幼い日の目黒シェフが憧れたのは、料理人だった祖父の背中。「印象に残っているのは、ひとつのことを追求する姿勢。広くではなく、深く。黙々と挑む姿がかっこよかった」そんな思いは、いまも変わらずに目黒シェフの中に息づいています。
料理の世界に飛び込んでからは、フランスでの修業、魚介料理への目覚め、そして29歳で独立しミシュランの星を獲得と、スターシェフの階段を登ってきました。言葉にすると華やかな道だけを歩んでいるようにみえますが、その芯には頑固なまでの職人魂が受け継がれているのでしょう。
The Vision
常に進化を続ける魚介
スペシャリストの哲学。
ある日突然、日本のどこかに現れるプレミアムな野外レストラン『DINING OUT with LEXUS』。
2019年7月、『DINING OUT AOMORI-ASAMUSHI with LEXUS』で料理を担当したのは、代官山「abysse」の目黒浩太郎シェフでした。
魚介フレンチのスペシャリストが挑戦したのは、青森の魚介の多様性をどう表現していくか。
3時間以上に及ぶディナーが終わり、響き続けた拍手、称えあうスタッフ、少しだけ目を赤くした晴れやかな表情の目黒シェフ、
その光景がどんな言葉よりも雄弁に、結果を物語ります。
同日、LEXUS UXを駆って青森を走る目黒シェフの姿がありました。
「誰の真似もしたくない」断固たる口調で語る目黒シェフの言葉はやがて、唯一無二のドライビング体験を生むUXと溶け合います。
料理と車。目黒浩太郎とLEXUS。まるで異なる存在に潜む、不思議な共通項を探ります。
だから目黒シェフは、脇目も振らず魚介料理の追求を続けるのです。「たぶんゴールは、ないんじゃないかな」そう笑いながらもその瞳は、常にさらなる高みを見つめています。
「ひとつのことを掘り下げる」そう決めた目黒シェフが選んだのは魚介の世界。しかしフランス料理の世界で、魚介に特化するということは簡単な話ではありません。海が荒れれば魚は入らない。サイズや時期により味の特徴が異なる。無数の魚それぞれに必要な処理と調理法がある。ひと口に魚料理といっても、越えるべきハードルは無数。それでも目黒シェフは、自身で決めた魚の世界を、深く深く掘り下げます。
「ダイニングアウトのオファーが来たとき、本当に、めちゃくちゃ嬉しかった。ずっとやりたいと思っていましたから」と目黒シェフ。しかし場所が青森だと聞いたとき、不安もよぎったといいます。「一般的に日本の魚介は、西の方が評価が高い。青森の魚介は正直、使ったことがありませんでした」
しかしまもなくその固定観念は、ひとりの人物により、崩れ去ります。終演後の目黒シェフと固く握手を交わした大柄な人物。その人物こそ、今回の魚介の仕入れを一手に引き受けた青森で鮮魚の卸・小売業を営む塩谷孝氏です。目黒シェフが「青森の魚介の印象を根本から覆した存在」と全幅の信頼を寄せる人物。「青森のこれほど素晴らしい魚介に出会えたこと、そしてそれ以上に、これからもずっと付き合いたい素晴らしいパートナーに出会えたことが、今回の最大の収穫です。」
ミシュラン一つ星を獲得した店でありながら、『abysse』にスペシャリテはありません。理由のひとつは、魚介という自然が相手では、常に同じ素材を使い続けることができないから。そしてもうひとつの理由は、目黒シェフの哲学にあります。「もちろん不完全な料理をお出しするわけではありません。しかしひとつの料理が完成した瞬間に“次はこうしてみよう”、“これを合わせたらどうだろう”というアイデアが浮かんでくるのです」だから目黒シェフの料理は常に変わり続け、それ故にスペシャリテがないのです。
目黒シェフは常に新たな料理を考えます。素材の本質を見極め、その魅力を仕立てやソースや付け合せの力を借りて一皿の上で表現する。だから目黒シェフの魚介料理は、シンプルなようで実に繊細なバランスの上に成り立ちます。
UXのハンドルを握りながら、目黒シェフは話します。「斬新なだけでも、安定しすぎでもない、絶妙なバランス。このUXと似ていますね」確かな礎の上にこそ成り立つイノベーション。料理と車がリンクする、ハイレベルな“在り方”です。
「青森は初めての場所。だからあえて事前にインプットをせずに、ここで自分が何を感じるかを大切にしました」そんな目黒シェフが繰り返し口にしたのは、魚介の豊かさと人の温かさ、そして自然の美しさ。『DINING OUT with LEXUS』では、シェフが感じたままのそんな青森を、少量多皿の魚介料理で表現したのです。「大げさかもしれませんが、人生の経験や、人間としての力そのものを試されたような数日間でした」そう振り返る目黒シェフ。
青森が届けるフィーリングに、UXのスムーズな走りがさらに彩りを加え、その印象はいっそう深く刻まれます。「本当に豊かな海、力強い自然、少しシャイだけど温かい青森の人たち。青森を旅したことで、さまざまな出会いがありました。それは僕自身の料理の幅を広げてくれるような出会いでした」
四季が一巡すると、また同じ魚介の旬がやってきます。しかし登場する料理は前年とは別物。今年は炭火で仕上げよう、こんなソースと合わせよう。去年と同じ素材が、まったく別の料理となって、ゲストの前に登場するのです。新しい玩具を手にした子供のように、難題に挑むストイックな研究者のように、今年も目黒シェフは素材と向き合います。
「好きを貫いた先に想像を超えたものを創れると思っています。常に進化を続けること、それが僕の生涯の目標です」そう話す目黒シェフの言葉は、ある人の言葉に重なります。それはUXプロジェクトチーフデザイナー・三木鉄雄氏の言葉。「常に進化し続けること。それこそがLEXUSなのです――」たとえばLEXUSではおなじみの左右のL字型テールランプ。UXでは、この両端をフィン形状とすることで走行安定性を高め、さらにひとつなぎとし、立体的な造形を持つ真一文字に進化させました。また、LEXUSの基本哲学である「二律双生」を源に、頑強でありながら俊敏なパフォーマンスを予感させるUX独自のエクステリアデザインを実現しています。
「前例がないことは、とどまる理由にはなりません。難しいけれど、だからこそおもしろい」三木氏の屈託のない笑顔も、決意を語る目黒シェフに重なります。
常にベストを更新しながら、さらなる高みを目指す。目黒シェフは青森でUXのハンドルを握りながら、そんな共通項に胸を高鳴らせていたのかもしれません。