LEXUS AMAZING EXPERIENCE DRIING LESSON

2014.5.28
LEXUS AMAZING EXPERIENCE DRIVING LESSON

五感を超えた世界へ

霊峰富士の麓。アスファルトにまだ熱はなく、朝の透き通った空気の中で、その始まりを待っている。まもなく、この静けさからは想像できない五感を超えた世界への旅が始まる。 LEXUS AMAZING EXPERIENCE-ドライビングレッスン。 SUPER GT 500ドライバーを含む現役レーシングドライバーたちが磨き上げたレッスンプログラムは、1日をフルに費やし、参加者をドライビングのクライマックスへ誘う。 未知の体験に心躍らせたメンバーには、雑誌『LEON』編集長の前田陽一郎氏も。レッスン後に彼はこう言った。「クルマを運転する濃密な感動がここにある」と。

DRIVING BASIC

驚きを予感するオープニングセッション

富士スピードウェイ内、富士レクサスカレッジ。全国各地から駆けつけた参加者は、この日のためにロビーに置かれた最新のSUPER GT500マシン、LEXUS RC F GT500をまぶしそうに見つめながら、大きな期待感と共にブリーフィングルームヘ。
「クルマを操る楽しさを凝縮したプログラムです」。本レッスンのプリンシパルを務める木下隆之氏が開会の挨拶をした後、LEXUS Racingに所属する石浦宏明選手、大嶋和也選手の他、優れたキャリアを持つ全9名のインストラクターが紹介された。

基本的なドライビングポジションの説明など簡潔な内容でブリーフィングは終了。その手短さに参加者はみな驚いた様子だが、座学で理論漬けになるよりも、とにかく1日めいっぱい乗ってクルマを体感してもらいたいという理念がこのプログラムにはあるのだ。
全参加者は2グループに分かれて移動を開始。レッスンの神髄を感じる時間がいよいよ始まる。

BRAKING EXPERIENCE

「ペダルを踏み切れない!」

最初にチャレンジするのはフルブレーキング体験。水がまかれた路面でスタート位置から一気に時速80㎞まで加速し、パイロンで指定されたポイントで急制動。文字にすれば簡単そうだが……。
「意外にも床までブレーキペダルを踏み切れない。普通に運転できると信じていたプライドが早くも崩れ落ちました」
続いては指定方向回避。急制動ポイントに差し掛かった瞬間、インストラクターが無線でステアリングを切る方向を指示する。街中で路上に何かが飛び出したときの対処法としても役立つプログラムだ。

「構えていても、突然"右"と言われて左に切ったりしちゃう。耳や目からの情報で咄嗟に判断するにはどうしてもタイムラグが生じるんですね。ブレーキングの深さを思い知らされました」
とまたも出鼻をくじかれ悔しい表情を浮かべる。前田氏同様に最初のプログラムで出鼻をくじかれたと感じた参加者は少なくなく、互いに何が理由なのかを身振り手振りで話し合っていた。

6 SENSE DRIVING 1st LEG

「誰だって速くなる!」

ショートサーキットに移動し、第六感と名付けられたプログラム開始。インストラクターが運転する先導車を追いかけながら、ライン取りやブレーキングポイントを体感していく。走行中はインストラクターから無線でアドバイスが送られる。
「講師同乗のレッスンは受けたことがありましたが、単独で運転しつつプロの走りについていく経験はこれが初めて。すごくわかりやすいし、どんどん楽しくなっていく。インストラクターに、"けっこう速かったですね"と言われたけれど、ここまで実地で教わったら誰だって速くなりますよ」。

ドライビングを終えた直後の前田氏は満面の笑み。他の参加者も頬が紅潮していた。サーキットでスポーツ走行を楽しんでいるという腕自慢の人も、「ひとりで悩みながら走るより、この方法で教わったほうが何十倍も早く上達します」とうれしそうに話していた。さて、第六感とは何か? これは、運転操作のすべてをデータ化し記録するデータロガーという装置による診断を意味している。つまりハイテクの感性。午後からのセッションで誰もが丸裸にされることに……。

