DINING OUT RYUKYU-NANJYO with LEXUS

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日本のどこかで数日だけオープンするプレミアムな野外レストラン「DINING OUT」。
レクサスはDINING OUTのクリエイティブなチャレンジに共感し、本イベントをサポートしています。
今回の舞台は、琉球王朝の起源といわれる沖縄県南城市。
DINING OUT RYUKYU–NANJOのテーマは、「Origin はじまりのストーリー」一流の料理人がその土地の食材を新しい感覚で切り取った料理を、
その土地を最も魅力的に表現する場所と演出とともに、五感すべてで味わっていただきました。

開催概要

  • 実施期間
    2018年11月23日(金・祝) 、24日(土)
    募集人数
    各日程40名、計80名限定
    会場
    沖縄県南城市
    ホスト
    中村孝則(コラムニスト)
    料理人
    樋口宏江(志摩観光ホテル 総料理長)
沖縄県南城市
沖縄県南城市
沖縄県南城市

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11月23日(金・祝)、24日(土)に『DINING OUT RYUKYU-NANJO with LEXUS』が開催されました。15回目の開催地は、琉球王朝の起源といわれる沖縄県南城市。太古の昔「アマミキヨ」という女神が「ニライカナイ」と呼ばれる海の向こう側からやってきて、琉球の島々や御嶽を作ったという神話になぞらえ、『DINING OUT』史上初となる女性シェフが抜擢されました。重責を担い、二夜限りの厨房を預かったのが『志摩観光ホテル』総料理長の樋口宏江シェフ。今回のテーマは、「Origin いのちへの感謝と祈り」です。

冬の入口ながら、照り付ける強い陽射しに晩夏の余韻さえ感じる秋晴れの日。しかし雲の流れひとつ、風向きひとつ変われば、気温の感じ方も都度変わります。送迎のLSが到着したのは、沖縄半島南端に位置する安座真港。ゲストはここから船に揺られ、港から約5キロの場所にある久高島へと渡ります。

ゲストはまず、島外から訪れた人が最初に挨拶をする徳仁拝所(ウガンジュ)に詣り、続いて12年に一度の秘祭「イザイホー」の二大祭場となる御殿庭(ウドンミャー)、外間(ウプグイ)と、祈りの場を訪ねました。ホストを務めるコラムニストの中村孝則氏と島の案内役の西銘政秀氏が御殿庭でゲストを迎え、巡礼の案内役に。

「イザイホー」を執り行うのは、ノロと呼ばれる女性であること。最後に行われたのは1978年であること。御殿庭には、島で「神の使い」とされる神聖な食べ物・イラブー(ウミヘビ)の燻製小屋があること。中村氏と西銘氏の口から語られる島のしきたり、慣習は、沖縄を訪れたことがある人にとってさえ未知の世界、驚きの連続であったことでしょう。さらに一行は、バスで島の最北端・カベール岬へと向かいます。

特別な島で初めて聞く話に神妙に耳を傾けていたゲストたちも、テーブルに並ぶフィンガーフードを見て、小さな歓声を上げ、表情は明るく華やぎます。岬の突端に目を向ければ、アダンやオキナワシャリンバイといった風衛植物の濃い緑色と白い砂浜、ターコイズブルーの海が、鮮烈なコントラストを描く南国らしい景色が広がります。

樋口シェフがアペリティフに用意したのは、五穀に因んだ南城産赤米のチップスや、樋口シェフが志摩から持ってきた鮑のスモークなど。砂浜へと進み「ニライカナイ」の方角に祈りを捧げたゲスト一行は、再びバスに乗り、ディナーの本会場へと、徳仁港に向かいます。いよいよ、樋口宏江シェフが司る、感謝と祈りの宴の幕開けです。

この日のために用意されたディナー会場を囲むのは、ライトアップされた知念城跡。琉球王国時代から続く聖地巡礼の拝所のひとつで、切石組みのミーグスク(新城)と、自然石を積んだクーグスク(古城)から成り、国の史跡にも指定されています。「Origin いのちへの感謝と祈り」をテーマに、『DINING OUT』史上最も神聖な場所で繰り広げられる二夜限りの祈りの宴。その“祭祀役”を務めるのが、樋口宏江シェフなのです。

