VISIONARY

CRAFTSMANSHIP

高齢者の知見を社会に還元
老人ホームでのクラフトイベント

2017.09.04 MON
高齢者の知見を社会に還元  老人ホームでのクラフトイベント

「グランドフェスト」は、老人ホームを会場に、高齢者がさまざまな伝統技術を若い世代に伝えるクラフトイベントだ。孤独な高齢者の心のニーズを満たすこのイベントは、ヒュッゲな生活を望む若者たちから人気を集めはじめている。
(読了時間:約2分)

© Philip Hartley / Stylus

SHARE

こちらの記事は音声でもお楽しみいただけます。

COLLABORATED WITH

ろくろ細工から編み物、機織り、そしてジャム作りまで、さまざまなワークショップを開催

イギリスを拠点とする、リタイアした高齢者向け住宅のデベロッパー、マッカーシー&ストーンと、高齢者ケアを行う慈善組織、ロイヤル・ボランタリー・サービスが共同で、高齢者がさまざまな伝統技術を若い世代に伝えるイベントを立ち上げた。

「グランドフェスト」と名付けられたこのイベントは、イギリス各地にあるマッカーシー&ストーンが開発した老人ホームを会場に、2017年6月と7月に開催。高齢者の技術力や知見を讃え、彼らと若い世代との交流を図ることを目的としている。

グランドフェストでは、ろくろ細工から編み物、機織り、そしてジャム作りまで、さまざまな「クラフト」に精通した年配の熟練職人たち(ここでは「グランド・メーカーズ」と呼ばれている)がワークショップを開催。参加者たちは、そこで各々の趣味のスキルを磨くことができるというわけだ。

マッカーシー&ストーンのブランドコミュニケーション責任者であるジェフ・ベイツは、以下のように語る。

「高齢者たちの世代は、非常に豊かな才能と知識を有しています。私たちは、彼ら高齢者たちの知見をシェアできるような場を作りたいと考えました。年齢や技術力の制限はありません。どんな人でも参加できます。地域コミュニティの人々がここを訪れ、さまざまなクラスに参加することで、新しい技術を身につけたりブラッシュアップしたりできる素晴らしい機会となることを願っています」

高齢者たちの「心のニーズ」を満たし、彼らの能力を生かすような機会がさらに求められている

デンマーク語で、心安らぐ時間や空間を意味する「ヒュッゲ」という言葉がある。家族や友人と暖炉を囲みながらゆったりとした時間を過ごすことで、長く厳しい冬を楽しもうとする彼らのライフスタイルを象徴するものだが、現在、欧米では、「ヒュッゲな生活」、つまり、趣味のものづくりなどをゆっくり楽しむ居心地のいい生活を渇望する、新時代の引きこもりが増加傾向にあると言われている。このイベントは、彼らのような穏やかな暮らしや家族の伝統を大切にしたいと考えている若者たちを、すでに虜にしているようだ。

一方で、このイベントは、孤独な高齢者たちの存在を浮き彫りにもしている。イギリスでは、75歳以上の高齢者の49%は一人暮らしをしており、65歳以上の12%が家族とまったく会っていないという統計もある(Age UK、2017年)。グランドフェストのような高齢者たちの「心のニーズ」を満たし、彼らの能力を生かすような機会が、今後さらに求められていると言えるだろう。

SHARE

FOLLOW US

POPULAR

RECOMMENDED