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Mar 31,2014. UPDATE

WORKSHOP BY LEXUS vol.6 「進化する/食と/ライフスタイル」 開催

2.19 Wed 19:00 START

GUEST:
浅本充さん、菅付雅信さん

毎日の食事で、何を食べるのか。INTERSECT BY LEXUSのカフェコーナーのフードメニュー開発を手がけた浅本充さんと、数々の雑誌編集長を歴任し、出版からウェブ、広告、展覧会までを編集する菅付雅信さんが、今、海外で起きている食のムーブメント、そして、その延長線上にあるライフスタイルについて語りました。司会は、honeyee.comの鈴木哲也編集長が務めました。

まずは、日々の食の話題から。東京のサードウェイブ・コーヒーを紹介する連載や、ヴィーガン料理の本を編集するなど、食文化の新たな潮流を積極的に取り上げる菅付さん。浅本さんが代々木上原に出店していたビストロ「FORT GREENE」はオープン当初からかなり気に入ったという。その理由を「フードも音楽も素晴らしくて、浅本さんのライフスタイルを丸ごと味わえるような空間です」と話してくれました。同店舗の店名の由来になったのは、浅本さんがかつて住んでいたブルックリンのフォートグリーン地区。さまざまな食にまつわる浅本さんの仕事のベースには、ブルックリンでの暮らしがあると言います。

話題はそこから、ブルックリンの食文化へ。「ローカルな食材を使ったシンプルな味付けの料理が集まっています。地に足を付けて食を楽しむのがブルックリンのスタイル」と浅本さん。独自の食文化が芽吹くブルックリンを訪れた菅付さんによると、その魅力は「マンハッタンの外食のような派手とか見映えの対極にあるもの」とのこと。「ローカル」「オーガニック」といったキーワードととも、最先端かつ、地元のディープな食文化が語られていきました。

また、お二人が注目していたのがスーパーマーケット。オーガニックフードを扱うアメリカの小売業が、ここ数年で大きな進化を遂げています。ジャンクフードに対するカウンターカルチャー的に誕生した「Whole Foods」のようなオーガニック食材を扱う店舗が人気になり、客が定期的に労働を提供しなければ買い物ができない「Park Slope Food Corp」といった新しい消費のあり方を提示するショップが注目を集めているそうです。「食のトレーサビリティという概念が様々な領域に浸透してきました。作り手にこだわるサードウェイブ・コーヒーの考え方を継承して、チョコレートの世界でもカカオ豆の作り手までさかのぼった“Bean to Bar Chocolate”(カカオ豆から板チョコまで手がける)という運動が注目を集めています」と菅付さん。

今回は「昼ご飯に食べたメニューは?」とのアンケートを来場者の方々に実施し、一人一人違う、毎日の食事の選び方に着目しました。「普段、何気なく食べている食事を改めて意識することで、食への興味や関心が高まり、食材を選ぶ力が養われます」と浅本さん。さらに「やはり、作り手の顔の見える食事が一番おいしいですね。ちょっとでも食に意識を向ければ、オーガニックフードも、もっと身近に取り入れられると思います」と語りました。

アメリカの食分野で、こうした新たな動きが活発化している背景に、豊かさという価値観の変容があると浅本さんは指摘します。「高級ブランドではなくて、自分に合うものを長く使うことこそが豊かだという価値観ですね」と浅本さん。「食だけでなく、例えば父親からもらったスーツや時計を自分用にリペアしたりカスタムするという、ストーリーに重きが置かれるようになっています」と続け、菅付さんは「豊かさの定義が変わってきています。20世紀はリッチであることを多くの人が目指していたけれど、21世紀はスマートであることがリッチであるよりも大事に思われている時代。より本質的でスマートなことを先進国の先進都市の人々は指向していると思います」と話してくれました。

最後に「流行に流されるんじゃなくて、選ぶということにもっと意識的になれば、自分にとってより良いものをセレクトしていけますよね。食もそうだし、着るものだってそう。これは、衣食住すべてに言えることです」と鈴木編集長の言葉で締めくくられました。自分にとって居心地の良い食である「コンフォートフード」を通じて語られた、コンフォートなライフスタイル。モノを選ぶことの大切さを実感させてくれる充実の内容で、盛況のうちにイベントは幕を閉じました。

このイベントの詳細レポートは、honeyee.comにてご覧頂けます。