Co-Creation 革新技術と匠の技が
融合した専用工場で
「CRAFTED」を具現化

LEXUS FACTORY TOUR
レクサス九州工場見学ツアー

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注目のスタートアップも数多く集まる日本最大級のビジネスカンファレンス「ICCサミット FUKUOKA 2019」。200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する一大イベントだ。LEXUSは『感動・ワクワク体験をいかに実現するか?(顧客体験のデザイン)』と題したセッションを開催。また、特設ブースを設けて、プロドライバーが同乗する試乗やLEXUSのクラフトマンシップに共鳴する若き匠とのコラボレーションにより生み出されるコレクション「CRAFTED FOR LEXUS」の展示販売を行った。

なかでも話題を集めたのが、ICCサミットの一部参加者限定のオプションツアー「レクサス九州工場見学ツアー」。LEXUSのモノづくりを体感してもらうことで、CRAFTED思想を伝えることが目的だ。「ICCサミット FUKUOKA 2019」開催中、3回に分けて開催され、20社を超える企業の経営陣が参加した。

今回は、2月21日午前の部で行われた工場見学後の意見交換会の様子をリポート。この回の参加メンバーは、ヤッホーブルーイングの代表取締役社長、井手直行氏。ライフスタイルアクセントの代表取締役、山田敏夫氏。ソラコムの代表取締役社長、玉川憲氏。BizteXの代表取締役、嶋田光敏氏。ユーグレナの取締役副社長でリアルテックファンド代表も務める永田暁彦氏。ビズリーチの取締役キャリアカンパニーカンパニー長、多田洋祐氏。ラクスルの代表取締役社長CEO、松本恭攝氏。三星グループの代表取締役社長、岩田真吾氏。計8名だ。

彼ら経営陣が、レクサスのモノづくりに何を感じ、どういった疑問を抱いたのか。その問いにレクサスはどう答えたのかをまとめた。

MEMBER

  • 井手直行氏

    井手直行氏

    株式会社ヤッホーブルーイング
    代表取締役社長 
    プロピッカー

  • 山田敏夫氏

    山田敏夫氏

    ライフスタイルアクセント 
    代表取締役

  • 玉川憲氏

    玉川憲氏

    ソラコム 
    代表取締役社長

  • 嶋田光敏氏

    嶋田光敏氏

    BizteX 
    代表取締役

  • 永田暁彦氏

    永田暁彦氏

    ユーグレナ 
    取締役副社長
    リアルテックファンド代表

  • 多田洋祐氏

    多田洋祐氏

    ビズリーチ 
    取締役キャリアカンパニー
    カンパニー長

  • 松本恭攝氏

    松本恭攝氏

    ラクスル
    代表取締役社長CEO

  • 岩田真吾氏

    岩田真吾氏

    三星グループ 
    代表取締役社長

世界中で販売されるレクサス車の
半分以上を製造する宮田工場

LEXUSは全世界6拠点で生産されている。そのなかでも最大級なのが、トヨタ自動車九州 宮田工場だ。日本で唯一、LEXUS車の生産に特化した工場で、年産は43万台。LEXUS全体の販売台数が約70万台なので、実に半数以上がここで生産されていることになる。生産車種は『CT』『NX』『UX』『RX』『ES』。これらのクルマは、日本国内を始めとして、世界80の国地域へと出荷される。

今回見学をさせてもらったのは、『RX』と『ES』を生産する「第二塗装ライン」と「第二組み立てライン」だ。「第二塗装ライン」では車体の塗装を、「第二組み立てライン」では塗装された車体に部品の取り付けを行う。

具体的な見学内容は『ICCサミット FUKUOKA 2019』のオフィシャルサイトでも紹介しているので、そちらを参照して欲しい。(https://industry-co-creation.com/report/40244

約2時間の見学が終わると、LEXUS担当者と参加メンバーとの質疑応答・意見交換会に移った。モノづくり系スタートアップも多く、トヨタ生産方式やLEXUSの「CRAFTED」に対するこだわりにも強い興味を持ったようだ。また、モノづくりにおける手法や意志決定の方法、ブランドの考え方まで、話は多岐にわたった。

経営者らしく工場の運営手法や
仕組みに質問が飛ぶ

質疑応答・意見交換会の口火を切ったのは、厳選した工場と顧客とを直接繋ぐファッションブランド「ファクトリエ」を展開する「ライフスタイルアクセント」の山田氏だ。「車体のデザインに対して、実際に製造する工場、作り手側がどの程度意見を言える環境なのか」という、フェッションブランドを展開する経営者らしい疑問をぶつけた。

