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May 07,2014. UPDATE

REPORT 2「ライトアーティスト 森脇裕之×筑波大学名誉教授・彫刻家 篠田守男 Talk Session」開催

GUEST:
森脇裕之さん(ライトアーティスト)、篠田守男さん(筑波大学名誉教授・彫刻家)

2月7日〜3月30日の日程で、六本木ヒルズをメイン会場に開催中の「MEDIA AMBITION TOKYO 2014」。このイベントに共鳴しサテライト会場として参加しているINTERSECT BY LEXUSでは、3月30日までライトアーティストである森脇裕之さんの「atto car」と「光の波紋」の2作品を展示しました。

そこでこの度、森脇さんと、森脇さんの筑波大学時代の恩師であり筑波大学名誉教授・彫刻家の篠田守男さんを招いたトークセッション「時代を通したテクノロジーと美」をINTERSECT BY LEXUSで開催。モデレーターは、Lexus Internationalの河辺徹也が務めました。

各々の自己紹介の後、まずはINTERSECT BY LEXUSの1Fに展示されたatto carについて森脇さんが語りました。「私は、光を用いたインタラクティブな作品や光の空間といった光のアートを発表し続けてきました。今回のatto carは、光のアートにLEXUS『RC F 特別仕様車』を融合させた作品。クルマのエネルギーを、光を使って表現することにチャレンジしています」と解説。さらに「以前から建築やファッションなど、異分野とのコラボレーションを積極的にやってきました。今回は、INTERSECT BY LEXUSを会場に、ぜひクルマと一緒に展示をやりたいと思ったんです。新しい分野での試みには予想のつかない困難もありますが、普段とは違う発見が必ずあります」と今作の意義を語りました。

森脇さんがアート活動を始めたのは、彫刻家として作品を発表していた篠田さんの筑波大学での講義がきっかけだったと言います。「大学1、2年生までは写真をやりたかったんですが、自分が撮る作品に悩んでいました。そんなとき、篠田先生の講義を受けて自分は写真が好きというよりはカメラという機械が好きだと分かったんです。そこで写真の道を諦めて、篠田先生がやっている作品作りを真似したいと思ったんですが、猿真似はしたくない。だから金属の塊ではなくて光に興味を持って、光のアートを作るようになったんです」と森脇さんは振り返ります。

篠田さんは、森脇さんが持参したハッセルブラッドのカメラを指し「私も同じモノを持っていますが、ハッセルはだんだんフイルムがなくなっていて、機能的にはカメラとしての役割を失いつつあります。しかし、フイルムがなくなった時にアートになる美しさがある」と今回のテーマである、テクノロジーと美の関係について。

森脇さんがもう1つ持参したのが、1990年ごろに発売されたという初期の携帯電話機。「基本料金がひと月2万円もするような時代でしたが、急激に小型化したことや電話線がつながっていないのに電話がかけられるという最新テクノロジーに感動して飛びつきました」と森脇さん。篠田さんは「ハッセルブラッドは機能がなくなっても美しいが、携帯電話はけっしてアートにはならないんです。その携帯電話は、単に君の中の思い出があるだけなんだ」と指摘しました。

篠田さんの意見に対して森脇さんは「30年前のゼミの風景を思い出しますね(笑)。1990年くらいにメディアアートという言葉ができた当時は、アナログレコードからCDに変わっていく狭間にあった頃。私はアナログからデジタルに移行する過程を目の当たりにしていて、その両極端とも言えるのがハッセルブラッドと携帯電話です。だからこそ、自分の作品はどんなにデジタルでも、アナログの感触みたいな要素が入っているんですね」と自身の創作活動に言及しました。
その後、話題は、アートとクルマの運転という体験が持つ共通項や、運転に留まらないクルマの価値などへと広がっていきました。そして最後は、お二人の誕生日が近いとあってサプライズでバースデーケーキが用意され、祝福のムードに包まれてトークセッションは終了。その後、来場したゲストらとお二人が直接対話できる懇親の時間が設けられ、賑わいを見せたこの日のイベントは、ゆるやかに閉幕を迎えました。