
前回お話ししたIS Fのシート形状ですが、従来のような腰部分のサポートではなく、脇を支えるような形になっています。 バケット形状は肩の部分が窮屈になってしまうため、腰ではなく脇をサポートすることでバランスを調整しています。
脇を支えるのは、新しいスポーツシートの形状になるでしょうね。
シートは、内装のデザインについても、細部まで私のこだわりがあります。
ドアを開けた時にしか見えないシートのサイド部分には、「F」エンブレムを刺繍しているんですよ。
試乗の時にはぜひ確かめてほしいですね。

私は、スポーツカーは多少フロントノーズが長い方がかっこいいと思っているんです。
サーキットでも走れるように、エンジン・ブレーキ冷却のために大きなパーツをフロント部分に入れなければなりませんし、空力的にもその方が有利なので、フロントをベースになったISより75mm伸ばしました。
IS Fは、サーキットも走ることを前提とした時速300km/hの超高速走域におよぶクルマですから、空力特性に関しては細かいところまで練っていますね。
機能と見た目のぶつかり合いの中で、生まれてきたデザインなんです。
空力に関しては、効果的なダウンフォースを得るために、部位ごとに必要なダウンフォース量を算出して、細部にわたる風洞試験とシミュレーション解析を行ってボディのデザインを開発していきました。
アンダーカバーもボディの一番後ろにつくカバーは専用のディフューザー形状にしたり、リヤバンパー下に小さな整流板がついていたりと、各部が高速走行をにらんだ専用設計です。
他にも、エンジンアンダーカバーの素材や、バンパー一体型のフロントスポイラー、リヤスポイラーなど、IS F独自のパーツも多く取り入れています。
空力特性だけにとらわれるのではなく、あくまでデザインの中に意匠として工夫されたところも生かされるようにしています。
IS Fのサイド部分を見てください。
ロッカーモールがセンターからリヤまで全部一体式なっているんですが、これはデザイナーがこだわったデザイン意匠を実現するために、生産技術・製造部門の人間も含めプロジェクトメンバーが頑張って創り上げたものです。
生産効率を考えると普通ではあんな大きな一体式ロッカーモールは作りません。

フェンダーの所、ロッカーの所と切ってしまうところを一体式にしたのは、流れるようなフェンダーからロッカーモールの意匠を実現するためです。
特にドアの下のひねりのラインがきれいに出ているのは、一体でできているからこそですね。
そうしてデザイナーやプロジェクトメンバーから意見をぶつけてもらって、みんなの理想が形になっていく過程が、私はとても面白いと思うんです。
メンバーのこだわりは、フロントグリルの部分にも表れています。
IS F独自のメッシュ形状にしていますが、ここには、ある文字がさりげなく潜んでいるんです。
ぜひ実車に近づいてチェックしてくださいね。

