TOUR RESULTTOUR RESULT

2016.02.04 - 02.07

ウェイスト・マネージメント・フェニックス・オープン

4ホールに及ぶプレーオフを制して
待望のPGAツアー2勝目達成

「優勝を狙えるような状態ではない
あまり高望みせずにやりたい」

 前週の2016年初戦予選落ちの不安は、まさしく杞憂だった。それどころか松山英樹は、その事実を、多くの人の記憶から1週間ですっかり消してしまった。過去2年連続で優勝争いをした、「ウェイスト・マネージメント・フェニックス・オープン」で、松山は今年も躍動した。PGAツアー初優勝から約1年半。2勝目になかなか届かないもどかしさを早く晴らしたい松山にとって、TPCスコッツデールは約束された場所だったのかもしれない──。

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 前週のことがあったように、決して調子が良かった訳ではない。初日終了後、「ショットは良い所もだいぶ増えてきているとは思うんですけど、やっぱり不安に思いながら打っています」と松山は振り返っている。だが、このコースとの相性の良さは、もう疑い様がなかった。初日、松山はバーディーを奪いまくった。10番スタートのこの日、11、13番でバーディーとすると、14番のボギーを挟んで、15番からは3連続バーディー。短いパー4の17番は、見事1オンからの2パットだった。後半に入っても、1、3、6番でバーディーとし、ボギーは4番の1つに抑えた。8バーディー、2ボギーの6アンダーで首位タイ発進。これには松山本人も、「なんで良いのか分かりません」と思わず笑ってしまう。

「結果的に良い位置で終われたのは良かったなと思います。明日も出だしから良いスタートが切れるように、明日の朝までしっかり準備します」

 2日目は我慢の1日となったが、それでも松山はしっかり粘った。3、4番で連続バーディーとし、8番では6.5mを沈めた。9番で右ラフからのセカンドショットが13ヤードしか飛ばずにボギーを打ってから苦しくなり、「パーを取るので一生懸命」と語ったが、傷は最小限にとどめたと言える。

バーディーを取りたい13番で1.5mのチャンスが決まらず、14番では右ラフからの200ヤードの2打目がピンまで44ヤードを残して、ボギー。しかし、短い17番で60ヤードのセカンドショットを2mにつけてバーディー。18番ではバンカーからの3打目で全くスピンがかからず、グリーンをオーバーして、ボギーとしたが、4バーディー、3ボギーで、トータル7アンダーと、バーディーがボギーを上回った。見渡せば、松山だけが我慢を強いられた訳でもなく、「良くこの順位で踏みとどまっているなという感じはあります」と言うように、1打伸ばしただけだったが、首位とは3打差の4位タイ。「優勝を狙える様な状態ではない。あまり高望みせずにやっていきたいです」と自己評価は低いものの、堂々の優勝争いだ。

 3日目。前日の粘りが効いたのか、「いつか良くなるとは思いますが……来年くらい?」と語っていたショットに改善の兆しが見えてきた。ティーショットのフェアウェイキープは、14分の6と、初日、2日目から下がったが、パーオンは18分の16と、前2日間より上昇。

「アイアンがだいぶ戻ってきた。なんとかグリーンを捉えられる様になってきました」

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 これなら戦える。1番でいきなり、右に曲がる9mを沈めると、5番では2.5mのチャンスをしっかり決める。後半も11番でのバーディーと14、15番の連続バーディーで、計5つのバーディーを奪取。14番は、グリーン右奥から11ヤードのアプローチを直接沈めたもので、多くのギャラリーから喝采を受けた。ボギーは、7番と12番の3パットによる2つに抑えた。5バーディー、2ボギー、トータル10アンダーは、首位から3打差の2位タイ。

「これだけティーショットに不安があったら話にならないと思うけど、その中でも良い所に打てればチャンスはあります。最後の締めとなるパターが入らなければ勝つことは難しいけど、入るラインにつける事も大事。追いかける人間は攻めていかないといけないけど、ボギーを打つと苦しくなるから打たない様にやっていきたいです」

