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鮮烈なデビューウィンからLC500が駆け抜けた激戦のシーズン

鮮烈なデビュー。ニューマシン、LC500が開幕戦の上位6台を独占

2017年のSUPER GTはGT500クラスの車両規則の変更にともないLEXUS、NISSAN、HONDAの3メーカーは新型モデルを投入した。それだけに、どのメーカーが主導権を握るのか注目を集めるなか、4月8日〜9日に岡山国際サーキットで行われた第1戦「OKAYAMA GT 300km RACE」でレースを支配したのは、6台のニューマシン、LC500を投入したLEXUSだった。

赤旗の影響で多くのマシンがタイムアタックをできずに予選のQ2を終えていたことから、LEXUS勢のポールポジション獲得はお預けとなったが、決勝では6台のLC500が1位から6位を独占。そして、LEXUS同士よるトップ争いを制して先頭でチェッカーを受けたのが、KeePer TOM’S LC500で、平川亮選手とニック・キャシディ選手が記念すべきLC500での初優勝を飾った。

もともと平川選手は岡山国際サーキットを得意とするドライバーで、SUPER GTのデビューイヤーとなった2015年には当時の参戦マシン、RC Fを武器に開幕戦の岡山で予選1位を獲得し、決勝でもアンドレア・カルダレッリ選手と共にポール・トゥ・ウインを達成。さらに2016年も開幕戦の岡山ではコースレコードを塗り替え、2年連続でポールポジションを獲得している。

それだけに、2017年の開幕戦もKeePer TOM’S LC500の躍進は多くの人が予想していたに違いない。しかし、SUPER GTはドライバーのほか、チームワークや戦略が勝敗を決するシリーズであることから、この段階でKeePer TOM’S LC500がタイトル争いの鍵を握ることを予想していた人は少なかったのではないだろうか。

しかし、「オフシーズン中にチームが素晴らしい仕事をしてくれたことは新車テストの段階から分かっていたし、自分も昨年の経験で成長しているので自信もあった」とは、開幕戦の優勝記者会見でキャシディ選手が語った言葉だが、この段階からKeePer TOM’S LC500の両ドライバーにはタイトル獲得へ向けて確かな手応えがあったに違いない。

「1年間を通してチームがミスをしなかったし、ニックもいい仕事をした。完璧なシーズンだった」とシーズン終了後に振り返った平川選手だが、その言葉どおり、KeePer TOM’S LC500は厳しい条件のなかでも常にベストな戦いを披露しながら2017年の激戦を駆け抜けた。

LEXUS勢が前半戦で猛威を発揮。LC500が破竹の開幕4連勝を達成

開幕戦の岡山ラウンド以降もLEXUS勢の快進撃は続く。5月3日〜4日、LEXUSのホームコースとなる富士スピードウェイを舞台に行われた第2戦「FUJI GT 500km RACE」で主役を演じたのはZENT CERUMO LC500であった。立川祐路選手と石浦宏明選手がポール・トゥ・ウインでLC500の2連勝を達成する。

さらに、5月20日〜21日にオートポリスで開催された第3戦「SUPER GT IN KYUSHU 300km」でもLEXUS勢は猛威を発揮する。開幕2戦の上位入賞でLEXUS勢各車にウェイトハンディが搭載されたことにより、予選では苦戦を強いられるものの、決勝では予選で3位に付けていたヘイキ・コバライネン選手、平手晃平選手のDENSO KOBELCO SARD LC500と予選7位からジャンプアップした中嶋一貴選手、ジェームス・ロシター選手のau TOM’S LC500が激しいトップ争いを展開した。

この一騎打ちはDENSO KOBELCO SARD LC500とau TOM’S LC500が接触、DENSO KOBELCO SARD LC500がコースアウト……というまさかの結末を迎えるが、au TOM’S LC500がシーズン初優勝を果たし、LC500が開幕3連勝を成し遂げる。

その勢いそのままに7月22日〜23日、スポーツランドSUGOを舞台に開催された第4戦「SUGO GT 300km RACE」でも、予選で7位と出遅れていたDENSO KOBELCO SARD LC500が前戦の口惜しさを晴らすように決勝で躍進する。雨上がりのなかで行われた決勝は3度にわたってセーフティカーが導入されるサバイバルレースとなるなか、DENSO KOBELCO SARD LC500がシーズン初優勝。LC500が破竹の4連勝を達成した。

