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 そんなことも含め、松山選手は良い要素をたくさん持っています。彼はお父さん以外にコーチはいなかったと聞いていますが、スイングがおかしくなったときに、自分で修正できる力を持っているのだとも思います。不調になったらからといってコーチにスイングをビデオに撮ってもらって修正するのではなく、自然に良いスイングへと修正できる力があるのかなと。
 アジアの選手は体が小さい点が不利だという人もいますが、私はそうは思いません。今、世界ランキング1位の選手は誰ですか? ローリー・マキロイですよね。彼は背が高いですか? それが答えです。パワーが生み出せれば問題ないわけで、パワフルなアジアの選手はたくさんいます。
 松山選手は若いので、大きな可能性を持っています。これまでのアジア人選手の中で、最も上位に行けるのではないでしょうか。アジアの選手でメジャーに勝ったのはY.E.ヤンだけですが、彼はメジャーには勝ちましたけれど、その他はPGAツアーではホンダクラシックのみ。松山選手はまだ1勝ですが、それは大きなステージでの優勝です。そして、まだ若いですから、この先何年もキャリアは続きます。メジャーに勝つこともできるでしょう。まだ勝っていませんが、勝てる力はあると思います。

 松山選手にとってPGAツアー2年目のシーズンが始まりましたが、結果はなかなか予想できるものではありません。でも、昨シーズンと同じぐらいの成績は出せるのではないでしょうか。メジャーでもうまく運んで結果が出れば、それが流れを変えるかもしれません。昨シーズンのプレーぶりは良かったですが、4大メジャーは成績が出ませんでした。でも、今シーズンはその4試合が良くなるかもしれません。タイミングの問題ですよ。

【プロフィール】

ダグ・ファーガソン

1963年生まれ、カリフォルニア州ラホーヤ出身。フロリダ州ポンテベドラビーチ在住。アビレーンクリスチャン大学を卒業(スペイン語専攻)後、オクラホマ大学大学院でジャーナリズム学を学ぶ。1986年にノーマン・トランスクリプト社入社。1987年にAP通信へ転職後、98年からゴルフを専門に取材活動を開始。朝は誰よりも早くメディアセンターに来て取材を始め、夜は誰よりも遅くまでメディアセンターに残って記事を配信する仕事熱心な姿勢により、同僚メディアやツアー関係者からも尊敬されている。

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  • 同じ日本人の我々は、彼の一挙手一投足に一喜一憂する。しかし、PGAツアーの現場、アメリカ側から見れば、数多いる外国人プレーヤーの中の1人。AP通信の敏腕ゴルフ記者、ダグ・ファーガソンが明かす、HIDEKI MATSUYAMAに対する、彼の国の印象と評価──。

    アメリカのメディアの評価は、
    率直に言えば、まだ高くない

     松山選手は2013-2014年シーズン、メジャーでは振るいませんでした。でもザ・メモリアルトーナメントというビッグイベントで優勝しましたから、実力を証明しましたね。いい選手だからといって、メジャーでいつも成績がいいというわけではありません。フィル・ミケルソンも2013-2014年シーズンのメジャーでは、全米プロまで全然ダメでしたが、かといって誰もミケルソンがダメな選手だと言うことはありません。もしかしたら松山選手は昨シーズンの成績を不満に思っているかもしれませんが、ザ・メモリアルの優勝で、充分に力を示したと言えます。

  •  ただ、アメリカのメディアの松山選手への評価は、率直に言えば、まだトッププレーヤーという位置づけにはなっていないように感じますし、アメリカのゴルフファンにもまだあまり深く認知はされていないと思います。日本の松山という選手がいる、近くで見れば石川遼選手とは別の日本人選手だ、という程度でしょうか。近くで見ないと違いがわからない。遠くからだと、みんな帽子を被った同じ選手に見えていると思います。
     また、例えば私の知り合いのメディアの人間は、同じようにこの1、2年で台頭してきたジョーダン・スピースのほうがいい選手と見ているようです。でもこれには理由があって、松山選手がアメリカ人ではないこと、そして彼自身があまり英語を話さないためにほとんど会話する機会がないから、ということです。
     私自身は、松山選手とスピースが非常に似ていると感じています。スピースはシード権のない状態から優勝して、世界ランクもあっという間に上位に上り詰めました。一方、松山選手も、大学を卒業してすぐに日本のツアーで複数回優勝し、史上初のルーキーでの賞金王になり、メジャーでも活躍して、世界ランキングを駆け上がりました。

