2017 SUPER GT ROUND 8 ROUND 8 MOTEGI GT GRAND FINAL SAT 11 - SUN 12 NOV 2017 TWIN RING MOTEGI, TOCHIGI

FINAL GT500

第8戦「MOTEGI GT GRAND FINAL」
11th - 12th NOV, 2017

WAKO’S 4CR LC500が予選2位、KeePer TOM’S LC500が同3位を獲得

2017年のSUPERT GT第8戦「 MOTEGI GT GRAND FINAL」が11月11日〜12日、栃木県のツインリンクもてぎを舞台に開催された。第7戦のタイ大会より5週間のインターバルを経て最終ラウンドを迎えた。

今大会において最も注目を集めたのが、計5台のドライバーによるタイトル争いだった。第7戦を終えてランキング首位に付けているのが、今シーズン2勝をマークして69ポイントを獲得しているLEXUS TEAM KeePer TOM’S平川亮選手ニック・キャシディ選手で、シーズン未勝利ながら4度のポディウムフィニッシュで63ポイントを積み重ねたLEXUS TEAM LEMANS WAKO’S大嶋和也選手とアンドレア・ガルダレッリ選手がランキング2位で逆転王者を狙う。

以下、NISMOの松田次生選手とロニー・クインタレッリ選手が61ポイントのランキング3位、第3戦のオートポリスを制したLEXUS TEAM au TOM’Sジェームス・ロシター選手が53ポイントのランキング4位で追従。さらに第2戦の富士を制し、トップから18ポイント差の51ポイントでランキング5位に付けていたLEXUS TEAM ZENT CERUMO立川祐路選手、石浦宏明選手もタイトル獲得の可能性を残していた。

最終決戦の舞台、ツインリンクもてぎは長短5箇所のストレートを中低速コーナーで組み合わせたテクニカルコースで、LEXUS TEAM LEMANS WAKO’Sのチーフエンジニア、山田健二氏は「典型的なストップ・アンド・ゴーのサーキット。トラクション性能とブレーキングのスタビリティがセットアップのポイントとなる」と分析。さらにLEXUS TEAM au TOM’Sのチーフエンジニア、東條力氏は「SUPER GTの開催コースのなかで、最もシフトワークの回数が多いサーキット」とその特徴を語る。

実際、ツインリンクもてぎのロードコースは4.801kmと平均的な全長を持ちながらも、1周あたりのシフト回数はアップとダウンを含めて計28回を数える。SUPER GT用のLC500はレース用に作られた6速のシーケンシャルギアボックスが採用されており、市販モデルと同様に右側でシフトアップ、左側でシフトダウンとシフトチェンジはステアリングに付帯する左右のパドルで行なうが、そのフィーリングは市販モデルと大きく異なるようだ。KeePer TOM’S LC500のステアリングを握る平川選手によれば「GTカーのシフトはとてもダイレクトなフィーリングで、アップ、ダウンともに瞬時に変速する。シフト時のショックもほとんどない」とのこと。とはいえ、前述のとおり、もてぎはシフトワークの回数が多いことから、「シフトチェンジは0.007秒とか、わずかな時間だけど、少しでもタイミングを誤るとタイムに直結するし、シフト回数が多いとミスするリスクも多いので丁寧に行っている」と語る。

その言葉を実践するKeePer TOM’S LC500は10日(土)の午前中、曇天から好天に転じた公式練習でトップタイムをマーク。「タイヤもクルマも感触が良かった。タイトル争いに関しては、とくに気負いはない」と平川選手、「チャンピオンがかかっているけれど、やるべきことはいつものレースと変わらない。クルマのフィーリングは良いのでミスをしないように走るだけ」とチームメイトのキャシディ選手が語るように、タイトル獲得に向けて順調なスタートを切っていたのだが、3時間後に行われた予選でLEXUS勢は思いもよらぬ苦戦を強いられることとなる。ZENT CERUMO LC500、DENSO KOBELCO SARD LC500がそれぞれ9位、11位、WedsSport ADVAN LC500が15位と3台のLC500がQ1で敗退。さらにQ1で3位につけていたau TOM’S LC500もQ2ではタイムが伸びず結果7位に沈む。

そして、注目のタイトル争いをリードするKeePer TOM’S LC500もキャシディ選手のアタックでQ1は5位で通過したものの、Q2では驚異的なコースレコードタイムによるポールポジションを獲得したMOTUL AUTECH GT-RとWAKO’S 4CR LC500の後塵を拝し、3位にとどまる。「午前中の公式練習とは風が逆向きで、ブレーキングのタイミングが少し早すぎた」と予選終了後にQ2でアタックを担当した平川選手は口惜しさをにじませた。

LEXUS勢の最上位はランキング2位につけたWAKO’S 4CR LC500。脇阪寿一監督は「Q2を走る大嶋に合わせこんでいたので、アンドレアには厳しい条件だったけど、しっかりQ1を突破してくれたし、大嶋もベストな仕事をしてくれた。ポールポジションを獲得して1ポイントが欲しかったけれど、いつも負けていた37号車(KeePer TOM’S LC500)を上回れたことは良かった」と語った。

KeePer TOM’S LC500が2位入賞で悲願のシリーズタイトルを獲得!