それに対して、「LEXUSは、作り手を多少無視してでも洗練されたデザインにチャレンジしている。以前は、作りにくい形状に対して、無理だと断ることもあったが、ここ数年で、むしろ一緒にチャレンジする雰囲気が生まれている」と答えるLEXUS担当者。

この回答に対して、クラウドRPA(ロボット・プロセス・オートメーション0「BizteX cobit」を提供する「BizteX」の嶋田氏が、「工場にデザインの相談はあるのか」と話を広げた。LEXUS担当者は、「工場自体はデザインセンターを持っておらず、LEXUSから提示されたデザインに対して、どういった方法を使えば実現できるかを検討する」と回答。車種にもよるが、2年程かけながら試行錯誤を繰り返すという。

LEXUS本体と工場の関係性について質問したのは、ネット上で印刷や物流のシェアリングプラットフォームを展開する「ラクスル」の松本氏だ。「工場が持っている権限や自由と表現はどこまでの範囲に及ぶのか」と単刀直入に聞いた。

これに関しては、「自由度でいえば、もちろん勝手なことはできない。あくまで連携の世界。しかし、意見も言うし、設計や整備のすり合わせは非常に密接な関係。以前は縦割りの部分もあったが、今は融合が進んでいる」とのことだ。

松本氏は、「工場の一番大きな目標は、不良品発生率なのかコストなのか、それとも生産量か」と、工場の目標についても質問を続ける。

LEXUS担当者の回答はこの3つのどれでもなく、「第一は安全」と答えた。その上で「製品でいくと品質。とにかく、悪いものを出さない。そのためにはコストをかけてでも品質を守るというのが、工場だけではなくトヨタ全体の文化」と答えた。

品質に関しては、忌憚なき質問も飛んだ。繊維・樹脂メーカーで織物、編物の企画・製造および自社ブランド事業を展開する「三星グループ」の岩田氏の問いかけは、メーカーの代表らしいものだ。「品質と納期とコストは常にバランス。納期にまけて品質意識が落ちることもある。現場には常に不正の誘惑があるが、それをどう防止しているのか」といったものだ。

また、クラフトビール「よなよなエール」などを製造・販売する「ヤッホーブルーイング」の井手氏からは、昨今の自動車業界の不正に触れ「トヨタではあまり聞いた記憶がない。そこには品質に対する文化が関係しているのか」という問いが投げかけられた。

これらの答えは、工場見学の途中にあった。LEXUS工場では、絶対に不良品を後工程に流さない「自工程完結」という考え方がある。そのため、少しでも異常やミスがあると感じたら、スタッフひとりひとりの権限でラインを停めることができる。工場でラインを停めると後工程に大きな影響が発生し、場合によっては叱責されることもある。

しかし、LEXUSでは、「なぜ停めた」ではなく「よく停めた」が合い言葉。叱責どころか、「よく停めた」と褒める文化だという。「これはトヨタのカルチャー。品質第一で工場をオペレートしている。工場なので、当然納期もコストも大事だが、LEXUSの工場では、品質、納期、コストの順番で優先順位がつけられている」とトヨタ担当者が答えた。

同じ品質に関する質問でも、IoTプラットフォーム「SORACOM」を展開する「ソラコム」の玉川氏は、品質基準について尋ねた。

品質基準に関しては、品質に規格があり公差範囲が定められているという。しかし、LEXUS工場では、公差範囲のなかでも中央値管理にこだわる。つまり、極力ばらつきを抑えて、例えば公差範囲1mmあっても、0.3mm以内に収めるように努力するそうだ。

LEXUSの「CRAFTED」と
トヨタのカイゼンの共通点とは

話は「CRAFTED」へと移る。岩田氏は「CRAFTEDは、職人技といった属人的な部分。しかし、今日見学した工場は、トヨタ生産方式により、かなりの部分で機械化されていた。機械化とは平準化で、それは属人化とは異なる概念。この部分の整理がつかない」と疑問をぶつけた。

