CRAFTED VISION “CRAFTED”なビジネスへの展望
──未来のライフスタイルを彩る
次世代事業家たち

2019年9月4日
CRAFTED CATAPULT 2019

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LEXUSを語る上で欠かせない価値観、それが「CRAFTED」だ。

豊かな自然と歴史の中ではぐくまれた日本の美意識をベースに、言葉にせずとも求めている”曖昧なもの”を察する感性。そして、心ゆさぶる体験を生み出そうとする探究心。お客様が真に求めるものに、その人以上に思いを巡らせること──「CRAFTED」を形容しようと言葉を重ねても、そこへはたどり着けない。ただ、有形無形を問わず、LEXUSが携わるもの全てに「CRAFTED」の追求がある。その先に、真の「豊かさ」があると信じるからだ。

この価値観をさまざまな企業と共創も行なっている。2019年9月4日、ウェスティン都ホテル京都を舞台に、LEXUSがスポンサードを行ったビジネスプレゼンテーションのコンテンストが開催された。

「CRAFTED CATAPULT(クラフテッド・カタパルト)」と冠し、豊かなライフスタイルの実現に向けた事業展開を行う8社が集った。主催は、産業を共に創る経営者・経営幹部のためのコミュニティ型カンファレンスを手掛けるICCパートナーズである。

プレゼンテーションのキーワードは「CRAFTED」だ。その言葉の意味を各々で感じ取りながら、7分間の熱いアピールを行う。第一線で活躍する40名の審査員投票により、ベストプレゼンターが選出された。

まずは、CRAFTED CATAPULTのプレゼンテーションより、未来のライフスタイルを感じさせる事業を抜粋して紹介しよう。続いて、今回の優勝者である、株式会社一平ホールディングス代表取締役社長の村岡浩司氏へのインタビューを併録する。

顧客体験を考え抜くことが、
CRAFTEDの本質にある

プレゼンテーションに先駆け、レクサスインターナショナルの沖野和雄が、開会の挨拶を兼ねて壇上へ立った。

沖野は「CRAFTEDとは商品だけでなく、商品、製造現場、サービス、イベント、店舗、接客スタッフへの所作まで、ブランドを構成する全てに関わる。その先には“EXPERIENCE AMAZING”という我々が届けたい顧客体験がある」と述べた。

この顧客体験について徹底的に考え抜くことが、CRAFTEDの本質にあるという。「これからの時代を拓く、熱いアイデアを聞かせてもらいたい」と期待を語った。

一番手として登場したのはLUCY ALTER DESIGNの青栁智士氏。「デザインカンパニー」と称し、ブランド戦略や空間開発などを手掛ける彼らが取り組むのが「煎茶堂東京」だ。

日本茶が「茶道」と「ペットボトル飲料」に二極化していることへ問題を感じ、自らその淡いにある存在になるべく奮闘する。サプライチェーンのプレイヤーが多く、販路も複雑であることを前提に、青栁氏は生産者と共にシングルオリジンの茶葉作りも始めた。

日本茶は、新茶の初競りから価格が下落していく仕組みにあるため、標高の高い山上のように収穫が遅い茶畑は不利になる。しかし、不利というだけで味は一級品と変わらない。彼らは「良い産地ほど適正な価格で取引できる」世界を目指し、質を重視した日本茶をつくる。

また、その日本茶を楽しんでもらう実店舗「東京茶寮」を設けたり、オリジナルの「透明急須」を作り出したりと、“お茶の体験価値”について考えを巡らす。まさに、LEXUSが追求するCRAFTEDの価値観とも響きあうブランドだといえるだろう。

自らの強みを深め、
進化させた先に見つけた「豊かさ」

「国内自給率2.3%しかなく、繊維産業は斜陽。しかし、父親が自らの技術を語る時の笑顔を見て、状況を変えたいと考えた。そこでまずは世界最高峰のブランドを目指した」

岐阜県の繊維・樹脂メーカー「三星グループ」の五代目であり、代表取締役社長の岩田真吾氏は力強く語った。1887年、木曽川のほとりに創業した彼らは、BtoBの素材メーカーとしての生業が長かった。しかし、海外製品の台頭などを背景に、劣勢に立たされていた。