12日(日)、決勝日を迎えたツインリンクもてぎは朝から快晴に恵まれた。パレードラップを経てフォーメーションラップへ突入。距離にして250km、周回数にして53ラップとシリーズ最短のショートレースのスタートに向けて、各マシンは隊列を組みながら、戦いの火蓋へのカウントダウンを刻んでいたのだが、ローリングスタート直前の最終のヴィクトリーコーナーで予想外のハプニングが発生する。

「まったくスペースがなかったので避けようがなかった。スタート前にレースが終わってしまった」とスタートを担当したカルダレッリ選手が後に語ったように、予選2位につけていたWAKO’S 4CR LC500が、ブレーキングでスタートのタイミングを計っていたポールポジションのMOTUL AUTECH GT-Rと接触。この衝撃でフロント右側の空力パーツを破損することとなった。

この影響により、WAKO’S 4CR LC500はスタート直後からペースが上がらず、4周目にはキャシディ選手がステアリングを握るKeePer TOM’S LC500にかわされて3位に後退。5周目には予選7位から猛追を見せていたau TOM’S LC500のロシター選手にもパスされ4位にポジションダウン。さらにWAKO’S 4CR LC500は6周目に後続のマシンに追突されてスピン。なんとかレースへ復帰するものの、序盤でトップ争いならびにタイトル争いからは完全に脱落することとなった。

その後も、逆転でタイトルへの一縷の望みにかける3位のau TOM’S LC500のロシター選手がバックマーカーであるGT300車両と接触。修理を余儀なくされたマシンはガレージに収まることとなる。こうした波乱の序盤戦となるものの、2位以内の入賞でタイトルを獲得できるKeePer TOM’S LC500はキャシディ選手が冷静な走りで2位をキープする。21周目に上位陣でいち早くピットインを行うと、メカニックたちもミスのない作業を行い、短時間でマシンを送り出す。そして、マシンを引き継いだ平川選手もコンスタントな走りで周回を重ねていった。

35周目、ほぼ全ての車両がピット作業を終えたタイミングでも大きな順位変動はなくKeePer TOM’S LC500は2位をキープする。白地にブルーのラインが描かれたLC500は、歓喜の瞬間へカウントダウンを刻むかのように確実にラップを消化していった。

首位のMOTUL AUTECH GT-R、そして3位に浮上したZENT CERUMO LC500とも大きな開きがあるものの、LEXUS TEAM KeePer TOM’Sのピットガレージにはいつになく緊迫した空気が漂っていた。

そして、その時はやってきた。はやる気持ちが抑えられなかったのだろう。残り3ラップを迎えるとピット内でモニターを見守っていたキャシディ選手は平川選手がステアリングを握るKeePer TOM’S LC500を迎えるべく、プラットフォームへ駆け出した。続いてファイナルラップには全てのメカニックたちがコンクリートウォールへと向かう。ピット内でもチームスタッフはもちろん、ブリヂストンなどLEXUS TEAM KeePer TOM’Sを支えたスタッフがその瞬間を見届けるべく、固唾を飲んでモニターを見守る。

勝利を飾ったMOTUL AUTECH GT-Rの一拍後に、最終のヴィクトリーコーナーを立ち上がった平川選手のKeePer TOM’S LC500はキャシディ選手、そしてエンジニアやメカニックの声援を受けながら2位でチェッカーを受けた。その瞬間、共に23歳の平川選手/キャシディ選手が2017年のタイトル争いに終止符を打ち、ドライバーズチャンピオンに輝いたほか、LEXUS TEAM KeePer TOM’Sがチーム部門でもタイトルを獲得した。

「嬉しいというよりもほっとした。言葉が出なかった」。記者会見でそう心境を吐露した平川選手が「今年1年を通してチームがミスをしなかったし、ニックもいい仕事をした。それにLC500も速くて強かったし、ブリヂストンのパフォーマンスも高かった」と2017年を振り返れば、キャシディ選手は「(平川)亮と組んだ時からスピードがあったので、ミスしたり、ぶつけさえしなければ行けると思っていた。参戦して2年目でタイトルを獲得できるなんて信じられない。僕を信じてくれたLEXUSとトムスに感謝したい」と語る。

