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 プレーオフ、あの18番は、バーディーが取れれば言うこと無しなのですが、パーでもいいスコアだと思っていました。ティーショットではフェアウェイの右に外したらおしまいだと思っていて、左には行ってもいいと考えていました。左のクリークはもちろん視界には入っていましたし、あることも知っていましたが、まさか入るとは思っていませんでした。だから、引っ掛けてクリークに入れてしまったことは、ショックでした。ただ、その後で松山選手がティーショットを右のバンカーに入れたので、その時はまだ自分に分があると思っていました。ドロップしたあとにフェアウェイにボールを出せれば勝てると思っていたんです。
 でも、優勝するには運も必要です。松山選手には運がありました。2打目がギャラリーに当たってラフに落ちましたが、もし当たらずにそのまま左に抜けていたら、そこからは絶対にパーは取れません。それがギャラリーに当たって、上りのライにボールが止まり、グリーンも受けるような角度になりましたから、ボールをグリーン上で止めやすかったんです。
 負けた時は、「おめでとう、勝つべくして勝ったんだよ」と、松山選手に声をかけました。最後の彼のパットは難しかったですし、3パットしてもおかしくないラインでしたからね。完敗でした。

そして、彼の短所をもう一つ挙げるなら、もう少し笑ったほうがいいですね(笑)。笑顔を見せればリラックスできますよ。いまの彼は集中しているから、笑顔が少ないのだと思いますけどね。そして、最後にもう一つ。最近松山選手は髪を伸ばしているようで、それが僕の髪型に似てきていると言われたりしています。だから彼には、「髪、切れ」と言いたいですね(笑)。

【プロフィール】

ケビン・ナ

1983年生まれ、韓国出身。8歳の時に両親と共に米国へ移住。翌年には本格的にゴルフを開始し、高校3年の17歳でプロ転向を果たす。現在はアメリカ国籍としてツアーに出場している。デビュー戦の2001年「ビュイックインビテーショナル」は予選落ちに終わるが、03年にはQスクールで21位に入り04年のツアー出場資格を掴む。そして、プロ転向11年目の2011年「ジャスティンティバーレイク-」にて悲願のツアー初優勝を果たした。

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  • ギャラリーロープの外側から見ている我々と、フェアウェイでともに競うプレーヤーとでは、もちろん違った印象があることだろう。ザ・メモリアルトーナメントの勝利をかけてプレーオフで対峙したケビン・ナが語る、PGAツアーで戦う松山英樹の資質と実像──。

    いまでは彼のほうから
    「ヘーイ」と挨拶してくれます

     メジャーやWGC、プレーヤーズ、招待試合など大きな試合は色々ありますが、ザ・メモリアルトーナメントはその中に入る、歴史ある大きな大会です。なんといってもジャック・ニクラスがホストの試合ですし、歴代の優勝者も名のある選手が多いですから。選手にとっては大きな価値のある大会。本音を言うと、僕は本当にメモリアルに勝ちたかった。
     ただ、松山選手がそんな特別な試合に勝ったから、彼に対する印象が変わったかといえば、変わってはいません。もともと、彼を良い選手だと思っていましたし、松山選手は勝てる選手だと考えていましたから。

  •  プレーオフ、あの18番は、バーディーが取れれば言うこと無しなのですが、パーでもいいスコアだと思っていました。ティーショットではフェアウェイの右に外したらおしまいだと思っていて、左には行ってもいいと考えていました。左のクリークはもちろん視界には入っていましたし、あることも知っていましたが、まさか入るとは思っていませんでした。だから、引っ掛けてクリークに入れてしまったことは、ショックでした。ただ、その後で松山選手がティーショットを右のバンカーに入れたので、その時はまだ自分に分があると思っていました。ドロップしたあとにフェアウェイにボールを出せれば勝てると思っていたんです。
     でも、優勝するには運も必要です。松山選手には運がありました。2打目がギャラリーに当たってラフに落ちましたが、もし当たらずにそのまま左に抜けていたら、そこからは絶対にパーは取れません。それがギャラリーに当たって、上りのライにボールが止まり、グリーンも受けるような角度になりましたから、ボールをグリーン上で止めやすかったんです。
     負けた時は、「おめでとう、勝つべくして勝ったんだよ」と、松山選手に声をかけました。最後の彼のパットは難しかったですし、3パットしてもおかしくないラインでしたからね。完敗でした。