6 SENSE DRIVING 2nd LEG

プロ仕様のデータロガー

レーシングスーツの参加者が「これは参りますね」と苦笑い。その横に座った前田氏もPCの画面をながめて一言。「ここまで丸見えになったら何も言い訳できませんね」
アクセル開度やブレーキング量、各ポイントでの速度やライン取りが記録されたデータロガーの数値を目の当たりにして、誰もが唖然とする。しかもインストラクターが試走した際の車載映像と動画比較もできるから、次の運転にも大いに参考になる。この装置、F1チームやメーカーの車両開発にも採用されているプロ仕様だ。

次は、2回目のショートサーキットレッスン。どの参加者も1回目よりライン取りが正確で、スピードも上がっている。
「ブレーキングやショートサーキットレッスン、スラロームを経験してみて、クルマの性能に身を預けて走ったほうがより安全で、しかも楽しく走れることがわかりました。スキルアップしている自覚があるんです。だから余裕が生まれる。思ったようにペダルを踏めるって、めちゃくちゃおもしろい!ずっと走っていたいですよ」

SLALOM ATTACK

心が熱くなる20秒の世界

午後にはインストラクターが参加者それぞれの特性に合わせた実践的な2つのプログラムを用意。そのひとつであるスラロームタイムアタックでは、平坦な路面にパイロンでコースを設定したいわゆるジムカーナで、スキルアップの参考に毎回タイム計測を実施する。
見た目のコースはいたってイージー。スタートから直線を経ておよそ180度の半円を走り、5本のパイロンを縫ってゴール。しかし、そこは経験豊富なインストラクター。ちょっとした意地悪を潜めていた。半円の出口をきゅっと絞った上に、スラロームのパイロンは不等間隔。的確なスピード制御やステアリング操作ができなければタイムは上がらない。

どのプログラムにも"発見"が仕込まれている。
「乗り手がすごく頑張って、タイヤをギャンギャン鳴らしても全然速く走れない。対して、ゆっくり丁寧にクルマを走らせたほうが結果がいい。回を重ねるたび、キレイに走りたいと思うようになりました。この感覚、不思議なものですね」
前田氏の走りを見た参加者がつぶやいた。「これはいいタイムが出るんじゃないかな。クルマの動きに無駄がないから」
わずか20秒のタイムアタックに誰もが童心に返ったように熱中していた。

BRAKING & EXTREME CONTROL

まるで映画のスタントシーン

もうひとつのプログラムはゲーム性とアクションに富んだものだ。まずはチキンレース。ドライ路面から3台同時にスタート。ウェット路面に進入し、指定の停止線にもっとも近く止められるのは誰かを競った。
「ビビったんじゃないかな」、「パイロン飛ばしちゃった」などと順番を待つ参加者は爆笑の連続。走行を終えた人も、停止線とクルマの位置を確認して笑顔を浮かべていた。

次は、まさにエクストリームと呼ぶにふさわしいリバースターン。これもドライ路面から発進。ただしバックで全開! ウェット路面に差し掛かったら、リアを中心に180度方向転換し、直進でゴールを駆け抜ける。インストラクターの見本はまるで映画のスタントシーンだ。最初は参加者全員が不安な表情を浮かべていたが、いざステアリングを握って走り出すと、コツをつかんで成功する者が続出となった。
「もちろん初めての経験です。こんなアクロバティックなチャレンジまでさせてくれるのかと感動しました」。そう話してくれた人は、運転前にかなり緊張した面持ちだったことを報告しておく。

LFA EXPERIENCE PART1

駆け抜けるLFA

ISとGSで富士スピードウェイのメインコースを慣熟走行した後、これぞスペシャルなプログラム、LFA EXPERIENCEが始まる。スタンバイする色とりどりの8台。すでに完売した限定500台のスーパーカーをこれだけ間近で見る機会はまたとない。ましてやそのステアリングが各自に委ねられると思えば、もはや興奮を抑えられるはずもない。ピット内に設けられたホスピタリティエリアのイスに座る者はほぼ皆無だった。

