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2016.10.13 - 10.16

日本オープン

期待通りに演じられる役者ぶり
日本のメジャー初制覇に見えた進化

さすがの松山も平日の1万人を
超える大ギャラリーに「緊張」

 海の向こうでは、もう2016-2017年シーズンの開幕だが、同じ週に松山英樹が選んだのは、母国のナショナルオープン、「第81回日本オープンゴルフ選手権」だ。
「今回のコースは4年前(日本学生ゴルフ選手権)に勝っているのもある。年間数試合しか日本ツアーに出られない中で、出たいとも思いました」

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 日本での試合出場は、昨年11月の「ダンロップフェニックス」(2位タイ)以来。日本オープンはプロになって初の参戦だ。

「やっぱり勝ちたい試合の一つです。最終日にいい位置でプレーしないとチャンスはなかなか巡ってこないと思うので、それまでに、しっかりといい状態になるように頑張りたいです」

 会場は埼玉県の狭山ゴルフ・クラブで、首都圏での開催。しかも早くから、松山がアダム・スコット、石川遼とともに予選2日間を回ると発表されていたため、初日から多くのギャラリーが詰めかけることは容易に予想出来た。だが、さすがに平日の木曜日から1万人を超える観衆が押し寄せるとは、松山も想定外だったようだ。

「ここまでたくさんのギャラリーの方が来てくれると思ってなかったので、本当にうれしくて。スタート前、練習場へ行くとき、もう緊張しちゃって」

 だが松山は、注がれる多くの視線を、「いい意味でプラスに捉えて」プレーしてみせた。ナショナルオープンらしい、幅を絞ったフェアウェイに深いラフというセッティングの中、「ティーショットが良くなかったですし、アイアンショットも全然ピンに絡まなかった」とは言うものの、4日間の出だしとしては無難に18ホールをまとめ上げた。

 7番では約3mのパットを決められず、ボギーが先行したが、9番では256ヤードの2打目をグリーン奥のラフへ運び、8mほどのアプローチは約2mショートしたものの、右にわずかに切れるラインを読み切って、初バーディー。11番でも約5.5mのパーパットを残して、2つ目のボギーを喫したが、1オンも狙える13番ではグリーン左手前のバンカーから、ピン奥1mに寄せて2つ目のバーディーとし、スコアをイーブンに戻した。その後、16番で6番アイアンの1打目を左手前のバンカーに入れ、ボギーがバーディーを一つ上回ってしまったが、トータル1オーバーは15位タイで、首位からは5打差。

「全然良くはないけれど、ショートゲームで踏ん張れた。スコア的に大崩れしなかったのは良かったと思う。見ている人はどう思うか分からないけれど(苦笑)」

 初日が11時35分のスタートのため、ホールアウト後、日没まであまり練習時間がなく、翌2日目は7時35分スタート。「朝早いので、イメージを大事にしてショットを修正出来たらいいなと思います」と語っていた松山だが、その影響もあってか、2日目もショットは大きく改善出来なかった。

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この日のパーオン率こそ72.22%(初日は55.56%)だったが、フェアウェイキープ率は初日の28.57%からわずかに上がっただけの35.71%。これではなかなか、ひたすらピンを指す松山らしいアイアンショットを望むことはできない。しかも、この日の8番では、フェアウェイからの2打目にも関わらず、「あんなミスをしているようじゃ話にならない」というショットとなって、打った直後にしゃがみ込んで悔しがった。

 ただ、それでもスコアを大きく崩さないところは、さすがだ。「よくショートゲームで粘れたなと思います」という、初日同様の踏ん張りを見せた。

 10番スタートのこの日、14番でボギーが先行も、17番では3アイアンで2オンに成功。10mほどのイーグルパットは決まらなかったが、楽々の初バーディーを奪う。

 続く18番と折り返しての3番でボギーを喫したが、松山は慌てない。4番では約10mの下りの右に切れるラインをねじ込んで、バウンスバック。最終の9番でも2打目をグリーン右のバンカーまで運び、約10mのバンカーショットをほぼタップインの距離に寄せてバーディーフィニッシュだ。一時トータル3オーバーまで落としたスコアは、最終的にスタート時の1オーバーまで回復。順位は8位タイに浮上し、トップとの差は3打へ。

「今の状態じゃ、なかなかこれ以上スコアを出すことは難しいですけど、今日は時間があるのでしっかりと練習して明日から巻き返していけるように頑張りたいです」

圧巻だった3日目の5連続バーディー
海外メジャー優勝の夢は確信に

 3日目を「ムービングデー」と呼ぶことはすっかりお馴染みだが、これは強い選手たちが皆、力をセーブすべき所と、フルパワーで行くべき所を自然と体で覚えているからではないか。そう思えてしまうほど、松山の第3ラウンドには迫力があった。「今の状態じゃ、なかなかこれ以上スコアを出すことは難しいです」という前日のコメントは何だったのか…。

 2番でピン左約1mから早速バーディーを奪うと、9番からは完全に松山の独擅場となった。9番では、2打目で3番ウッドを軽く振り抜き、グリーン奥のカラーから3打目を寄せて2つ目のバーディー。そして、続く10番のグリーン左奥ラフからの6mほどのアプローチが「大きかったです」と松山は言う。思わず「止まれ!」と声を発するほど強く入ったが、ボールは見事にカップへ。松山の顔に、自然と笑みが浮かんだ。

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 続く11番では約3.5mを沈めてトップタイに並ぶと、12番では、196ヤードを7番アイアンでフェードをかけて、ピン右1m。しっかりパットも沈めると、スコアボードの1番上に、松山英樹の4文字が記された。

