
前回、シフトダウンで音が生きるポイントをつくったという話をしましたが、ブレーキングしながらシフトダウンをしたとき、ヒール&トゥーがうまく決まったシフトダウンをしているように、エンジンを自動でブリッピングさせています。
シフトダウン操作を速くするだけではなく、サウンドによってシフトダウンの操作を楽しいものにしているんですよ。
試乗のときには、そうした「音」を意識してもらうと、より楽しめると思います。

クルマを操作する上での“レスポンス”というと、エンジンの回転数がスムーズに上がっていく、というイメージを持つ方が多いですよね。
アクセルを踏んだ瞬間にエンジンの回転数が上がるだけではなく、タイヤがクッと反応するまでが“レスポンス”だと私は思います。
エンジンは当然のこと、ミッションもダイレクトにつなげる必要がありました。
Vol.02でもお話したように、ATのロックアップクラッチを使うことで、MTのようなダイレクト感を、ATをベースにして出せないかと考えていました。
スタート時は、ATならではの電子制御でミスなくクルマの力を最大限に引き出して走り出せる。スタートした後はロックアップすることによってトルクコンバーターのスリップによるロスを無くことのできる、新しいトランスミッションを作ろうと考えました。
あとは、その制御をどう開発していくかという課題が残りました。
ミッションだけを考えていてもダメなので、ミッション担当がエンジン担当と一緒に試作車でテスト走行を繰り返しながら、一つのチームとして開発を進めていきました。
そうして、世界最速レベルの0.1秒*の変速を可能にし、走る楽しさを体感できるギアボックスが生まれたんです。
どれほど心を振るわせる音が鳴っていても、音だけではクルマとの一体感は得られません。
コンピュータゲームと同じになってしまいますからね。
IS Fは、速く走るためではなく、走りを楽しむためのクルマですから、変速スピードの向上だけでなく、「操作している」ことが体感できるシフト感も必要であると私は考えました。
ゆったりと街中を走る時には滑らかなシフト制御、サーキット走行などスポーティーな走りを楽しむ時にはリズムを取れるような変速ショックを感じさせたい。
そのため、開発の段階で、トルクセンサーを搭載し「気持ちよい変速ショック」を実現するための評価テストを実施して感性を数値化する作業を重ねました。

Dポジションはあくまでもスムーズに、Mポジションでは「操作している」ダイレクト感が得られるような、2つの顔を持ったトランスミッションが完成しました。
ほかにも、「レスポンス」を高めるために、サージタンクを大幅に小さくして砂型でないと成型できないような構造で吸気の流れの効率を高めるなど、細かいところまでこだわっています。
また、リニアな操舵フィールが味わえるように、ステアリングホイールやシフトノブにも、指先の掛かりやグリップ感を向上させる加工をしています。どんな加工だと思いますか?
試乗したときには、手触りなども含め、ぜひ確かめてみてくださいね。
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- 0.1秒の変速時間は、最速の場合です。