  • メジャーでの成績はスピースよりも良かったですし、アメリカ人という色眼鏡で見るのではなく、グローバルな観点で言えば、アメリカから有望な若者が台頭してきたと当時に、アジアからも同じように有望な若者が浮上してきたというように見えます。
     私が最初に松山選手を知ったのは、初めて彼がマスターズに出場してきたとき(2011年)ですね。マスターズ出場権を獲得した2010年アジアパシフィックアマチュア選手権優勝の後でしょうか。それまでは知りませんでした。マスターズに出場してきたときは、「ああ、そう」というぐらいでしたが、予選を通過し、「やるねえ」となりました。その後、2年連続で出てきたマスターズでも予選通過するのを見て、「これはすごくいい選手なのかもね」と思うようになりました。プレーを見てもパワフルで強い選手という印象でした。そして、2013年には全米オープンで10位タイとなり、その後のメジャーでもいつも上位に顔を出してきました。全英オープンでは、ミケルソン、タイガー・ウッズ、リー・ウェストウッドといった強豪たちと肩を並べて戦いました。その後も試合に出るたびに、強豪の一角をなすようになっていったという印象です。

  • メジャーに勝つこともできる
    勝つ力はあると思う

     松山選手は何と言うのでしょうか、極度に集中しているというか、睨みが利いていて、睨まれたらみんな立ち止まってしまうような雰囲気があります。彼が意識的にそうしているかどうかはわかりませんが、周りの人をも操ってしまうような感じがありますね。体も大きくパワフルですから、集中力からの圧倒的な威圧感があります。ときどき彼がアメリカツアーでの生活を何も楽しんでいないのではないかと見えるときがあります(笑)。それくらい集中力がすごいですからね。

     彼のスイングも、私は好きです。たまたま、あるコーチとスイングのことについて話していたばかりなのですが、松山選手はスイングのトップで一呼吸置くテンポでスイングします。これをやればみんなうまくなるとか飛ぶというわけではないのですが、トップで一呼吸置いてパワーを放出するスイングが好きなんですよ。先ほどのジョーダン・スピースもそうですし、ビジェイ・シンやクリス・カークもそうやっていますよね。

  •  そんなことも含め、松山選手は良い要素をたくさん持っています。彼はお父さん以外にコーチはいなかったと聞いていますが、スイングがおかしくなったときに、自分で修正できる力を持っているのだとも思います。不調になったらからといってコーチにスイングをビデオに撮ってもらって修正するのではなく、自然に良いスイングへと修正できる力があるのかなと。
     アジアの選手は体が小さい点が不利だという人もいますが、私はそうは思いません。今、世界ランキング1位の選手は誰ですか? ローリー・マキロイですよね。彼は背が高いですか? それが答えです。パワーが生み出せれば問題ないわけで、パワフルなアジアの選手はたくさんいます。
     松山選手は若いので、大きな可能性を持っています。これまでのアジア人選手の中で、最も上位に行けるのではないでしょうか。アジアの選手でメジャーに勝ったのはY.E.ヤンだけですが、彼はメジャーには勝ちましたけれど、その他はPGAツアーではホンダクラシックのみ。松山選手はまだ1勝ですが、それは大きなステージでの優勝です。そして、まだ若いですから、この先何年もキャリアは続きます。メジャーに勝つこともできるでしょう。まだ勝っていませんが、勝てる力はあると思います。

  •  もちろん、シード権もあと10年は大丈夫じゃないでしょうか。実際には、シード権をキープすることは簡単ではありません。ランキング上位125位までの選手がシード権を保持するわけですが、上位200位までの選手の実力は拮抗していると言えます。優勝経験がないとか、メジャーでいい成績を挙げたことがない選手は、非常に難しいことと感じているはずです。上位フィニッシュの経験をより多く積んで自信をつけて、やっとシードをキープすることが難しくなくやっていけるようになるというものでしょう。一方で、本当に力のある一握りの選手はシード権をいとも簡単にキープしているように見えますし、今や松山選手はそのグループに入っていると思います。
     いま彼にアドバイスするならば、まずは英語ですね。世界の舞台でプレーしていくのなら、競争の場であっても英語を話せたほうが、彼にとって過ごしやすくなると思いますし、さらなる自信にもつながると思います。また、彼は昨シーズン、ケガが長引いていましたが、1年を通じていいプレーをするには健康が大切です。健康でいることは、成功に向けた大切な要素です。

  •  松山選手にとってPGAツアー2年目のシーズンが始まりましたが、結果はなかなか予想できるものではありません。でも、昨シーズンと同じぐらいの成績は出せるのではないでしょうか。メジャーでもうまく運んで結果が出れば、それが流れを変えるかもしれません。昨シーズンのプレーぶりは良かったですが、4大メジャーは成績が出ませんでした。でも、今シーズンはその4試合が良くなるかもしれません。タイミングの問題ですよ。

  • 【プロフィール】

    ダグ・ファーガソン

    1963年生まれ、カリフォルニア州ラホーヤ出身。フロリダ州ポンテベドラビーチ在住。アビレーンクリスチャン大学を卒業(スペイン語専攻)後、オクラホマ大学大学院でジャーナリズム学を学ぶ。1986年にノーマン・トランスクリプト社入社。1987年にAP通信へ転職後、98年からゴルフを専門に取材活動を開始。朝は誰よりも早くメディアセンターに来て取材を始め、夜は誰よりも遅くまでメディアセンターに残って記事を配信する仕事熱心な姿勢により、同僚メディアやツアー関係者からも尊敬されている。

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松山英樹は2014年1月よりLEXUSの所属となりました。

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