2014.10.31 - 11.1
第3回 ドライビングレッスン @ 大分オートポリス
OPENING
今回のサプライズはRC F
晩秋の涼やかな風が吹きわたる阿蘇。3回目となるLEXUS AMAZING EXPERIENCEのドライビングレッスンが大分オートポリスで行われた。全国各地から24組が参加。サーキット走行初心者から腕に覚えのあるベテランまで、そのキャリアは様々だ。中には今日のためにレーシングスーツをあつらえたホットな参加者もいた。
「今回は特別なサプライズがあります」
午前11時過ぎに始まったオープニングパーティで挨拶をしたLEXUS AMAZING EXPERIENCEのプリンシパル、木下隆之氏の突然の発表に参加者は息を飲む。
「国内では一部のジャーナリスト以外まだ誰も乗ったことがないRC Fを用意しました。堅苦しい講義より、とにかくたくさん乗ってLEXUSの世界観を体感してください」
心躍らせはじめた参加者の前に、まずは地元の食材をふんだんに使ったランチが運ばれる。
各テーブルには、LEXUS RACINGからSUPER GT500に参戦している伊藤大輔選手を始め、インストラクターを務める現役トップドライバーたちが着席。レッスンを前にお互いのコミュニケーションを円滑にし、参加者のレベルや目的など理解することが狙いだ。
「この時点ですでに想像を超える豪華な内容ですね」と耳打ちしてくれたのは、栃木から訪れた参加者だ。
限界という言葉の意味をその身で体験するドライビングレッスン。走りづくめの2日間がいよいよ幕を開ける。
AMAZING SWITCH CHALLENGE
的確なコーナリングで
スイッチをすべて踏めるか?
ランチ後、全参加者はいきなりサーキット本コースのウォーミングアップランへ。コースを覚えるための20分の走行を経て本編が始まった。
3グループに分かれてのレッスン。本コースではまずAMAZING SWITCH CHALLENGEがスタート。これは、インストラクターが運転する先導車とコース上に引いた線を頼りに、的確な減速と加速、ベストなライン取りを知るためのプログラムだ。
加えて各コーナーのクリッピングポイントには、LEXUS ISのテレビCMで登場したAMAZING SWITCHを設置。コース上8個のスイッチをすべて踏めるかというゲーム感覚あふれる演出を施した。
プログラムでは、IS350とRC Fの2台それぞれでチャレンジする機会が与えられた。「こんな体験ができるなんてジャーナリストになった気分です」と上気した顔で話す者もいれば、「RC FとISの両方で走行することで、それぞれのクルマの個性や楽しさが良くわかった」と嬉しそうに話をする者もいた。
BLIND GYMKHANA CHALLENGE
ギリギリのところで
車両をコントロール!
ピット裏のパドックで行われたBLIND GYMKHANA CHALLENGEは、段ボールが高く積み上げられた視界のきかないコースを、冷静に車両をコントロールしラップタイムを競い合うプログラムだ。
スタート地点から一気に加速すると、あっという間に段ボールの壁が目の前に迫ってくる。一瞬の操作判断の遅れが段ボールとの接触を招いてしまう。順番を待つ参加者たちは皆緊張の面持ちだ。
この最後まで全く気の抜けないコースをギリギリのところで正確なブレーキとステアリング操作でコントロールして走る難しさに、コーナーを素早く抜けたときの達成感は格別なようだ。回を重ねるごとに笑顔で降りてくる参加者が増えていく。
ジムカーナ初体験という女性は、おっかなびっくりの運転ながら計4回のチャレンジで毎回タイムを伸ばした。「確実に成長している実感を得られてすごくおもしろかったです」
「先を見ること。サーキット走行でも同じです」。これは、BLIND GYMKHANA CHALLENGEを担当したインストラクターによるタイムアップのコツだ。「でも、予想以上に皆さんが上達したので、これ以上は教えたくありません」と、本音をうかがわせる冗談で参加者の笑いを取っていた。
6 SENSE DRIVING
「これほど短時間で
腕が上がるとは…」
昼過ぎから午後3時半までサーキットとジムカーナを交互に走行。「もう十分走った」と口にする参加者たちが初日最後に挑んだのは、6 SENCE DRIVINGだ。
インストラクターが助手席に乗り込んだRC FとRC350をドライブし、AMAZING SWITCH CHALLENGEで繰り返し練習した成果を披露。インストラクターが採点するというコンテストの要素も加味した。BLIND GYMKHANA CHALLENGEの計測結果も含め上位3名を表彰するとあって、参加者も気合いを入れ直していた。
「我々の設定が甘かったことをお許しください」
これはドライビング終了後に木下氏が口にした言葉だ。6 SENCE DRIVINGには採点基準となる周回タイムが設けられていたが、いささか余裕を持ちすぎた設定だったようで、参加者の多くはそれ以上の速さで走った。「これほど短時間で皆さんの腕が上がるとは予想できませんでした」。その想定外の結果は、裏を返せば各プログラムの充実度を示した証拠とも言えるだろう。
「RC Fは運転が上手になったと錯覚するほどの性能でした。最新モデルを試せたのはもちろん、1日でこれだけたくさんのLEXUS車に乗れること自体がアメイジングですよね」。そう話してくれた参加者は、空き時間にネットでRC Fを検索し、あらかたのスペックを覚えてしまったそうだ。
RC F CCS-R
RC Fの世界観を示す
コンセプトモデルの登場で
更なるサプライズ!