LEXUS勢は中盤戦で失速。第7戦でKeePer TOM’S LC500が2勝目を獲得

誰もがシーズン後半のレクサス勢同士のタイトル争いのシナリオを思い描くであろう、まさに圧倒的な強さで前半戦を支配したLEXUS勢だったが、後半戦を迎えるとウェイトハンディをはじめとする性能調整システム、そして、著しい進化を見せはじめたライバル勢を前にLEXUS勢は苦戦を強いられていく。

真夏の8月5日〜6日、富士スピードウェイで行われた第5戦「FUJI GT300km RACE」。第2戦の富士スピードウェイでの圧勝劇とは異なり、ウェイトハンディに苦しんだ末に獲得した予選6位のZENT CERUMO LC500が3位で表彰台を獲得するものの、LC500の連勝記録がついに途絶える。

さらに8月26日〜27日、鈴鹿サーキットで開催されたシーズン最長距離のレースとなる第6戦「INTERNATIONAL SUZUKA 1000km」においても関口雄飛選手、国本雄資選手のレギュラーコンビにくわえて、サードドライバーとして小林可夢偉選手を起用したWedsSport ADVAN LC500が予選で2位につけるものの、決勝では4位に後退したことで、ついにLEXUS勢は表彰台を逃すこととなる。

LC500が開幕4連勝を達成したとはいえ、LEXUS勢のなかで各チームが勝利を分け合ったほか、ウェイトハンディなどによる中盤戦での失速をしたことが影響し、とうとうポイント争いでは第6戦の終了時点でMOTUL AUTECH GT-Rの松田次生選手、ロニー・クインタレッリ選手にランキング首位を譲り渡すことになった。

しかし、KeePer TOM’S LC500の平川選手、キャシディ選手が首位と9ポイント差のランキング2位、WAKO’S 4CR LC500大嶋和也選手とカルダレッリ選手が同ポイントで3位に後退したものの、10月7日〜8日、タイ・ブリーラムのチャン・インターナショナル・サーキットを舞台に開催された唯一の海外戦である第7戦「Chang SUPER GT RACE」でLEXUS勢が再びタイトル争いの主導権を取り戻す。主役を演じたのはKeePer TOM’S LC500だった。

陽炎の揺れる灼熱のタイで再びLC500は速さを取り戻し、KeePer TOM’S LC500が予選1位を獲得。さらに決勝でも磐石のレース運びで終始レースを支配し、ポール・トゥ・ウインでKeePer TOM’S LC500が今季2勝目をマークした。

この結果、KeePer TOM’S LC500がポイント争いでランキング首位に浮上。WAKO’S 4CR LC500が6ポイント差のランキング2位、8ポイント差のランキング3位にMOTUL AUTECH GT-Rがつけるなか、2017年のSUPER GTは最終決戦の時を迎える。

抜群の安定感を武器にKeePer TOM’S LC500がタイトルを獲得

11月11日〜12日、ツインリンクもてぎを舞台に争われた第8戦「MOTEGI GT GRAND FINAL」で予選を制したのはランキング3位のMOTUL AUTECH GT-Rだった。一方、ランキング首位のKeePer TOM’S LC500は3位で予選を終えていたが、2位以上でチェッカーを受ければ無条件でタイトルを獲得できるだけに、KeePer TOM’S LC500の両ドライバーは落ち着いていた。

「23号車(MOTUL AUTECH GT-R)が優勝しても2位に入ればいい。ベストなレースを尽くすだけ」と語るのは平川選手だが、その言葉どおりに序盤で2位に浮上したKeePer TOM’S LC500はポジションを守り抜き、平川選手とキャシディ選手がドライバーズ部門でチャンピオンに輝き、LEXUS TEAM KeePer TOM’Sがチームタイトルを獲得した。

こうして2017年のSUPER GTでは、23歳の若きコンビが最高峰クラスを制したが、KeePer TOM’S LC500の躍進として開幕の岡山、第7戦のタイでの優勝がクローズアップされがちだが、「取りこぼしの多かった2016年に対して2017年は全てのレースでポイントを獲得できた」とLEXUS TEAM KeePer TOM’Sの関谷正徳監督が語るように、KeePer TOM’S LC500はLEXUS勢のなかで唯一、全8戦で入賞を果たした。つまり、スリリングなレースのなかで、若手コンビとチームが常にゴールへのタスキをつなぎ続けたことがKeePer TOM’S LC500をタイトルへ導いたと言える。

この安定感を生み出した最大の要素が若き両ドライバーの成長にほかならない。参戦3年目を迎えた平川選手は常に冷静な走りでベストリザルトを追い求め、参戦2年目のキャシディ選手も大胆なスピードを見せながらも、バックマーカーの処理など繊細なテクニックでレーシングアクシデントのリスクを軽減していた。

