E
3
-1
4
-2
3
-2
3
-3
4
-3
4
-3
3
-3
4
-4
3
-5
3
-6
3
-7
2
-8
5
-8
64
-8
4
E
3
E
4
E
4
-1
3
-2
4
-2
4
-3
4
-2
4
-2
4
-2
4
-2
3
-2
5
-2
3
-3
5
-2
4
-2
3
-2
4
-3
69
-3
4
E
3
E
3
-1
5
-1
3
-2
3
-3
5
-3
3
-3
4
-3
4
-3
4
-3
3
-3
5
-3
4
-3
4
-3
3
-4
3
-4
4
-5
67
-5
5
1
3
1
4
1
5
1
4
1
3
E
4
-1
3
-1
3
-2
4
-2
5
-1
2
-2
6
-1
4
-1
5
E
3
-1
3
-1
4
-2
70
-2

リーダーズボード

Pos Name
1 プラヤード マークセン
2 宋 永漢
3T 張 棟圭
3T 宮里 優作
5T S・K・ホ
5T 藤田 寛之
5T 小平 智
5T 貞方 章男
9T 金 庚泰
9T 松山 英樹
Total Thru Round R1 R2 R3 R4 Strokes
-24 F -9 69 65 67 63 264
-23 F -6 68 65 66 66 265
-20 F -5 70 66 65 67 268
-20 F -6 72 64 66 66 268
-19 F -3 66 67 67 69 269
-19 F -4 70 67 64 68 269
-19 F -5 67 66 69 67 269
-19 F -6 67 67 69 66 269
-18 F -3 70 64 67 69 270
-18 F -8 70 67 69 64 270

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松山英樹は2014年1月よりLEXUSの所属となりました。