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サーキットの道は、
私たちの街に繋がっている

LEXUS がどれだけモータースポーツに情熱を注いでいるかは、国内最高峰のスポーツカーレースである SUPER GT GT500 クラスに 2006 年から挑戦を続けていることからもわかる。レーシングマシンの開発は 365 日、1 日も休むことなく続けられ、そのノウハウとスピリットは市販モデルにも確実にフィードバックされる。したがってサーキットでつかんだ栄光は、未来の LEXUS に引き継がれることになる。今回はクルマの世界でレースとデザイン、それぞれのフィールドに立脚するふたりの証言者が語る現代のレーシングマシンとロードカーの蜜月な関係を探る。さらに、スポーツカーの在り方を考察するとともに、ふたつのクルマを結びつけるモータースポーツの D.N.A.を間近で目撃する SUPER GT 観戦ツアーの模様をレポートする。

LEXUS TEAM ZENT CERUMO
Driver 立川祐路

2014 年シーズンから 2016 年シーズンを戦った RC F

開発できる領域が狭くなるほど難しくなる

LEXUS が SC430 で SUPER GT に参戦してから 13 年間、立川祐路選手は常にレーシングマシン開発の中心にいた。この 13 年で変化した開発の手法や、サーキットで戦うことがロードカー開発に与える影響など、実に興味深い話を聞くことができた。

LEXUS は 2006 年から 2013 年まで SC430 で SUPER GT に参戦し、最終年度では立川選手に年間チャンピオンの座をもたらしている。そして 2014 年からは、SUPER GT GT500 クラスを RC F が戦うことになる。

2014 年は、SUPER GT にとってレースのあるべき未来のヴィジョンが与えられ、参戦するメーカーにとっても大きなターニングポイントとなる年となった。メルセデス・ベンツ、BMW、アウディが参戦する欧州最高峰のスポーツカーレースである DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)と共催を目指すためのルールの制定により、レギュレーションの変更にともなう共通パーツの導入で、各チームのマシンの基本的な成り立ちに差がなくなったのだ。また、各チームのテストも厳格に制限されるようになった。

SUPER GT 最多となるポールポジションを獲得している立川選手

「マシンの開発でも変えられる領域が狭くなって、空力とエンジン、あとはタイヤを上手に使うためのサスペンション周りに集中するようになりました。ただ、開発できる場所が絞られることでむしろ仕事の量は増えたし、すごく難しくなりました。新しいチャレンジでしたね」

そして 2017 年には参戦車両が LC500 に切り替わる。立川選手によれば RC F と LC500 の開発は同一線上にあるとのことで、LC500 はファイナルシーズンで総合タイトルを獲得した RC F の強さを受け継ぎながら、さらなるアップデートを果たして開幕から LEXUS 勢が快調に勝利を重ねた。好調の理由を尋ねると、立川選手は「マシンもチームもタイヤとの付き合い方がうまくなってきたからだと思います」と即答した。

「地面と接しているのはタイヤなので、タイヤをうまく接地させればグリップも上がるし、乗りやすい。いま思えば RC F は、一発の速さはあるけれど少しナーバスな挙動が時折ありました。それが LC は乗りやすく仕上がって、予選よりも決勝が強いマシンになったと思います」

ここで立川選手が口にした、「乗りやすいクルマが実は速い」というフレーズは、ロードカーの開発のキーワードでもある。

2019 年の SUPER GT Rd.2 Fuji GT500km では見事優勝を飾った

運転が苦手な人にスポーツカーを薦める理由

立川選手は、LEXUS のロードカーについてこんな印象を持っているという。

「RC F は、普段使いもできるスポーツカーですね。パワーがあって速いし、気持ちよさもある一方、LC はもうちょっとジェントルな仕上がりです。ジェントルでありながら、乗っていると気持ちがいい」

2 台に共通する「気持ちのよさ」について、もう少し詳しく説明してもらう。

「自分の手足のように、意のままに動いてくれるということですね。思った通りに加速して、止まって、曲がってくれる。だから乗りやすくて気持ちがいい。野球でもスケートでも、上手な人は道具を身体の一部のように使うじゃないですか。クルマも同じで、クルマに乗っているというより身体と一体になっているという感じが、気持ちのいい状態だと思います」

つまり、レーシングマシンは乗りやすさが速さにつながり、ロードカーは乗りやすさが気持ちよさにつながる。レースやスポーツカーというと尖った性能を想像しがちであるけれど、実は乗りやすいものが優れているのだ。

そしてこの「乗りやすさ」には、レースでの経験が大きな影響を与えているという。

レーシングカーもスポーツカーも開発では“乗りやすさ”を突き詰める作業と語る

「最近はコンピュータでシミュレーションして、ある程度絞り込んでからテストを行います。現代のレーシングマシンはコンマ 1 ミリの違いで大きく動きが変わるので、そこからさらに煮詰めます。やはり、こういうレベルでクルマを見ないと、“このくらいで OK”になっちゃうと思うんです。たとえばボディ剛性ひとつをとっても、レースの世界で突き詰めた経験があればレベルが違ってきます。ボディがしっかりすればサスペンションが正しく働くからグリップするし、乗り心地もよくなる。つまり乗りやすくなって、速くなって、気持ちがよくなる。そう考えると、LEXUS がレースに取り組む意味は大きいと思います」