また、この若手コンビを信頼してミスのないレースオペレーションを行ってきたLEXUS TEAM KeePer TOM’Sのチーム力もKeePer TOM’S LC500の躍進を支えた原動力と言っていい。若きドライバーのコンビネーションに不安はないのか、開幕戦の岡山で尋ねたところ、「まったく心配はしていない。ふたりとも速いので何もなければ十分にタイトルを獲得できる」と同チームの関谷監督は力強く語っていた。

「開幕当初は同じチームの36号車(au TOM’S LC500)と同じところからセッティングを始めたのだけれど、ラウンドが進むにつれて、ふたりのリクエストに合わせて独自のセッティングを行っていった」と語るのはLEXUS TEAM KeePer TOM’Sのチーフエンジニア小枝正樹氏だが、完璧なピットワークを含めて同チームの万全なバックアップがあったからこそ、最大のウェイトハンディを抱えた第6戦の鈴鹿でも6位に入賞できたに違いない。まさに天性のスプリント能力を持つ若き逸材の成長と、その若手コンビを信じて完璧な仕事をこなしてきたLEXUS TEAM KeePer TOM’Sのチームワークの勝利であった。

一方、LEXUS TEAM KeePer TOM’Sとは対照的にLEXUS勢のなかで最も悔しいシーズンとなったのが、LEXUS TEAM LEMANS WAKO’Sだった。未勝利ながら4回にわたって表彰台を獲得するなどWAKO’S 4CR LC500も引けを取らない安定感を見せており、ランキング2位でタイトル争いを展開していた。最終戦のもてぎでも予選ではLEXUS勢の最上位となる2位につけていたのだが、スタート直前にポールポジョンのMOTUL AUTECH GT-Rと接触したことでトップ争いと同時にタイトル争いから脱落し13位で最終戦を終える。

その結果、WAKO’S 4CR LC500はランキング3位で2017年を終えた。2016年と同様にLEXUS勢としてはセカンドベストのリザルトを獲得した。

2016年にチーム監督に就任し、スタッフの意識改革を含めて陣頭指揮にあたってきた脇阪寿一氏はレース直後のコメントで「優勝できるところで、勝てなかったことが大きい。メカニックを含めてチームは成長しているけれど何かが足りなかった」と唇を噛む。とはいえ、同じLC500を使用してもなお、優勝およびタイトル獲得へ一歩届かなかったその悔しさが、LEXUS TEAM LEMANS WAKO’Sを強くするに違いない。

進化したRC F GT3を若い二人のドライバーが世界の頂きに挑んだ

GT300クラスも躍進! JMS P.MU LMcorsa RC F GT3が第2戦の富士を制し、LEXUS勢が2クラス制覇を達成

国内外のスーパーカーが一堂に会するGT300クラスにも、今年LEXUSはニューマシンを投入した。2017年の開幕戦に合わせて新開発のRC F GT3をラインナップ。これにともないLMcorsaも60号車のSYNTIUM LMcorsa RC F GT3を新型モデルにスイッチし、これまで他車種で活動してきた51号車もJMS P.MU LMcorsa RC F GT3へと主力モデルを変更し、LMcorsaは2台のRC F GT3で2017年のSUPER GTにフル参戦をした。

この新型RC F GT3もテスト段階から抜群のパフォーマンスを発揮。シーズンを迎えてからも上位で素晴らしい走りを見せており、ここまでの2年の実践投入の経験を活かし、ライバルたちにも引けを取らないマシンへと大幅にアップデートしたことを証明してきたが、5月に行われた第2戦の富士ラウンドでさらなる可能性を見せつけた。

主役を演じたのは51号車のJMS P.MU LMcorsa RC F GT3だった。前述のとおり、2017年より初めてRC F GT3を投入し、ドライバーもF3を経て2015年よりGT300クラスを戦ってきた26歳の中山雄一選手、同じくF3を経て2017年よりSUPER GTへの参戦を開始した22歳のルーキー、坪井翔選手を起用。さらにドライバーとし豊富な実績を持つ影山正彦氏が監督に就任するなど、チームとしては産声をあげたばかりの新体制ではあったが、そのJMS P.MU LMcorsa RC F GT3がLEXUSのホームコースで目覚ましい飛躍を見せた。

予選4位のJMS P.MU LMcorsa RC F GT3は、500kmの決勝でも安定した走りを披露。中山選手が第1スティントで3位へ浮上すると、第2スティントを担当した坪井選手が上位2台のピットインの合間に首位へ躍り出る。JMS P.MU LMcorsa RC F GT3は終盤で2度目のピットインを行うものの、短時間のピット作業でトップを譲ることなくコースへ復帰しチェッカーフラッグを受けた。こうして参戦から3年目にしてRC F GT3がSUPER GTで初優勝を飾った。この日はGT500クラスを制したZENT CERUMO LC500とともにLEXUS勢がホームコースで2クラス制覇を達成した記念すべき日となった。

JMS P.MU LMcorsa RC F GT3がシーズン2勝目をマーク!