 威勢の良い言葉は無かったが、前日の、「優勝を狙えるような状態ではない」というコメントからはフレーズが上方修正された。何より2年連続の最終日最終組。首位に1打足りずに敗れた昨年の屈辱を濯ぐのに、こんな絶好の舞台はない。燃えないはずがない。

「勝ったというより、負けたみたい」
どこまでも尽きない反省と向上心

 勝負は最終日のバックナイン──。良く言われることだが、まさに今大会がそうだった。3日目でトップに立っていたダニー・リーが前半でスコアを崩し、後続に吸収されると、そこからは同じ最終組で回る松山とリッキー・ファウラーの一騎打ちの様相となった。前半で1つずつ伸ばして、ともに11アンダーで折り返すと、まずファウラーが10番でバーディーを奪って松山をリードする。13番では先に松山がバーディーを奪って首位に並んだが、ファウラーが直後のパットを沈めて、再びトップに立つ。

 バーディー必須の15番では、しっかり2オンからバーディーを奪ったファウラーに対して、松山はラフからのセカンドが、バンカー越えのアプローチを残す場所に行き、アプローチも寄らずにパー。差は2ストロークに広がった。

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 ポイントとなったのは、続く名物ホールの16番だったかもしれない。ファウラーが先に2.5mのチャンスにつけて、松山は4.5m。松山のパットはカップの右を抜けて、ファウラーとの差が詰まらない。「外した時点で今年も上位争いをして終わるのかと思いました」と松山は振り返ったが、もしここでファウラーが決めていれば、ダメ押しとなっていた事だろう。だが、ファウラーのパットもカップを捉えない。

 17番は1オンの狙える短いパー4。もし3打差で残り2ホールだったら、いくら攻撃的なファウラーでも安全策を採ったのではないか。だが、前のホールで勝負を決められなかったことが、ここでファウラーにドライバーを握らせる。しかし、しっかりとフェードをかけた弾道は思いのほか力強いものとなって、グリーン手前に着弾したあと、転がりつづけ、グリーン奥の池へ。ボギーが精一杯となったファウラーに対し、松山はグリーン手前からしっかりと寄せてバーディー。ともに12アンダーで、勝負は分からなくなった。

 こうなると、我慢比べだ。18番、松山が5.5mの下りを、「今までで一番良いパット」で先に沈めると、ファウラーも3mを沈め返して、プレーオフへ。

 プレーオフ1ホール目は、18番。119ヤードの2打目を安全に真ん中に乗せてパーとした松山に対し、ファウラーは右手前のピンを狙い過ぎて、ショート。しかし、ファウラーはこのピンチで、グリーン手前にワンクッションさせるバンプアンドランの見事なアプローチを見せ、タップインのパー。世界ランキング4位のさすがの技に、松山も、「ああいう風にショートゲームをもっともっと練習しないといけないという印象を受けました」と唸る。

 続けて18番でのプレーオフ2ホール目。今度は、お互いに痺れるパットを決め合った。ファウラーが下りの4.5mを真ん中から沈めれば、わずかに短い距離を今度は松山がカップ左側から流し込んだ。

 3ホール目は、わずかに右ドッグレッグのパー4。ここでファウラーはティーショットを左ラフに打ち込んだが、それでも勝負は決まらなかった。ファウラーのセカンドはグリーン奥に外れ、アプローチも3.5mショートしたが、このクラッチパットをファウラーはきっちり決めてくる。だが、松山も譲らない。1.5mのパーパットにプレッシャーがかかったが、入れ返した。「要所、要所のパットが本当に大事だし、流れを引きつける。今日も11番のパーパットと、18番の2回、プレーオフの10番のパーパットと入ってくれたので良かったです」と、プレー後に松山はこの2ホールのパットが大きかった事を明かした。