最後に立川選手は、「実はクルマの運転に興味がなかったり、苦手意識を持っている人にこそスポーツカーに乗ってもらいたい」と語った。

「もちろん値段の問題もあるんですが、乗れば絶対に気持ちよさを感じると思うんですね。LC や RC F は音まで気持ちがいいし、買う、買わないは別として、若い人がスポーツカーにふれられる機会をたくさん作れるといいですよね」

LEXUS LC / RC F
Chief Designer 森忠雄

LC や RC F のチーフデザイナーを務めた森氏

デザインでマシンの戦闘力を上げる

LEXUS LC や LEXUS RC F のチーフデザイナーを務めた森忠雄氏は美術教師の父を持ち、幼少からクルマと絵を描くことが大好きだったという。自動車デザイナーはまさに天職と言えそうだ。

その森氏が手がけた最新作が、LEXUS RC F。その中でもサーキットにおける「高い限界性能と、意のままに操る喜び」というコンセプトを追求したモデル、LEXUS RC F Performance package のデザインは LEXUS のラインナップの中でも特異な存在とも言える。自信作の前に立つ森氏に、デザイナーとしてどんなところからインスピレーションを得るかを尋ねると、「例えば建築なんかは刺激になりますね」という答が返ってきた。

「このクルマだったら、モダニズム建築のようにシンプルで機能的なガレージに収まっている様子をイメージします。オーナーの方は熱心なクルマ好きでしょうから、ツール類が整然と並べられていて、簡単な整備だったら自分でなさるでしょうね」

森氏が手がけた LEXUS RC F Performance package は、LEXUS のラインナップの中でも異彩を放つモデルだ。スタイリッシュさとともに、獲物に飛びかからんとする肉食獣のような迫力を感じさせるからだ。この個性的なデザインが生まれた背景を、森氏はこんな風に解説する。

LEXUS らしい“機能”と“スタイリング”のバランスを作るのに多くの時間をかけたと語る

「まずベースとなる LEXUS RC は、スポーティでエレガントなクーペです。そして LEXUS が考えるスポーツカー、つまりサーキットでの極限の走りも楽しめるクルマが RC F。RC F で GT3 車両を作ってモータースポーツ活動を続けるうちに、真の意味で機能的な格好いいデザインはレーシングカーではないかという考えに行き着きました。こうして生まれたのが LEXUS RC F Performance package です。僕も子どもの頃からレースが大好きで、いまでもサーキットに行きます。ま、エキサイトし過ぎて、仕事なのかわからなくなりますが(笑)」

こうして、「レース育ち」というコンセプトで LEXUS RC F Performance package をデザインすることが決まった。森氏が考えたのは、サーキットでの戦闘力が上がるような機能を実現しながら、なおかつクルマとの一体感がある造形だった。

そして、LEXUS RC F Performance package という“離れ技”が成功したのも、RC F という礎の部分の造形が確立していたからだった。

レースは大好きでサーキットには良く通うという森氏

スポーツカーに“本物”のデザインが求められる時代

LEXUS RC F の性能と美しさを両立したデザインは、一朝一夕には完成しなかった。森氏が当時を振り返る。

「RC F に関しては、最終的に採用したデザイン案のほかに 2 つの案が残りました。先代モデルをモダンに進化させた案と、造形のユニークさを優先させた案でした。結果的に、ドライバーの気持ちを高揚させ、LEXUS らしいエレガントさとのバランスの両方を感じ取ることができる、機能が形にみえるデザインに行き着いたんです。機能を追求すれば研ぎ澄まされて美しくなるかというと、それはなかなか難しい。性能を発揮して、なおかつデザインとしても完成しているというのは、非常に難易度が高い作業だということを LEXUS RC F では実感しましたね。また、自分たちが手がけたクルマがサーキットを走る姿を見たり、レースで活躍するのを見るのは嬉しいじゃないですか。そんな想いもこのデザインに込めたつもりです」

この LEXUS RC F をさらに先鋭的にしたものが、LEXUS RC F Performance package だ。

LEXUS RC F Performance package のレース育ちの機能を宿すスタイリング

「LEXUS のデザインは、それこそ自然のモチーフから着想したり、自由に発想するんですね。でも LEXUS RC F Performance package は、最初から思いきり制約を設けました。空力エンジニアのところに行って、フロントの造形がどうなれば高速走行で車体を路面に押しつけられるかとか、タイヤによる空気の乱れを抑えるボディサイドの形とか、リアの形をどうすればスムーズに空気が流れるのかとか。デザインのことは気にせず、全部教えてくれと頼んだんです」

