TASTE THE UNRIVALED PERFORMANCEフランスが誇る美食の世界とハイテクサーキットを巡る旅
国際映画祭で知られるカンヌ、風光明媚な高級リゾートのニース、そして F1 カレンダー上もっとも豪奢なレースが開かれるモナコなど、“コートダジュール”とその名を広く知られるフランス南部は、美しいリビエラが地中海を縁取る、世界有数のエクスクルーシブなエリアだ。
フランス国民は言うにおよばず、国外からも富裕層がバカンスに訪れることもあり、ミシュランの星を授与された最高級のレストランやオーベルジュが数多く点在している。
そんな世界有数リゾート地の玄関口のひとつとして知られる南仏主要都市・マルセイユを出発点に、南仏の蒼い空とのコントラストが映える真っ赤なボディの LEXUS LC 500h のステアリングを握り、地中海ならではの太陽・食・おもてなしを堪能し、2018 ブランパン GT シリーズで LEXUS TEAM が堂々の優勝を飾った「ポール・リカール・サーキット」を目指す旅に出た。
“ツール・ド・フランス”最大の難所へ
マルセイユ・プロヴァンス空港に降り立つと、刺すような陽の光がジリジリと肌を照りつける。しかし、カラダを包みこむ地中海性気候特有の乾いた空気は爽快で、周囲の旅行客も瞬時にリゾートモードにギアチェンジしている様子がひと目に分かる。
まず最初に目指したのは、レースはレースでも自転車の世界3大レースとして知られる「ツール・ド・フランス」で、もっとも過酷な山岳ステージとして知られる「モン・ヴァントゥ」。“プロヴァンスの獣”との異名をもつほどの難所で、標高 1,900m を少し超える頂まで、マルセイユからは2時間ほどの距離にある。剥き出しの石灰石で荒野のような険しい容貌を呈する山容は麓の町からも一目瞭然で、少しずつ高度をあげていくにつれて、「ミストラル」と呼ばれる強い北風が容赦なく吹きつけてくる。
クルマで登坂するならまだしも、生身を晒されるサイクリストにとって、どれほど厳しいコンディションなのか試しにウィンドウを開けてみると、車内に吹き込む風はかなり冷たく感じられるが、さすが“ツール”の名所とされるだけあって、頂上を目指してペダルを踏み込むアマチュアサイクリストの数は多い。ツール名物として知られているとおり、道路に激励の言葉や選手の名前がペイントされている箇所も多く、道路の両脇から大声をあげて詰め寄るファンの姿をまじまじと想像できるだろう。
平均勾配 7.43%、高低差 1,600m ほどの坂道を一気に登り、ツールの歴史を刻む登坂決戦の舞台ともなってきたモン・ヴァントゥ頂上に到着する。比較的低地な様相のプロヴァンス地方にあって、アルプス山脈系に分類されるこの山の高度は飛び抜けていて、そこからの眺めは視界を遮るもののない「絶景」の言葉にふさわしい眺めだ。
ハイブリッドによるパワーアシストを得る LC500h はこうしたワインディングで、ドライバーがストレスなく意のままに操ることができるので、麓の色鮮やかな草木が織りなす大自然の光景が、徐々に白く荒々しい石灰石の荒野へと変わっていく車窓の景色を堪能できる。
ミシュラン掲載レストランの白熱する厨房を目撃
フランスで食といえば、ミシュランガイド。1889 年にアンドレとエドワールのミシュラン兄弟が創業したタイヤメーカーのミシュラン社が「(クルマで)遠くまで走る楽しさを、より多くの人に味わって欲しい」との想いから作り上げたガイドブックだ。当初はタイヤの修理方法や各都市のガソリンスタンドの場所などを案内する総合ガイドブックだったが、年を追うごとに進化を遂げ、星の数によってレストランを評価する現在のシステムにいたっている。
地中海を母とする海の幸、アルプスの麓で獲れる山の幸ともに豊富な食材が揃う南仏は、このミシュランの星を獲得したレストランが各地に点在している。
次の目的地ミシュランの最高の栄誉である三つ星の評価を得ている「Christophe Bacquie」だ。ポール・リカール・サーキットの目と鼻の先にあるので、レース観戦と合わせて楽しめる立地も嬉しい。レストランの名前にもなっているマスターシェフ、クリストフ・バキエ氏は、各国の首長がパリを訪れると首相官邸に招かれ、料理を振る舞うほどその名声を広く知られている。
モン・ヴァントゥからレストランがあるル・カステレの街までは、登ってきた山道を下り、アヴィニョン、サロン=ド・プロヴァンスといった風光明媚な都市があるエリアを抜けていく。ローマ帝国時代からある街も多く、往時から建っているだろう石壁に挟まれた細い道に遭遇することもしばしば。しかしドライバーのハンドル操作に正確かつ瞬時に反応する LC のレスポンスの良さのおかげで快適にドライブできる。