LEXUS担当者は「全自動のロボットが生産しているわけではなく、基本的には人が主体となり機械を活用して生産している」と回答。この「人」こそ、匠の技を持ち、6万時間をかけて技を磨いているという。その一例は、検査工程でみられた。検査スタッフは、業務に入る前に、毎回あるチェックを受ける。それは、ボディの隙間幅と上下段差を指先で触り、正しく言い当てるというもの。コンマ数ミリ単位での判断が求められ、合格できない場合は、その日は別工程に回されるという。

また、ロボットに関しても、匠の動きを移植して、人と同等の品質を出すチャレンジを続けている。実際、見学した「第二塗装工程」のロボットアームは、人と同じ動きで塗料を噴霧。最後は人の手により、仕上げの塗装や研磨、色ムラ・傷のチェックなどを行っている。これは、RGBの配光を調整した特殊な照明下で実施され、左右、前後を別々のスタッフが担当するこだわりだ。

LEXUS担当者は、「CRAFTEDをLEXUSの源泉であり、携わる全ての人が持っている、心持ち、姿勢、哲学であり、アイデンティティ」とした上で、「CRAFTEDとカイゼンは、通じる部分がある」という。それは、考え抜くことだ。お客様に思いをめぐらせ、心を配り、より良いモノづくりを考え抜く。それこそが、CRAFTEDにつながるという。

製造現場が持つ危機感。
モノづくりの根幹も変わる必要がある

ミドリムシを主に活用し食品や化粧品の販売、バイオ燃料の研究等を行っているバイオテクノロジー企業「ユーグレナ」の永田氏は、LEXUSのブランドについて率直な感想を述べた。「先端的であるというイメージが持てる工場であるかどうかが、その先のブランドまでつながる。LEXUS工場のカイゼンは素晴らしいし、細部までこだわるフィロソフィーが現場に浸透している。しかし、先進的でイノベーティブな印象はもたなかった」と率直に語る。

LEXUS担当者も「サプライヤーの枠を飛び越えて先進的でイノベーティブな技術を取り込むほど、ドラスティックに動けてはいない」と本音で答える。しかし、トヨタ自動車本体がオープンイノベーションに舵を切ったことを例にあげ、「変わりつつあるフェーズだと思う」と答えた。

バイオテクノロジー企業であるユーグレナの副社長である永田氏は、生命科学の観点から気づいたことを続けて話した。「身長や利き手を考慮して、最適な配置や働き方にアジャストしていける気がする。そうすると、育成の順序も変わり、トヨタの現場は何か違うぞ、という雰囲気が出てくる。それが巡り巡って、メーカーのイメージが変わるきっかけにもなるかもしれない」と永田氏。ソラコムの玉川氏が、「極端な例だが、製造する人数は減って、機械化が進んだときに、選び抜かれた少数精鋭の超最高級人材が作るといったブランドイメージも格好良さそう」と話をつなぐ。

質疑応答・意見交換会も終盤。複数の参加メンバーから、CASE戦略(Connected(ネットにつながるクルマ)・Autonomous(自動運転)、Shared (カーシェアリング)、Electric(電気自動車))時代のCRAFTEDについて、複数の意見がでた。概ね、「変革がサービスやインターフェースに寄っている印象を受ける。現場ではどう受け止めているのか」というものだ。

LEXUS担当者は「マニファクチュアの部分っていうのが取り残される危険性」を認めつつ、「その危機感から、製造現場と研究開発部門が融合しつつある。宮田工場でも、2016年から生産技術部門と設計・開発部門を集約したテクニカルセンターを設けている」と続けた。ちなみに、小型SUV『UX』は、新車の立ち上げからアッパーボディーの設計開発まで、テクニカルセンターが中心となり、宮田工場で手がけている。

最後に岩田氏が、工場見学の対象とその目的について質問。この工場は、今回の見学とは一部内容が異なるが、予約をすれば無料の一般見学も受け付けているという。LEXUSユーザーや検討中のお客様が足を運ぶことも多いのだとか。

工場に隣接するPR館は、予約なしでも見学することができる。LEXUSの匠の技をその目にしたい人は、是非、足を運んでみてはどうだろうか。

今回の工場見学に参加したメンバーは、工場を持ちモノづくりを行う新進気鋭のスタートアップ経営者。LEXUSのモノづくりへのこだわりやトヨタ生産方式を目の当たりにして、感じるところが多かったのだろう。見学後の質疑応答・意見交換会も大いに盛りあがった。

LEXUSが誕生する場所である「宮田工場」。そこには、革新的な技術と匠の技が融合し、最高品質を追求し続ける姿があった。

CRAFTED SALON TOP