TWIN EFFECTストリートとサーキットは繋がっている

クオリティライフスタイルマガジン『GQ JAPAN』は、2015 年より、LEXUS のドライバーたちのビジュアルをプロデュースしている。現代の紳士であるドライバーたちを、ふさわしい出で立ちに仕立てることが目的だ。
2019年のビジュアルのテーマは「街(ストリート)とサーキットはつながっている」。ファッションにしろ音楽にしろ、ストリート・カルチャーがすべての文化に影響を与えている現代の潮流にインスピレーションを得たものだ。
このテーマを具現するにあたって参考になったのが、LEXUS LC500 が、カリフォルニアのエンジェルクレスト・ハイウェイを駆け抜けるドライビングムービー。『GQ』のアートディレクターを務める高村雄介氏は、LEXUS LC500 のフォルムが西海岸の景色とフィットしていることに注目し、「ロサンゼルスのメルローズ・アヴェニューのような空気感をイメージした」と語る。スタイリストの井嶋一雄氏の狙いは、「レーシングドライバーがメルローズ・アヴェニューに繰り出すシーンをイメージしながら、紳士にふさわしい上品なコーディネイトにまとめました」というもの。そしてカリフォルニア出身の写真家エリック・ミコット氏が絶妙なライティングで、西海岸の光と影を再現した。

こうして完成したビジュアルは、モダンな紳士像を表現するものとなった。同時にこのビジュアルは、モータースポーツが華やかな社交の場であり続けてきたことも想起させる。レーシングドライバーはその時代を代表する紳士であるから、その周辺には華やかな文化人が集まり、ファッションやアクセサリーについても最新のトレンドがレーシングドライバーに吸い寄せられた。
なかでも興味深いのが、腕時計である。モータースポーツは時間を競うスポーツであるから、時計は必需品。レースから生まれた時計や、レース用の腕時計を愛したドライバーなど、モータースポーツと腕時計は常に親しい存在だった。今回は、LEXUS の 12 名の GT500 ドライバーたちの華やかな撮影舞台裏と合わせて、レースを愛した名優たちのエピソード、さらには、私たちのライフスタイルにも欠かすことのできない腕時計がモータースポーツとともに進化した歴史にもふれてみたい。

右上から時計回りに中山雄一選手、ニック・キャシディ選手、中嶋一貴選手、平川亮選手。

レーサーたちに“ノン”ハイスピードシャッターで迫る

気心の知れた LEXUS のドライバー同士、しかも担当する写真家もスタイリストも過去の撮影と同じメンバーだったので、撮影は和気あいあいとしたムードで進んだ。
写真家のエリックから様々なポーズをリクエストされたヘイキ・コバライネン選手は「ただ止まってポーズを決めるより、動いていたほうが楽ですよ」と笑う。初めてこのシーズンビジュアルの撮影に挑んだ山下健太選手は、「スタイリストさんが用意してくれた時計の値段が 200 万円だと聞いて、びっくりしました」と、初々しい。
これまでのシーズンビジュアルはネクタイを着用したりフォーマルなものだったけれど、今回はカジュアルウェアだった。ドライバーたちがリラックスした表情を見せたのには、そんな理由もあったのかもしれない。異口同音に、「これなら普段でも着られるかもしれない」という声があがった。100 分の 1 秒を競うドライバーたちのスローなライフスタイルを垣間見ることができたシューティングだった。