いくつかの具体例を挙げれば、フロントバンパーのコーナーに設けられたカナードと呼ばれる空力パーツによって高速走行時のダウンフォースが増す。ボディサイド後端の凹面は、タイヤによって発生する乱気流を抑える役割を果たす。そして、リアのスポイラーが後方へとスムーズに空気を流す。こうした部分にレースのテクノロジーが反映されているという。

いま、GT3 や GT4 といったジェントルマンレースのカテゴリーが世界的に隆盛となっている。市販のスポーツカーにそれほど大きく手を加えないでサーキットを走ることが、あたりまえになりつつあるのだ。したがって、ベースとなるロードカーのデザインにも、空力や冷却などの高度な性能が求められる。

スポーツカーに“本物”のデザインが求められる時代が到来している。LEXUS RC F Performance package は、このことをいち早く表現したモデルだと言えよう。

モータースポーツの D.N.A. を間近で目撃する
SUPER GT 観戦ツアー

ロードカーに注がれるレーシングマシンの “D.N.A.” を最も近くで体感できるのがサーキットだ。今年も富士スピードウェイで開催される SUPER GT の観戦ツアーが企画され、25 組 48 名が LEXUS のモータースポーツ活動に脈々と受け継がれてきた D.N.A. の目撃者となった。

サーキットサファリは間近で轟く GT カーの放つ迫力に圧倒される

レーシングマシンと一緒に走る興奮

たとえばドイツのニュルブルクリンク 24 時間レースでは、ファンはガードレールとフェンスを挟んだ数メートルの至近距離でレースを観戦することができる。一方、日本では安全を考慮して、そこまでマシンやコースに接近することはかなわない。

では、レーシングマシンが放つ景色が揺れるほどのエネルギーや、鼓膜を震わせる音を間近で浴びる方法はないだろうか。そんな発想から生まれたのが、サーキットサファリ。公式練習でマシンが疾走するコースのなかをバスで走り、モータースポーツの緊迫した雰囲気をドライバーと共有する。老若男女が熱狂する自動車レースが本来持っている“生”の迫力を味わっていただくプログラムだ。

ドライバーたちはお互いへのリスペクトがあるからこそ限界で戦える

ドライバーの素顔に迫る

これは、単にドライバーを紹介するだけのプログラムではない。興奮冷めやらぬ予選終了後という時間帯に、彼らと交流ができる贅沢な時間なのだ。ともに写真を撮れば、彼らがいかにアスリートとして鍛え抜かれたフィジカルを有しているかが理解できる。また、言葉を交わせば知性とユーモアにあふれるジェントルマンであることが伝わってくる。

彼らはファイティングスピリットあふれるスポーツマンであると同時に、命を賭けて戦う彼らは、お互いをリスペクトし、強い信頼関係でも結ばれている。そういったレーシングドライバーの真の姿を見ていただくのが、このプログラムの目的だ。

レースレジェンド関谷正徳氏によるビギナーにもわかりやすいレース解説

レースがチームスポーツであることを実感

モータースポーツの主役はドライバーだと思われがちであるけれど、彼らは異口同音に「レースはチームで戦うスポーツ」だと語る。セットアップが終了したマシンが整然と並ぶガレージではなく、予選を控えてメカニックたちが慌ただしく最終作業をするタイミングでトムスのガレージに案内することで、レースの“熱”を感じていただくのがこのプログラムの主旨だ。

そして名門トムスのホームを案内するのが、関谷正徳 エグゼクティブアドバイザー。レーシングドライバーとしてル・マン 24 時間で日本人初となる総合優勝を経験し、数十年にわたって日本のモータースポーツ界を牽引してきたレジェンドだ。経験豊富な関谷氏だからこそ、初めてサーキットに来た参加者にも伝わる言葉で、予選やレースを解説した。

さらに、LEXUS TEAM の司令塔とも言うべき LEXUS トランスポーターの見学を、初めてプログラムに盛り込んだ。トランスポーター車内では、技術者たちが粛々と車両データの解析作業を行うとともに、時には、チームエンジニアやドライバーとミーティングの場となる。あわただしいパドックから一転してクールな雰囲気。情報戦の最前線基地で、参加者はレーシングマシンに最新のテクノロジーが注ぎ込まれていることを感じ取ったであろう。

サーキットとストリートはつながっている

都市部やリゾート地で見かける LEXUS は、スタイリッシュかつエレガントだから、レースやサーキットからは距離が遠いと感じる人もいるかもしれない。けれども冒頭で LEXUS のドライバーを務める立川選手が言う通り、レースを戦うことで身につけた技術的ノウハウやスピリットは、確実にロードカーに活かされている。

また、 LEXUS LC や LEXUS RC F のデザインを手がけた森氏忠雄氏の言葉にあるように、レースは「本物のデザイン」に到達するための王道でもある。

サーキットを走るレーシングマシンと、街を走るロードカーはかけ離れた存在ではなく、互いに影響を与え合う関係にあるのだ。そしてこの事実をリアルに体感できるのがレース。LEXUS のホームである富士スピードウェイで、疾走するマシンのエネルギーや美しさを体験した参加者のみなさんは、レーシングマシンとロードカーが繋がっていることを目撃したに違いない。

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