道中には、「ドメーヌ」と呼ばれるワイン生産者も多く、南仏らしい日当たりの良い土地に広がるヴィンヤードを横目にクルージングしていると、バカンスの高揚感は最高潮に達することだろう。
ル・カステレまでは、2 時間半の道のりで地中海に面した険しい断崖の様子が印象的なカシスなどの街を通りドライブ。
その後、LC の小気味良いステアリングと俊敏なアクセルワークを生かして、最後に現れる登り坂のワインディングを走破すると「Christophe Bacquie」に到着する。
ラグジュアリー・スパと最高級の宿泊施設を備えた「Hotel & Spa Du Castellet」内にある「Christophe Bacquie」では、「料理を通してプロヴァンスの自然を体感して欲しい」というバキエ氏のコンセプトどおり、地中海で獲れる新鮮かつ美味なシーフードと、プロヴァンスのテロワール(土壌)で育った山の幸を余すところなく用いた料理が一番の特徴だ。
特別に厨房を覗かせてもらうと、そこはピンと張り詰めた緊張感が漂っていた。店内に設置したカメラで各テーブルの食事の進み具合を常時把握し、抜群のタイミングで次の皿を供する。最高の料理を最高のタイミングで供すればこそ三つ星となる。フランス最高級レストランの本領を垣間見た瞬間だった。
ティルケ氏設計のハイテクサーキット
「ポール・リカール・サーキット」を前にして、まず目に飛び込んでくるのは、そのグラフィカルなカラーリングとデザインだろう。“サーキット”というと、どちらかといえば無機質な造作のトラックが多いきらいがあるが、ポール・リカールはその対極にあると言っても過言ではない。
例えば、ランオフエリアは、グラベルを敷き詰める代わりに、計算された赤と青のグラフィカルな縞模様のデザインがターマックに施されている。コースを縁取る縁石に施された白色とあいまって、フランス国旗のトリコロールをイメージさせる粋なあしらいだ。
このサーキットを建設したのは、1932 年に地元マルセイユで創業したリキュールブランド「ペルノ・リカール」のポール・リカール氏。所有する広大な土地の利用方法を模索していたリカール氏は、手始めにプライベートジェットも発着する飛行場を建設。現在もこの飛行場には欧州各国から自動車を愛するCar Guyたちがプライベートジェットでやって来て、レース観戦や自身のスポーツカーでサーキット走行を楽しみ、「Hotel & Spa Du Castellet - Christophe Bacquie」で芳醇な大地が生みだす極上の一皿に舌鼓を打つ。そんなバカンスを謳歌している。
その後、リカール氏は友人からの勧めもあって 1970 年にサーキットをオープンした。翌年からフランスF1グランプリの舞台となり、数々の名勝負を目撃してきた由緒正しきサーキットとして広く知られている。99 年に氏が逝去すると、F1 界に君臨したボス、バーニー・エクレストン氏がサーキットの経営権を引き継ぎ、セパン(マレーシア)、バーレーン、イスタンブール(トルコ)などの F1 トラックを設計してきたドイツ人建築家、ヘルマン・ティルケ氏の指揮のもと大規模な改修が行われることとなった。
コースレイアウトは約 170 通り
ティルケ氏による改修後に命名された「ポール・リカール・ハイテク・テスト・トラック」のサーキット名が示すとおり、他には類を見ないほどのハイテク技術が総動員されている。
例えばコースレイアウト。サーキット自体は、起伏のほとんどないフラットなプロフィールだが、シケインなど細かな調整を組み合わせることで、最長距離の 5.861km から最短の 826m までと、総計 170 通り近くものコースレイアウトを選択できる。また、ウェットコンディションを人工的に作り出すスプリンクラー装置を各所に備えているのも特徴。ひと言に「ウェット」といっても、64通りの異なるコンフィギュレーションに対応できるという万能ぶりだ。
その他にも、前述のグラフィカルな縞模様が美しいランオフエリアは、コースアウトしたレースカーをサポートするため摩擦係数の高い路面加工が施されている。トラックに隣接するブルーの部分は、直後のスピードダウンと素早いコースリターンを促す設計だが、赤いゾーンは摩擦係数もマックスで、ここまでコースアウトしたマシンはタイヤ交換が必要なレベルとされている。
これらランオフエリアの背後に構えるバリアも、オールドスタイルなタイヤを積み上げたものではなく、衝撃吸収のためクラッシャブルな設計を施したポリエチレン製バリアを備えている。このように重大事故を未然に防ぐための革新的な工夫が各所に施されているのもこのサーキットの特徴だ。
“モーターレース界随一のハイテク”の評価にふさわしい設えといえるだろう。
2018 シーズンの優勝再現を目指して