初日すべてのプログラムが終了後、もうひとつのサプライズが用意されていた。木下氏によるRC F CCS-Rのデモ走行だ。CCS-Rとは、サーキット・クラブ・スポーツ・レーサーの頭文字を取った、サーキットをより安全に楽しめる仕様を施したコンセプトモデルだ。なお、今回のLEXUS AMAZING EXPERIENCEの会期中、ピット内にはRC F GT500 CONCEPTとRC F GT3 CONCEPTというスペシャルモデルの展示も行われ、市販車からレーシングマシンまで網羅したRC Fの世界観が一望できる内容となっていた。
「このラインナップは、すべて開発当初からの計画です」。そう語ったのは、CCS-Rのデモ走行に立ち合ったRC Fの開発責任者、矢口幸彦だ。各プログラムが行われている最中もピットに出向き、参加者と言葉を交していた。RC Fから降りると皆が笑顔で絶賛していたと伝えたら、「我々もニコニコしながらつくりましたから、その思いが伝わったのかもしれません」と笑顔で答えた。
すでに日が落ち、小雨が降り出す中、専属クルーが準備を整えたRC F CCS-Rに木下氏が乗り込んだ。レーシングマシン独特の一段と甲高いエキゾーストノートがピットレーンに響き渡り、参加者のカメラが放つフラッシュを浴びながら、本邦初公開のマシンが走り出した。
F EXPERIENCE
LEXUS最高峰の刺激を
存分に味わってほしい
「やはり興奮して眠れませんでした。童心に帰ったようですね」。2日目の朝、昨日の6 SENCE DRIVING上位入賞者に昨夜の様子をたずねたら、照れ笑いを浮かべながらそう話してくれた。
皆が心待ちにしていたLFA。そして最新のRC Fを交互にドライブできるF EXPERIENCE。木下氏は言う。「LEXUS最高峰の刺激を存分に味わってください」
LFAを体験した参加者がまず口にしたのは、このクルマが予感させる世界だ。「この先にレーシングカーがあるんだと実感しました。これは体験しないとわからない」「市販車とはブレーキがまるで違う!専門誌で書かれているブレーキの剛性というものが初めて理解できた」
一方、初日より速度を上げることを許されたRC Fに関しても感嘆符が飛び交った。 「けっこう頑張って走ったんですが、自分くらいのレベルでは破綻する予感がまるでない! LFAとは違ったベクトルで最高峰を感じました」「同乗してくれた飯田 章さんから『好きに乗って』と言われたので、ストレート全開にしました! 5リッターV8エンジンは本当に気持ちよかった」
F EXPERIENCEが行われている最中、ピット内では6 SENCE DRIVING時に計測したデータロガーによるドライビングクリニックが実施された。伊藤大輔選手の走行データと比較検討するという夢のような企画だ。
「良い点も悪い点もここまで正確に突き付けられると、かなりショッキングですね」と苦笑いの参加者も。
RACING TAXI
「プロが乗ると
本当の性能がわかる」
2日間に及んだプログラムの最後を飾るのは、インストラクターがドライブするRC Fに同乗するRACING TAXI。セミウェットのコンディションのなか、速度域が一気に上がることで恐怖心もあったという参加者はこんな感想を述べた。
「驚くほど平穏なんです。レーサーと言えば激しくクルマを振り回すのかと思っていたんですが、まるで一般道を流すような落ち着きぶりなんですね。その領域を間近で見ることができたのは一生に一度の経験になりました」。また別の参加者は、「自分なりにRC Fの素晴らしさを体感できたつもりでいましたが、プロが乗ると本当の性能がわかるというか、このクルマのレベルの高さを改めて実感しました」と興奮気味に語ってくれた。
2日目は朝方に雨が降り、プログラム実施中はサーキットの周囲に霧が立ち込めていた。さらに霧が深くなると予定の変更もあり得たが、参加者たちの熱い想いが通じたのか、レッスン終了まで天気がもった。そんな奇跡的な天候のなか、サーキット走行は興奮の余韻を残しつつ終了した。
CLOSING
楽しみながらスキルアップする
アメイジング
すべてのプログラムを終え、パドックビル2階のホスピタリティルームで修了式へ。木下氏から参加者一人ずつに修了証と記念品が贈呈された。
その後は前日と同様、九州の食材を生かしたスペシャルランチ。インストラクターが各テーブルに着席するスタイルも昨日と同じだが、もはや緊張感はなく、心からクルマを愛する者同士が語らうような柔らかい雰囲気に包まれていた。
「会社を休んできたのは少し心苦しいのですが、たまにはこういう刺激を得たほうが日常が豊かになりますね」。そう話したのは関西から訪れた会社経営者だ。サーキット初体験の参加者は「これほどサーキットが安全で楽しい場所だとは思っていませんでした。病みつきになりそうです」と笑顔で語ってくれた。
和やかな会場を見渡して木下氏がこう言った。「ひとまずレッスンという名称をつけていますが、このイベントは運転を楽しんでいるうちに自然とスキルアップすることが目標であり、それがアメイジングなんだと感じてもらえたらと思っています。皆さんの表情を見ていると、それが叶ったような手応えを感じますね」
- ※車両は現行モデルとは一部仕様が異なります。