そして、この若き両雄を鼓舞し続けた指揮官、LEXUS TEAM KeePer TOM’Sの関谷正徳監督も「全てのレースでポイントを取れたことがタイトル獲得につながった。トムスとしては9年ぶりのタイトル獲得で、しかも、37号車では初めてとなるチャンピオンを若いふたりで取れたので、すごく嬉しい」と、栄冠を勝ち取った両ドライバーの姿を誇らしげに眺めた。

「LC500は強いクルマで、タイトルを獲得できたことはLEXUSファミリーとしては嬉しいけれど、チームとしては勝てなかった。2年連続でLEXUS勢のなかでは2番目になったけれど、まだまだ足りない部分がある」と脇阪監督は悔しそうに唇を噛むが、ダークブルーのWAKO’S 4CR LC500が常に上位争いをしていたことも2017年のトピックスと言っていい。

2016年のSUPER GTを制したRC Fに代わって、2017年にデビューした6台のLC500は光のように2017年のSUPER GTを駆け抜けた。開幕戦の岡山ではKeePer TOM’S LC500がデビューウインを成し遂げ、第2戦の富士でZENT CERUMO LC500がホームコースを舞台にポール・トゥ・ウインを達成。そして、第3戦のオートポリスではau TOM’S LC500が勝利を飾り、第4戦のSUGOではDENSO KOBELCO SARD LC500がディフェンディングチャンピオンとしてシーズン初優勝を果たした。その勢いそのままに国境を越えたシリーズ唯一の海外ラウンド、第7戦のタイ・ブリーラムでKeePer TOM’S LC500がシーズン唯一の2勝目を飾った。LEXUS勢で唯一のヨコハマタイヤユーザーであるWedsSport ADVAN LC500の独自のチャレンジスピリットも多くの見せ場を作った。

ニューマシン、LC500は語り継がれる名勝負を繰り広げながらデビューイヤーで全8戦中5勝をマーク。さらに前述のとおり、KeePer TOM’S LC500が二部門制覇を達成したが、この6台のLC500が残した轍はLEXUSの黄金時代への第一歩となるに違いない。

なお、今回の最終戦では、2日間にわたりSUPER GTと同じ「クラス1」規定のレースシリーズである欧州DTMに出場するAudi RS5 DTM、BMW M4 DTM、Mercedes AMG C63 DTMら3台のマシンとのデモランが実現した。

JMS P.MU LMcorsa RC F GT3が6位入賞。ランキング3位で2017年を走破。

GT300クラスに2台のLEXUS RC F GT3を投入するLMcorsaにとっても、この最終戦のもてぎラウンドは重要な一戦となっていた。

第2戦の富士に続いて、第7戦のタイ・ブリーラムを制したJMS P.MU LMcorsa RC F GT3中山雄一選手、坪井翔選手が最終戦を前に56ポイントでランキング2位に浮上。65ポイントでランキング首位につけるグッドスマイル初音ミクAMGの谷口信輝選手、片岡龍也選手とは9ポイントの開きがあったものの、逆転でチャンピオン獲得の可能性を残していた。

それだけにJMS P.MU LMcorsa RC F GT3の躍進が期待されていたのだが、シルバーをベースにオレンジとブラックで彩られたRC F GT3は、レースウィーク序盤から苦しい立ち上がりを強いられていた。

11日(土)の午後に行われた予選で坪井選手のアタックにより10位でQ1を突破。さらに中山選手のアタックによりQ2でタイムアップを果たしたが、最終的なリザルトは8位にとどまる結果となった。

このリザルトについて、「公式練習でソフトタイヤが厳しかったので、ハードタイヤでセットアップを組み立てた。ライフ的には問題ないのでタイヤ無交換も選択肢として考えている」と JMS P.MU LMcorsa RC F GT3のレースオペレーションを担う影山雅彦監督が語った。さらにQ2でアタックした中山選手も「ハードタイヤということを考えると8位は悪くない。レースでは何が起こるか分からないので、最後までチャンピオンを目指してひとつでもポジションを上げたい」と逆転タイトルへ力強い言葉を残した。

飯田章選手とコンビを組む吉本大樹選手がアタックに挑んだもう一台のRC FであるSYNTIUM LMcorsa RC F GT3はQ2進出を果たせずに予選は15位でフィニッシュ。