28 年振りとなるフランス F1 グランプリ開催を目前に控えたトラックで行われた「サーキット・ポール・リカール 1,000km」。スイスの高級時計ブランド「ブランパン」がタイトルスポンサーを務める GT3 の欧州最高峰レースシリーズ「ブランパンGTシリーズ」の一戦だ。LEXUSはメルセデス、BMW、アウディ、フェラーリ、ランボルギーニ、アストンマーティチンなど世界を代表するメーカーの GT3 マシンと毎戦手に汗握る戦いを繰り広げている。
LEXUSは RC F GT3 で参戦しており、第 1 戦のモンツァ(イタリア)で 5 位、続くシルバーストーン(イギリス)で 2 位と好成績を立て続けに記録してきた。
サッカー元フランス代表のゴールキーパーを務めたファビアン・バルテス選手、ベルギー人ドライバーのベルナール・デレズ選手、そしてフランス・スーパーツーリング・チャンピオンに3度輝いたこともあるエリック・カイヨール選手による地元トゥールーズ結成のチームは、2018 ブランパン GT シリーズで記念すべき初優勝を果たした縁起の良いこのサーキットで、さらなる飛躍を目指しレースに臨んだ。
まずは練習走行。AM Cup カテゴリー 4 番手の好タイムを叩き出し、上々のスタートを切る。続く予選では、順位を少し下げ7番手に落ち着いたが安定したパフォーマンスを披露し、決勝への期待をいただかせる展開となった。
そして雌雄を決する決勝レース。勢揃いした 49 台のレースカーがローリングスタートで、レースの火蓋を切ったのは夕方 6 時。南仏の初夏の太陽はまだまだ空高く、乾いた陽光が照りつけるなか激戦の開始が告げられたのだった。
最初にステアリングを握ったのは、デレズ選手。コース上のトラブルが連発したファーストラップを巧みに切り抜け、レース開始から 30 分で、順位を4番手にまで押し上げる力走を見せる。
続くカイヨール選手、バルテス選手がさらに順位を押し上げる走りを披露、レース全体の 1/4 が終了した時点で、2 番手のポジションを走る期待通りの展開に、ファンも関係者も心が踊った。
しかし、前年に続く表彰台フィニッシュも現実味を帯び始めてきた矢先、白熱のレースも残り 2 時間と差し迫ったところで、59 号車のアストン・マーティンと接触。この事故を起因としたマシントラブルにより、リタイアを余儀無くされてしまったのだ。
スパ 24 時間への布石となったポール・リカール
「リタイアという結果は残念ですが、ブランパン GT シリーズの耐久レースにおいて、これまででもっとも良い記録が出たのも確かです」と語るのは、チーム・マネージャーを務めるシモン・アバディー氏。
ポール・リカールでの激戦を終え、表彰台どころか完走することなく終わった結果は事実として存在する。が、カテゴリー中トップ 3 位となるラップタイムを記録したことは、さらなる大舞台「スパ 24 時間レース」を控えるチームがもつポテンシャルの大きさを示しているともいえるだろう。
「今回のレースから得たデータを徹底的に分析し、スパ 24 時間に向かって、マシンやチーム・オペレーションをより最適化する必要があります。チーム順位も下がってしまいましたが、チャンピオンとして君臨するには、やるべきことはたくさんあります。」
「また次のスパが私たちの真のチカラを示す大きな舞台になると信じています。私たちは真のレーサーであり、さらに切磋琢磨し、この RC F GT3 とともにポディアムのもっとも高い段に立てるよう全身全霊で戦っていきます」とアバディー氏は結んだ。
南仏プロヴァンスほどドライブするにふさわしく、また楽しい土地はそう多くはないのではないか。旅の直後の高揚感を差し引いたとしても、そう結論づけられそうなほど有意義なロードトリップができるエリアであることを実感するドライブとなった。
どこへ出かけるにもクルマで 2〜3 時間の距離という、ドライブにちょうど良いサイズ感であり、またアルプスや地中海をバックにする道中には、ミシュラン掲載レストラン、ワイナリー、ワインディングロードにハイテクサーキットまで南仏のライフスタイルを体感するコンテンツが勢ぞろいしている。
旅にも大いなる探求心を持つ世界のビジネスエグゼクティブや富裕層が毎夏のように訪れ、クルマのパフォーマンスをサーキットのみならず、海と山が織りなすさまざまなロードプロファイルで体感し、心地よいドライビングの後には最高のパフォーマンスで生み出される芸術的な一皿を求めるのも納得できる。「ポール・リカール」が位置するここは日常と非日常が見事に溶け合う稀代のロケーションなのである。
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