この晩、供されたのはアミューズからデセールまで11皿。そのすべてが迷いなく、確信に満ちていました。わずか2カ月前に視察に訪れたのが、樋口シェフにとっての初めての沖縄であったとは信じられないほど。地域の人々の暮らしの中でそれぞれの食材が果たしてきた役割を踏まえ、郷土食から得たインスピレーションもフルに生かして作られた料理は、どれも堂々たるフランス料理でした。

コースの合間に古くから祭祀舞踊として土地に根付く琉球舞踊が披露されました。三線や笛、太鼓の音に合わせたしなやかな舞いを照らすのは、煌々と輝く月明り。そう、23日は満月だったのです。月明りは、舞台だけでなく食卓を囲む人々をも照らします。

「ホテルで仕事をしてきた自分だからこそ出せる料理をお出ししたい」
開催に先駆け、樋口シェフが繰り返し話していた言葉です。では「ホテルの仕事」とはいったいどういうものでしょうか。

それは1皿に惜しみない手間がかけられる仕事。例えば「マクブとウイキョウのスープ」1品を取っても、まず魚の骨と野菜を炒めたもので出汁を引き、エビのコンソメを合わせでコクを出し、身は火を入れる前に塩と砂糖でマリネして脱水し、揚げたウロコを添えて食感を出すという具合。見えないところにかけられる膨大な仕事量は、“人の手”なくしてはありえません。沖縄南城の地で開催された『DINING OUT』では、阿吽の呼吸で通じ合うホテルのスタッフに代わり、県内から集まった料理人たちが樋口シェフの指揮の下、その役割を果たしました。その様子に神の使い役である女性の下、執り行われる祭を重ねたゲストも少なくなかったはずです。

「準備段階で焦りやプレッシャーはありましたが、いつも沖縄の方々が助けて下さった。食材の生産者の方々の真摯さやおおらかさ、厨房スタッフとして参加して下さったシェフの方々の惜しみない力添え。皆さんと作り上げた2日間を誇りに思いますし、それはこれからの私の仕事にも生かされていくと思います」
2日間の感想を樋口シェフに尋ねると「やり切った」という表情で、そう語りました。

国の史跡にダイニングをしつらえ、海を隔てた2会場を船で行き来し、土地に縁を持たない女性料理人が厨房を仕切る。初めて尽くしゆえに、成功への願いと同じくらい大きな不安も抱えてスタートした『DINING OUT RYUKYU-NANJO with LEXUS』は、大きな充実感とともに幕を閉じました。この成功は16回以降の『DINING OUT』に、そして携わったすべての人々のこれからに、いい形で繋がっていくはずです。

Chef & Host

今回、料理を担当したのは、「G7 伊勢志摩サミット」のディナーを担当し、各国首脳から称賛を受けた、『志摩観光ホテル』総料理長樋口宏江シェフ。

ホスト役には、「世界ベストレストラン50」の日本評議委員長を務め、過去6回のDINING OUTに出演し、食やカルチャーなどをテーマに活躍するコラムニスト、中村孝則が務めました。

樋口宏江(志摩観光ホテル 総料理長)

Chef Profile

樋口宏江(志摩観光ホテル 総料理長)

三重県四日市市生まれ。1991年、志摩観光ホテルに入社。その後、23歳の若さでホテル志摩スペイン村のフランス料理「アルカサル」シェフに抜擢された。2014年には、同ホテルで初めての女性総料理長に就任。2016年に、「G7 伊勢志摩サミット」のディナーを担当し、各国首脳から称賛を受けた。翌年、第8回農林水産省料理人顕彰制度「料理マスターズ」のブロンズ賞を、女性として初めて受賞。今、最も世界から注目を集めている女性シェフである。

中村孝則(コラムニスト)

Host Profile

中村孝則(コラムニスト)

神奈川県葉山生まれ。ファッションやカルチャーやグルメ、旅やホテルなどラグジュアリー・ライフをテーマに、雑誌や新聞、TVにて活躍中。2007年に、フランス・シャンパーニュ騎士団のシュバリエ(騎士爵位)の称号を授勲。2010年には、スペインよりカヴァ騎士の称号も授勲。(カヴァはスペインのスパークリングワインの呼称)2013年からは、世界のレストランの人気ランキングを決める「世界ベストレストラン50」の日本評議委員長も務める。剣道教士7段。大日本茶道学会茶道教授。主な著書に『名店レシピの巡礼修業』(世界文化社)がある。