  •  じつは、このメモリアルの週の火曜日に、松山選手と一緒に練習ラウンドをしたんです。僕と松山選手と、日本ツアーで活躍するキム・ヒョンソンの3人で。もともと、僕とヒョンソンが練習ラウンドをする予定でしたが、ヒョンソンが、「松山も一緒だけどいい?」と聞いてきたんです。もちろん、ということで一緒にラウンドしました。それに、メモリアルの翌週の全米オープンでも、松山選手と一緒に練習ラウンドを回りました。ちょっとだけですが、メモリアルのプレーオフのことなど、通訳を介して色々話しましたね。
     初めて会った時は、松山選手はなかなか心を開いてくれないような感じがしましたが、いまではとても打ち解けた雰囲気になっています。松山選手のほうからやってきて、「ヘーイ」と挨拶もしてくれますし、レンジでも横に来てボールを打ったりするようになりました。松山選手は、いい奴ですよ。たとえ異なる言葉を話す相手でも、しばらく一緒に過ごすと、その人がどんな人物なのかはわかってくるものです。

  • 彼は、新しい環境に馴染もうと頑張っているのが見えます。彼にとっては、まだ分からない世界にいますから、この新しい環境に対して、彼が決して快適に感じていないことはわかります。でもそこに自分を合わせていこうとしています。

    松山選手はこの2、3年で
    レベルアップしましたね

     松山選手のことは、2011年か2012年のソニーオープンのプロアマで一緒にプレーしたので、その頃から知っていました。当時、まだアマチュアでしたが、いい選手だと思いましたし、今後名前が出てくるはずだと感じたのを覚えています。でも、いつからかははっきりとしないのですが、ソニーオープン以前に彼の存在自体は知っていましたよ。以前、僕には日本人のマネージャーがついてくれていて、彼からの情報ということもあったと思います。ソニーオープン後、日本ツアーでプロに転向したことも知っていました。日本ツアーでは友人もプレーしていますので、よくチェックしているんです。

  •  ソニーオープン当時と比べると、一言でいえば、彼はすごくうまくなりました。当時もたしかに上手な選手でしたが、いまとは比べものにならなかったです。この2、3年でレベルアップして、飛距離も伸びましたし、強くなりましたし、体も大きくなりました。最初に見たときにうまくなると思っていましたが、昨シーズン、ジャンプアップしましたね。スポンサー推薦で出た試合でも、マスターズなどのメジャーでも上位でフィニッシュし、そして最後にプレジデンツカップで松山の名を世界に知らしめたと思います。
     彼の長所はいくつかあります。まずは飛距離。飛びますね。彼は平均で、290ヤードぐらいでしょうか。僕はキャリーが265ヤードで、マックスが270ヤード(注・8月3週目時点でのPGAツアーのデータでは平均飛距離280.4ヤード。松山は295.3ヤード)。一般的に言って、アジア人は欧米の選手と比較して体格が小さく、これがハンディだという側面は否定できませんが、松山選手は体格が大きいですし、そして強いですね。そして、心の強さももう一つの長所。これらの要素が重なって、強さを発揮しているんです。

  •  いまPGAツアーには、うまい選手が大勢います。選手層も厚くなって、一昔前とは様変わりしています。世界のトップ10の選手がいて、その下にトップ50の選手がいて、シードを確保しているだけの選手がいて、さらにシード権すら危うい選手層があります。いろんなレベルの選手がいますが、同時にその中の誰がいつ勝ってもおかしくないという現実があります。でも、いずれにせよ松山選手は、もっと成功すると思いますよ。
     一方で彼の短所といえば、第一には英語ですね。英語が話せれば松山選手自身のためにもなるし、良いイメージを広めることにもなります。通訳がいるにしても、PGAツアーをメインツアーに考えて今後もプレーし続けたいと思っているのであれば、英語が話せることは大切ですね。でも、PGAツアーでプレーして、メディアや選手と話していれば、英語は徐々にうまくなっていくものですよ。

  • そして、彼の短所をもう一つ挙げるなら、もう少し笑ったほうがいいですね(笑)。笑顔を見せればリラックスできますよ。いまの彼は集中しているから、笑顔が少ないのだと思いますけどね。そして、最後にもう一つ。最近松山選手は髪を伸ばしているようで、それが僕の髪型に似てきていると言われたりしています。だから彼には、「髪、切れ」と言いたいですね(笑)。

  • 【プロフィール】

    ケビン・ナ

    1983年生まれ、韓国出身。8歳の時に両親と共に米国へ移住。翌年には本格的にゴルフを開始し、高校3年の17歳でプロ転向を果たす。現在はアメリカ国籍としてツアーに出場している。デビュー戦の2001年「ビュイックインビテーショナル」は予選落ちに終わるが、03年にはQスクールで21位に入り04年のツアー出場資格を掴む。そして、プロ転向11年目の2011年「ジャスティンティバーレイク-」にて悲願のツアー初優勝を果たした。

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松山英樹は2014年1月よりLEXUSの所属となりました。

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