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 プレーオフ4ホール目は、17番。第4ラウンドで池に入れたファウラーの胸には、どんな思いがあった事だろう。ファウラーは、やはりドライバーは握らず、3番ウッドを握った。しかし、ドライバーではフェードで打っても長く、スプーンでは距離が足りない。それがファウラーに力みを生んだのか。ドローでグリーンを狙ったボールは思った以上に左に曲がり、グリーン左サイドに食い込んでいる池へと無情にも飛び込んでいった。

 これで勝負はあった。2オン2パットで、松山が待望のPGAツアー2勝目を遂げた。日本人としては、丸山茂樹選手に続く、2人目の複数回優勝者という快挙。しかし、最初の優勝とは違って、直後の松山に大きなガッツポーズも大きな笑顔もなかった。先にファウラーがパーパットを外している中で、2m弱のバーディーパットを決められなかった。勝利を挙げても、その不甲斐なさを悔やむ所は、松山らしい。

「最後が、なんだあれという感じの勝ち方だった。勝ったというより、負けた人みたいなパターでしたけど、まあ、ああいう勝ち方もあるんだなという感じがしました」

 でも言う通り、どんな勝ち方でも勝ちは勝ちだ。そして最早、誰もが松山の早期のメジャー優勝を信じて疑わないだろう。だが、そう水を向けても、すんなりと頷かず、足元を見つめる所が、また松山らしい。

「そこを目指して頑張りたいのはあるけれど、それまでに何試合もあるし、その中で自分が課題としているものが克服していけるかどうか。まだまだやるべき事は多いと思います」

 裏を返せば、自分のゴルフに全く満足できない中で、2勝目を勝ち取ってしまったという事でもある。やはり、この男のポテンシャル、恐るべしだ。

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スコアボード

HOLE
Par
ROUND4
ROUND3
ROUND2
ROUND1
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 T
4 4 5 3 4 4 3 4 4 4 4 3 5 4 5 3 4 4 71
3
-1
4
-1
5
-1
3
-1
4
-1
4
-1
3
-1
4
-1
4
-1
4
-1
4
-1
3
-1
4
-2
4
-2
5
-2
3
-2
3
-3
3
-4
67
-4
3
-1
4
-1
5
-1
3
-1
3
-2
4
-2
4
-1
4
-1
4
-1
4
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3
-2
4
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5
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3
-2
4
-3
3
-3
4
-3
4
-3
68
-3
4
E
4
E
4
-1
2
-2
4
-2
4
-2
3
-2
3
-3
5
-2
4
-2
4
-2
3
-2
5
-2
5
-1
5
-1
3
-1
3
-2
5
-1
70
-1
3
-5
4
-5
4
-6
4
-5
4
-5
3
-6
3
-6
4
-6
4
-6
4
E
3
-1
3
-1
4
-2
5
-1
4
-2
2
-3
3
-4
4
-4
65
-6

プレーオフ

優勝者 NO 1 2 3 4
HOLE 18 18 10 17
PAR 4 4 4 4
松山英樹 4 3 4 4
  リッキー・ファウラー 4 3 4 5

リーダーズボード

Pos Name
1 松山英樹
2 リッキー・ファウラー
3 ハリス・イングリッシュ
4 ダニー・リー
5 ブー・ウィークリー
6T ウィル・ウィルコックス
6T シェーン・ローリー
6T J.B.ホームズ
6T ジョン・ハー
6T ブライス・モルダー
Total Thru Round R1 R2 R3 R4 Strokes
-14 F -4 65 70 68 67 270
-14 F -4 65 68 70 67 270
-12 F -5 68 67 71 66 272
-11 F 2 67 66 67 73 273
-10 F -1 71 68 65 70 274
-9 F -6 68 73 69 65 275
-9 F -3 65 70 72 68 275
-9 F -4 73 67 68 67 275
-9 F -2 69 70 67 69 275
-9 F E 67 73 64 71 275

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松山英樹は2014年1月よりLEXUSの所属となりました。

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