「生きるために必要なものとして、“衣食住”を思い浮かべる日本人は多い。そのうち、最も時間が長いのは服を着ている時間。だからこそ、衣服をアップデートすることで、人類の幸福につながるはずだ」と岩田氏は考えた。そこで、戦いの場所を世界へと移し、自社が培った生産技術をアピールすべく、ヨーロッパのラグジュアリーブランドへ営業をかけた。

Ermenegildo Zegnaとの取り組みをきっかけに、LVMH、KERINGなどにも採用され、三星グループは新たなスタートを切った。しかし、「生地屋のままでは、いずれ価格競争に巻き込まれる」と考え、自社オリジナルの衣服製作にも着手。生まれたのは、極細のウール糸を使ったTシャツだ。

ウールの持つ防臭性や吸湿性により、いつでも快適に着られる。技術改良を重ね、自宅で洗えるウールTシャツを作り上げた。また、環境問題で叫ばれる海洋プラスチックについても、ウールであれば自然に還るため、配慮も効く。クラウドファンディングを活用した2019年生産分は完売し、2020年販売予定の第二弾を鋭意製作中とのことだ。

岩田氏は世界に認められ、そして世界にないものを作った。自らの強みを深め、進化させていった先には、LEXUSにも通じる衣服の「豊かさ」が、さらに見つかるに違いない。

この他にも、青果物の品種を知財として保護し、海外の信頼できる農家へライセンシングした上で、ロイヤリティを得る仕組みを構築する株式会社日本農業。養豚の「シングルオリジン」を貫き、高品質の豚肉を“農協全量出荷D2C”の手法で飲食店向けに展開する株式会社みやじ豚など、CRAFTEDの精神に違わない企業が、自社の取り組みをプレゼンテーションした。

九州を「一つの島」に見立て、
地域の個性を顕在化させていく

今回のプレゼンテーションで優勝者となったのが株式会社一平ホールディングスである。代表取締役社長の村岡浩司氏が掲げるのは、「九州地方」を一つの島として見立て、その魅力を食やプロダクトを通じて届ける「KYUSHU ISLANDブランド」の構築だ。

その一例が、九州各地の素材だけを使った「九州パンケーキ」の製作。一般家庭への販売のほか、台湾やシンガポールへも進出し、直営カフェが人気を博している。現在は、九州産の雑穀だけを使い、そうめんで有名な長崎県島原で作る「セブングレインパスタ」の展開をはじめ、精力的に活動を続ける。

プレゼンテーション終了後、村岡氏にインタビューを実施。その構想やアイデアについて、より伺うことができた。

──「KYUSHU ISLANDブランド」構想は、なぜ必要になったと考えたのでしょうか。

村岡氏 僕は49歳ですが、高校卒業後には家業を継がずにアメリカへ留学したのです。向こうでも起業などを経て、28歳のときに事業で失敗して、父に助けてもらう形で帰国しました。家業の寿司職人として働くうちに、33歳ぐらいから地元商店街の地域活動にも参加するようになりました。

「地方創生」という言葉が叫ばれて久しいですが、限られたリソースをみんなで奪いながら「我が町こそが最高だ」と言い合っているだけではないかと、ふと気づきました。その間にも地元では店舗にシャッターが降りていく。それでも、私たちは、この地方で生きていかなくてはいけないという現実もある。

もし、この地に住み続け、生き続けたいのであれば、事業をもっと広域に括るように再編集することで、よりメッセージが広い範囲に届きやすいのではと考えました。それが、街や県ごとではなく、「九州という島で捉える」ことの発見に繋がっていったんです。