 勢いはまだ止まらない。13番では、右ラフからの68ヤードの2打目が約2m。怒涛の5連続バーディーには、前のホールまで大きな歓声を上げていたギャラリーも、逆にうなるしかなかったのか、声援のトーンが少し下がったようでもあった。

 この日は6バーディー、1ボギーの65。「昨日に比べてショットが安定していたので、そういう意味ではすごくいいプレーが出来ました」というラウンドで、最終日を単独トップで迎えることになった。

「しっかりと自分の出せるものを出したら、いい結果がついてくると思うので、それに向けて頑張りたい。明日もたくさんの方が来てくれると思うので、しっかり今日みたいないいプレーが出来たらいいなと思います」

 もちろん、2位との差は1打で、まだ3日目でもあり、松山は、「優勝が決まる訳ではない」と、気を引き締めることも忘れてはいなかった。

だがそれでも、迎えた最終日の松山からは、勝ち方を知り尽くした者だからこその余裕が見えた。相手が来ないうちはクルージングし、相手が近づいてきたら少しだけアクセルを踏めばいい…というように。

 1番で同組の池田勇太がバーディーを奪うと、今度は2番パー3で松山が1打目をほぼ左ピンハイ約2mにつけ、バーディー。3番では松山のボギーに対し、池田はダブルボギー。6番では右ピンハイ約4mから下りのパットをジャストタッチで沈めると、池田とは3打差。7番では2つ目のボギーを叩き、また2打差となったが、8番ではピン手前2mを沈めてバウンスバックし、続く9番でも2オンから楽々の連続バーディー。前半9ホールを折り返すと、いつの間にか差は、4打に広がっていた。

 こうなればもう、後続のことを考える必要はなく、自らのプレーに集中するのみだった。パッティングこそ決まらなかったが、10番で約2.5m、12番で約2m、13番で約1.5m、14番で2.5mと、次々にチャンスを演出。勝利を確信した瞬間は、「最後までなかった」と言うが、留めは、ボギーを喫した15番の直後の16番だった。10mほどの少し左に切れるパットは、すぐにラインに乗ったのが分かったのだろう。

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パターを持つ左手を上げながら発した「ゴー、ゴー、ゴー」の声に押され、ボールは最後の一転がりでカップイン。松山は、今大会中でも最大のガッツポーズをつくった。

 18番では、パーパットを沈める前に、まるで勝利を祝うかのような号砲が近隣で響いた。これには、松山も笑いながらアドレスを解いた。アドレスし直して打ったパットは外してしまったが、5バーディー、4ボギーのこの日1アンダー。トータル5アンダー、2位とは3打差で、日本のメジャー初戴冠だ。

 優勝インタビューで、「お客さんを沸かせるようなプレーが出来ればと思って、ずっとやっていました」と語った松山に対し、18番のグリーンを埋めたギャラリーからは、まさに千両役者に送るような拍手と歓声が起こった。期待に、きっちり応える力。本人は、「内容的にはまだまだです。最後のパットを外しているようじゃ、海外メジャーでは勝てない」と自分に厳しいが、なかなか出来そうで出来ないことをさらっとやってのけた所に、誰もが松山の大きな進化を感じたはずだ。

「こうやってたくさんの方々が来てくれるということで、よりいいプレーをしなければいけないというプレッシャーがありましたけど、その中でこうやって結果に結びつけることが出来て良かったなと思います。やっぱり、自分の目標は4大メジャーに勝つことなので、それに向けてしっかりと練習していきたいと思います」

 日本の多くのゴルフファンが、松山の近い将来の海外メジャー制覇を夢見てきた。だが、今大会でそれはもはや、確信に変わったことだろう。

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スコアボード

HOLE
Par
ROUND4
ROUND3
ROUND2
ROUND1
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 T
4 3 4 4 4 3 4 4 5 4 4 3 4 4 4 3 5 4 70
4
E
2
-1
5
E
4
E
4
E
2
-1
5
E
3
-1
4
-2
4
-2
4
-2
3
-2
4
-2
4
-2
5
-1
2
-2
5
-2
5
-1
69
-1
4
E
2
-1
4
-1
4
-1
4
-1
3
-1
4
-1
4
-1
4
-2
3
-3
3
-4
2
-5
3
-6
4
-6
4
-6
4
-5
5
-5
4
-5
65
-5
4
E
3
E
5
1
3
E
4
E
3
E
4
E
4
E
4
-1
4
-1
4
-1
3
-1
4
-1
5
E
4
E
3
E
4
-1
5
E
70
0
4
E
3
E
4
E
4
E
4
E
3
E
5
1
4
1
4
E
5
1
4
1
3
1
3
E
4
E
4
E
4
1
5
1
4
1
71
1

リーダーズボード

Pos Name
1 松山 英樹
2T 李 京勲
2T 池田 勇太
4 H・W・リュー
5 片山 晋呉
6 小平 智
7T 稲森 佑貴
7T 黄 重坤
7T 石川 遼
10T スコット・ストレンジ
10T 金 亨成
Total Thru Round R1 R2 R3 R4 Strokes
-5 F -1 71 70 65 69 275
-2 F 1 71 67 69 71 278
-2 F 1 72 69 66 71 278
-1 F 0 66 72 71 70 279
0 F 2 70 70 68 72 280
2 F 2 69 71 70 72 282
3 F -2 70 72 73 68 283
3 F 0 71 74 68 70 283
3 F 0 75 67 71 70 283
4 F 0 73 68 73 70 284
4 F 2 70 72 70 72 284

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松山英樹は2014年1月よりLEXUSの所属となりました。

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