このように参戦2戦目にして新型RC F GT3で初優勝を獲得したJMS P.MU LMcorsa RC F GT3だったが、シーズン中盤に入ると高いマシンのポテンシャルを持ちながらも、ウェイトハンディを始めとする性能調整システムに苦戦を強いられ、足踏み状態が続いていく。

しかし、ウェイトハンディが半分に軽減されたことで、再びRC F GT3が本来の速さを取り戻す。第7戦のタイでJMS P.MU LMcorsa RC F GT3が若い二人のドライバーの手によってふたたび脚光を浴びる。

予選で2位につけたJMS P.MU LMcorsa RC F GT3は、雨上がりの決勝をウエットタイヤでスタート。照りつける太陽の影響により、急速に路面コンディションがドライへと転じたことから、ここでも影山監督は巧みなレースオペレーションを行う。ウエットタイヤで我慢の走りを続けてきた中山選手をドライバー交代が行えるミニマム周回数で早々にピットインさせて、給油を行ったほか、タイヤをウエットからドライ用のスリックタイヤに交換してルーキーの坪井選手を送り出した。

「見えない敵との戦いで、タイヤを労わりながらプッシュしなければならなかったので大変だった」と語るのは坪井選手だが、坪井選手は期待に応えて40周近くの長いスティントを安定した速さで走破。その結果、全車がピットインを終えたタイミングでJMS P.MU LMcorsa RC F GT3はトップへ浮上し、そのままシーズン2勝目を飾った。

これでポイント争いでも首位と9ポイント差でランキング2位に浮上したが、最終戦のもてぎでは健闘するもトップグループについていくことができず6位入賞に終わった。この結果、JMS P.MU LMcorsa RC F GT3は年間ランキング3位で2017年のチャレンジを終えているが、RC F GT3にとってシーズン2勝をマークし大幅な飛躍を遂げた一年となった。

「最初はディーラーチームということもあって苦労すると思っていたけれど、スタッフのモチベーションが高かった。チームワークに関してはナンバー1だと思う。それにRC F GT3も信頼性が高くて、しっかりと走ってくれたし、ドライバーも良くやった。(中山)雄一も坪井も教え子なので彼らの速さは知っていたけど、雄一が引っ張ってくれたし、初参戦の坪井もすぐにGTレースに対応していた。タイトルを獲得できなかったけれど、2つも勝てたのは予想以上の結果だと思う」。最終戦を終えたもてぎで、JMS P.MU LMcorsa RC F GT3の初陣を指揮した影山監督はこのように語りながら笑顔を見せた。

一方、著しい躍進を見せていた51号車のJMS P.MU LMcorsa RC F GT3に対して、悔しいシーズンとなったのが60号車のSYNTIUM LMcorsa RC F GT3だ。ドライバーは2015年よりRC F GT3のステアリングを握ってきた飯田章選手、吉本大樹選手で、同じくチーフエンジニアとしてRC F GT3のセットアップを行ってきた小藤純一氏が監督を兼務するなど、RC F GT3を知り尽くしたスペシャリストで構成されていたが、シーズンを通して苦戦を強いられていた。

「2017年の新型モデルはコーナリング性能やエンジン、信頼性も向上している」と小藤監督も手応えを掴んでいただけに、SYNTIUM LMcorsa RC F GT3の活躍が期待されていたのだが、2017年のベストリザルトは第6戦の鈴鹿で予選6位から追い上げての4位に終わった。

「表彰台に上がるチャンスは何度かあったけど、判断ミスやピットワークのミスで逃してしまった。RC F GT3は良くなっているけれど、もうちょっとのところが足りなかった」と悔しそうに語るSYNTIUM LMcorsa RC F GT3の小藤監督。それでも第7戦のタイ・ブリーラムで予選21位から6位入賞を果たすなど、決勝で見せた追走劇は、国内外のレースファンの記憶に残ることだろう。

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