初めてハワイを訪れる人は、いきなり「ノースショアへ行く」とは言わないはずです。やはり、入り口はアイランド。2回目、3回目の来訪で土地ごとのファンになっていく。「ハワイ」という上位概念で括ることが大切です。なぜなら、小さな地域単位になっていくと、それぞれのメッセージが似通ってきてしまう。農業や自然は、特にその傾向があります。

大きな単位でまとめるのは、決して「個性を消す」と同義ではありません。むしろ、個性を顕在化します。ハワイでは、あらゆる商品に「Hawaian islands」という代名詞が付いているものです。しかし、“KYUSHU ISLAND”が付く商品はなかった。だから、僕らがそれを作っていっているのです。

──LEXUSとKYUSHU ISLANDブランドでは、どのような点に共感がありますか?

村岡氏 お客様は「一見面倒くさいと思えることも楽しめるということ」ですかね。高級車であるLEXUSを持つことで、洗車や掃除、車庫の保持まで、面倒なことが増えます。一方で、僕らのパンケーキミックスも多少調理の手間がかかります。2回目より3回目と、ご家庭で工夫していただけるとだんだんと美しく美味しく焼けるようになっていくのです。単なる利便性を所有するだけではなく、合理性だけでは説明できない手間を「個性と捉えて楽しんでいる」という使い手の態度は似ています。僕はこうしたちょっとしたユーザーの楽しみや喜びをまさしく「余白」だと考えます。

それから「憧れ」も共通します。「憧れゆえに所有したい」と考え、それをまた大事な人に贈ったり、共有したりしますから。

CRAFTEDの思想が行き渡っている意味では「空間設計」も共通項です。我々はカフェを開くほか、台湾ではパンケーキ教室として、生徒50名以下の小学校をめぐり、子どもたちを招いた体験会を開催しています。根底には「文化の架け橋になる」という思いがあります。

そこでは、日本で作られ、日本から持っていったパンケーキミックスと、台湾の地元にある牛乳と卵を掛け合わせ、「2つの文化が混ざり合うと、これほど素敵な時間が生まれる」と、僕らはずっと伝えています。そこで生まれる楽しいやり取り、子供たちのワクワクした表情は、本当に豊かさを感じる時間です。

時間、空間、思い出、感動。この4つのファクターは、パンケーキであっても、自動車であっても同じはずです。そして、この豊かさを保つためにも、しっかりビジネスとして成長させないといけません。

今回、CRAFTED CATAPULTで優勝させてもらって、来年にはサービスが立ち行かなくなってしまうようでは、僕の中では流儀に反するし、マナーにも反してしまう。次回の優勝者のためにも、僕らもさらに成長しないといけないと、覚悟が固まりました。そして、世界から見た時に、この九州という島が本当に豊かで、憧れに満ちた場所にしたいという思いを胸に、それを実現していきたいと思っています。

CRAFTEDとは“愛”である。
愛あるビジネスを未来へ

村岡氏は今後、「KYUSHU ISLAND」のブランドや思想性、志を共にする企業と組み、さらなるものづくりに邁進していく予定だと話した。飲食だけでなく、企業間ネットワークやワークスタイルの変革に至るまで、手掛ける領域は広い。

「九州という島の中で広域に捉え、福岡がキャピタルであることを意識していく。そして、そのキャピタルが矜持を持って流動性を設計する」という思想のもとに、アイランド計画を推し進める意欲を見せた。その表情には迷いを感じさせない。

CRAFTED CATAPULTでは審査後に、数人の審査員からコメントが寄せられた。中でも印象的だったのは、プレゼンテーションの熱気を浴びて、「自分も帰ってすぐにものづくりをしたくなった」という声だった。まさに、自らのビジネスやものづくりに向き合い、発奮させられる気持ちが会場に沸き起こったことを感じさせた。

閉幕前に、再び登壇したレクサスインターナショナルの沖野は、率直さを隠さずに言葉を添えた。

「みなさんと同じく、私も感動したひとりです。やはり、CRAFTEDは“愛”なのだと思いました。愛情あふれる商品やサービスをつくり、私たちも愛あるビジネスをしていきたい」

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