右上から時計回りに坪井翔選手、ヘイキ・コバライネン選手、国本雄資選手、山下健太選手。

街での運転とサーキットのドライブには共通点が多い

「街とサーキットはつながっている」というテーマの撮影の合間に、「街での運転とサーキットでの運転は同じなのか、それとも違うのか」という質問をドライバーたちになげかけた。まず、立川祐路選手と平川亮選手が、ほぼ同じニュアンスの答をしたのが興味深かった。曰く、街でもサーキットでも滑らかな操作が重要で、レース中でもドライビングは丁寧に操作しているとこのことだ。
周囲の動きをよく見るのは共通しているという答えも多かった。石浦宏明選手は言う。「高速ではみんなが 100km/h、サーキットではみんなが 300km/h。相手とほぼ同じスピードで走りながら次に起こることを予想するのは、共通しているのではないでしょうか」。中山雄一選手は、「レーシングカーであれ、街乗りのハイブリッド車であれ、それぞれの性格を理解して、正しい操作方法を見つけるのが大事なのは同じです」ときっぱり。なるほど、周囲の動きに気を配りながら、クルマの仕組みを理解して正しく、丁寧に操作する。こうした一連の行為がよりよいドライビングにつながるという点では、街もサーキットも同じなのだ。

右上から時計回りに立川祐路選手、関口雄飛選手、石浦宏明選手、大嶋和也選手。

LEXUS として戦う最後のシーズン、ドライバーたちの想い

2019 年は、LEXUS が SUPER GT GT500 クラスを戦う最後のシーズンでもある。LEXUS が GT500 クラスに参戦を開始した 2009 年以来、SC430、RC F、LC500 とすべてのレースマシンで戦ってきた立川祐路選手は、「どのモデルも開発から携わっていたので、今年が集大成という想いがあります」と表情を引き締めた。
2011 年から LEXUS で SUPER GT を戦う中嶋一貴選手は、「LEXUSのドライバーであるということはステイタスでした。寂しさもあるけれど、最後まで良い戦いをしたい」と誓う。LEXUS で SUPER GT を戦うようになった 2014 年以来、飛躍的な成長を遂げたことを自他ともに認める関口雄飛選手は、「応援してくれる LEXUS のファンに満足していただけるようなレースをお見せしたい」と、ファンへの恩返しを口にした。
在籍期間も LEXUS への想いもドライバーそれぞれであるけれど、最後の年に有終の美を飾り、歴史に名を刻もうという意気込みは、全員に共通している。2019 年シーズンはこの個性あふれる 12 名の LEXUS ドライバーに注目してもらいたい。

スティーブ・マックイーンは自動車だけでなくモーターサイクルの愛好家としても知られ、映画『大脱走』ではトライアンフにまたがった。写真はマックイーンと愛車ジャガー XK SS。1950 年代の非常に希少なスポーツカーの名車だ。

カメラカーを本物のレースで走らせた情熱

現代の最新のスタリングに身をつつんだ 12 名の LEXUS ドライバーを紹介してきたが、こうしたレーシングドライバーというヒーローが活躍し、セレブリティの社交の場となったのがサーキット。クリエイティブな才能に恵まれた人間が、その熱気と興奮を作品として残したいと考えるのは、ある意味で当然だろう。1960 年代にツーリングカー選手権に出場した経験を持つスティーブ・マックイーンにとって、モータースポーツを映画化することは悲願であった。その夢がついにかなったのが、映画『栄光のル・マン』だ。
マックイーンをはじめとする製作陣の情熱がこの映画に込められていることは、撮影機材を積んだレーシングマシンが実際に 1970 年のル・マン 24 時間レースにエントリーしていることからもわかる。結果、『栄光のル・マン』は実際のレースの迫力ある映像が使われた、モータースポーツ映画の名作となった。ひとりの男のモータースポーツに賭ける情熱が、映画史に残る傑作を生んだのだ。

パトリック・デンプシーは 2016 年の FIA 世界耐久選手権の富士スピードウェイ戦ラウンドでクラス優勝を果たした。写真は 2018 年、GQ その年に活躍したジェントルマンに贈る「GQ MEN OF THE YEAR」受賞時のもの。