そして、万感の思いを乗せた2台のRC F GT3は12日(日)、青空の広がるツインリンクもてぎで53ラップの決勝を迎えた。

タイトル争いの渦中にあるJMS P.MU LMcorsa RC F GT3はスターティングドライバーの中山選手が予選8位から好スタートを披露し、オープニングラップで7位に浮上。その後も粘り強い走りでラップを消化して16周目に6位、17周目に5位、18周目には3位と上位陣がピットストップする間にポジションを上げていく。そして、ハードタイヤを履いていたJMS P.MU LMcorsa RC F GT3は19周目に2位に浮上すると30周目に首位へ浮上。32周目にピットインを行うとタイヤ無交換の戦略でストップ時間を短縮することによって7位でコースへ復帰を果たす。

後半戦を担当した坪井選手も必死にマシンに鞭を入れ、37周目に6位へ浮上するものの、JMS P.MU LMcorsa RC F GT3の追走劇もここまで。このまま6位でチェッカーを受け、中山選手と坪井選手はシリーズランキング3位で2017年の戦いをフィニッシュ。一方、飯田選手と吉本選手のSYNTIUM LMcorsa RC F GT3は18位で2017年の最終戦を終えることとなった。

このように惜しくもタイトル争いには敗れたが、新型RC F GT3とふたりの若手ドライバーによって、チームのデビューイヤー全8戦中2勝をマークしたことは来シーズンに向けて大きな励みとなる。

「ドライバーも新体制で、マシンもニューモデルだったことから当初は苦労すると思っていたけれど、(中山)雄一がしっかりチームを引っ張ってくれたし、ルーキーの坪井の進化も著しいものだった。それにRC F GT3も予想以上にしっかり走ってくれて、常にチームのモチベーションも高かった」と語るのは、JMS P.MU LMcorsa RC F GT3をコントロールした影山監督。

一方、SYNTIUM LMcorsa RC F GT3を指揮した小藤純一監督は「51号車(JMS P.MU LMcorsa RC F GT3)が2勝したことからも分かるとおり、新型のRC F GT3のパフォーマンスは高かったけれど、タイヤへの合わせこみがうまくいかなった。ミスで2回ほど表彰台を逃したけれど、十分に戦えるようになってきた」と振り返るが、ふたりの監督が語るように、LMcorsaにとって2017年はタイトル争いに敗れた悔しさと同時に確かな手応えを掴んだシーズンとなったに違いない。

Po No. MACHINE DRIVER LAPS BEST LAPS Diff.(km/h) TIRE WH
1 23 MOTUL AUTECH GT-R
NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
松田 次生
ロニー・クインタレッリ
53 1'40.077 1:31'44.581 MI
2 37 KeePer TOM'S LC500
LEXUS LC500 / RI4AG
平川 亮
ニック・キャシディ
53 1'40.483 6.263 BS
3 38 ZENT CERUMO LC500
LEXUS LC500 / RI4AG
立川 祐路
石浦 宏明
53 1'40.414 13.353 BS
4 17 KEIHIN NSX-GT
Honda NSX GT / HR-417E
塚越 広大
小暮 卓史
53 1'40.751 19.962 BS
5 100 RAYBRIG NSX-GT
Honda NSX GT / HR-417E
山本 尚貴
伊沢 拓也
53 1'40.723 20.537 BS
6 46 S Road CRAFTSPORTS GT-R
NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
本山 哲
千代 勝正
53 1'40.944 20.857 MI
7 12 カルソニック IMPUL GT-R
NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
安田 裕信
ヤン・マーデンボロー
53 1'41.159 38.909 BS
8 1 DENSO KOBELCO SARD LC500
LEXUS LC500 / RI4AG
ヘイキ・コバライネン
平手 晃平
53 1'41.059 46.745 BS
9 8 ARTA NSX-GT
Honda NSX GT / HR-417E
野尻 智紀
小林 崇志
53 1'40.638 1'01.721 BS
10 64 Epson Modulo NSX-GT
Honda NSX GT / HR-417E
ベルトラン・バゲット
松浦 孝亮
53 1'41.190 1'28.669 DL
11 16 MOTUL MUGEN NSX-GT
Honda NSX GT / HR-417E
武藤 英紀
中嶋 大祐
52 1'40.669 1 Lap YH
12 24 フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R
NISSAN GT-R NISMO GT500 / NR20A
佐々木 大樹
J.P.デ・オリベイラ
52 1'40.740 1 Lap YH
13 6 WAKO'S 4CR LC500
LEXUS LC500 / RI4AG
大嶋 和也
A.カルダレッリ
51 1'40.960 2 Laps BS
14 36 au TOM'S LC500
LEXUS LC500 / RI4AG
中嶋 一貴
ジェームス・ロシター
42 1'40.393 11 Laps BS
15 19 WedsSport ADVAN LC500
LEXUS LC500 / RI4AG
関口 雄飛
国本 雄資
38 1'41.399 15 Laps YH

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