インストラクターが助手席に乗り込み、参加者がドライビングシートへ。ここでも無線を使ったレクチャーが行われる。先導するLFAニュルブルクリンクパッケージがゆっくりとピット前を離れる。それを合図に7台が動き出す。とても静かな滑り出し。そして全車が1コーナーの向こうに消えていった。
やがて静寂は破られる。はるか遠くの最終コーナーに姿を見せたLFAは、瞬く間にホームストレートを駆け上がり、高周波のエキゾーストノートとともに目の前を走り去っていった。2台、3台、4台……。それを目の当たりにした待機中の参加者全員が息を飲んだ。誰かがふとつぶやく。「あんなスピードで走るのか」と。

LFA EXPERIENCE PART2

「リミットは人間より高いところにある」

LFAの運転経験はあるが、富士スピードウェイのメインコースを走るのは初めてだという前田氏。最初にノーマル、次にニュルブルクリンクパッケージのLFAをドライブし、規定周回を終えてピットに戻ってきた。さぞや興奮しているかと思いきや、笑顔を浮かべ楽しいと言いつつも、何かに納得したような落ち着きを見せていた。
「ここに至るまで様々なプログラムを体験してきたからこそ、LFAを運転する価値がわかるというか、レッスン全体の構成の巧みさを思い知った感じです。

直接的な恐怖というものを感じなかった。インストラクターの的確なアドバイスのおかげですが、やっぱり余裕があるんですよね。それは各プログロムで自分の限界値を悟ったから。もはやLFAに任せてしまえばいい。この精密機械のリミットは人間のそれより高いところにあるのだからと、体の芯に響くように感じることができました。
ストレートではアクセルをベタ踏みしましたが、こんなもんじゃないぞって言われている気がしましたね」

LFA RACING TAXI

「レーシングドライバーは異次元の人」

最後のプログラムは、インストラクターである現役レーシングドライバーがドライブするLFAに同乗する、その名もレーシングタクシー。発進からすでにアグレッシブなプロの演出が始まっていて、ホームストレートでは内側のウォールギリギリのラインを走り抜ける。
「何が違うんでしょうねぇ」と前田氏。今度は言葉を失った呆れ顔で助手席を降りてきた。

「佐藤久美さんという女性インストラクターの横に乗ったんですが、なぜレースを始めたのかと気軽にたずねたら、一度やってみたら病みつきになった。それからこうしてああしてと、LFAを操りながらずっとおしゃべりしてくれるんです。もう異次元の人ですね。普段は接する機会のないレーシングドライバーの実力を特等席で見させてもらいました。とにかくこの体験は贅沢です!」。走行直後、参加者全員がLFAから降りるなりインストラクターに話しかけていた。その熱心な様子が、この体験の強烈なインパクトを物語っていた。
最後の走行が終わったのは午後5時半。富士山はシルエットとなり、オレンジ色の柔らかい日差しが1日中走り回った参加者たちを包んでいた。

AFTER LESSON PARTY

新鮮な驚きを感じたアメイジングな1日

すべてのプログラムを消化し、午後6時から参加者とインストラクターが懇親を深めるパーティがスタート。宙でステアリングをさばく姿が各テーブルで見られた。そんな中、前田氏はプリンシパルの木下隆之氏と1日を振り返った。
参加者を楽しませようとする最大限の配慮を感じること。性別や年齢に関係なく各自がそれぞれのスキル向上を目標にできること。何より説明より先に運転させてくれること。
前田氏がレッスンの感想をそう述べると、木下氏はこう返した。「運転の楽しみはステアリングを握って体感することですから。まずは乗って、感じて、その後で説明したほうがむしろ自然でわかりやすいと思うんです」

「レッスンを通じて、自分の限界を知り、クルマに身を委ねることで、もっと楽しく乗れることを一連の流れで学習できた。それが何よりもアメイジングな体験でした。本当に新鮮な驚きだったと言えるかもしれない」
心地よい疲労を感じていると言った前田氏は、木下氏と何度目かの乾杯をかわした。その音色は蒼空の下で軽やかに響いた。

  • 車両は現行モデルとは一部仕様が異なります。