サーキットを駆け抜けレッドカーペットの上を歩く

レースが好きでレース映画を作ったスティーブ・マックイーンと対照的なのが、ポール・ニューマンだ。ニューマンの場合は、映画『レーサー』への出演がきっかけでモータースポーツにのめり込んだ。本格的なレースにデビューしたのが 44 歳というから遅咲きといえるが、その後、世界三大耐久レースのひとつであるデイトナ 24 時間では 5 位入賞を果たし、ル・マン 24 時間レースでは 2 位に入り表彰台に立っている。ポール・ニューマンは俳優としての活動はもちろん、レーシングドライバーとしても世界でトップレベルの戦績を残した傑出した人物なのだ。
サーキットを駆け抜け、レッドカーペットの上を颯爽と歩く。現代において、そんな役割はパトリック・デンプシーに受け継がれた。ハリウッドで活躍する一方で、FIA 世界耐久選手権ではクラス優勝を遂げている。いつの時代にも、こうした“スピードスター”が存在し、モータースポーツ文化と他のカルチャーとの橋渡しになってくれる。

初期のレースではドライバーがダッシュボードに取り付けられた機械式の計測器を叩きタイムを計測していた。高速で走行する車の振動やクラッシュに耐えながらも正確な時間を刻むべく、時計は進化し続けた。

クロノグラフはモータースポーツとともに進化した

さて、ここからは私たちのライフスタイルの一部であり、スタードライバーたちとも結びつきの強い時計の話題に移ろう。モータースポーツはタイムを争う競技であるから計測機器、つまり時計とは縁が深い。モータースポーツにおいて最初に 1000 分の 1 秒、1 万分の 1 秒の計測に成功したのが、タグ・ホイヤー。1933 年には、自動車や航空機のダッシュボードに搭載する計器として、「オウタヴィア」を発表した。ちなみにオウタヴィアとは「automobile(自動車)」と「aviation(航空)」を組み合わせた造語。オウタヴィアは後に、クロノグラフ腕時計へと進化を果たしている。
クロノグラフ腕時計版のオウタヴィアを発表した後、タグ・ホイヤーは 1963 年、当時、世界で最も過酷だとされたレース、カレラ・パンアメリカにインスピレーションを得て、ドライバー用のクロノグラフ腕時計、カレラを発表した。現在も人気のクロノグラフは、そもそもモータースポーツと航空機に端を発しているのである。

デイトナ 24 時間レースでは優勝者にロレックス・コスモグラフ・デイトナが贈られる。ポール・ニューマンが身に着けたコスモグラフ・デイトナが 2017 年のオークションで約 20 億円で落札されたことは大きな話題に。

LEXUSドライバーたちのロレックス・デイトナへの想い

世界中で人気の腕時計、ロレックス・デイトナもモータースポーツと深い関係がある。フロリダ州デイトナビーチに位置するデイトナ・インターナショナル・スピードウェイが完成した 1959 年よりロレックスは計測機を提供してきた。そして63年に、モータースポーツをコンセプトにしたクロノグラフ腕時計、ロレックス・コスモグラフ・デイトナを発表したのだ。このクロノグラフ腕時計の傑作は、デイトナ 24 時間やル・マン 24 時間などの大きなレースの勝者に記念として授与される。LEXUS のドライバーでは 2018 年のル・マンウィナーである中嶋一貴選手が所有しており、やはり LEXUS で戦う国本雄資選手は、「すごい憧れの腕時計です」と語る。
2019 年のデイトナ 24 時間であと一歩で優勝というところに迫ったニック・キャシディ選手も、「デイトナがもらえることはもちろん知っていました。本当に惜しいことをしました」と唇を噛んだ。やはりレーシングドライバーにとって腕時計とは、身につける物の中でも特別な存在なのだろう。

モータースポーツは、ただクルマの速さを競うだけのものにあらず。この音速の舞台で戦うドライバーたちのアイコニックなファッションやレースカーとともに進化をしてきた腕時計など、モータースポーツ産まれの“スタイル”は、いつの時代も私たちのライフスタイルをセンス良く彩るピースのひとつである。

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